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■■ Japan On the Globe(478)■ 国際派日本人養成講座 ■■■■

             国柄探訪: 世界に愛される"Japan Cool"
                         〜 『世界の日本人ジョーク集』から
                 自動車・家電、マンガ、アニメなど"Japan Cool"
                が世界の子どもや大人たちに愛されている。
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■1.『世界の日本人ジョーク集』■

    『世界の日本人ジョーク集』が100万部に達しそうな勢いで、
    ベストセラーになっている。その帯には、こんなジョークが紹
    介されている。

         ある豪華客船が航海の最中に沈みだした。船長は乗客た
        ちに速やかに船から脱出して海に飛び込むように、指示し
        なければならなかった。

        船長は、それぞれの外国人乗客にこう言った。
        アメリカ人には「飛び込めばあなたは英雄ですよ」
        イギリス人には「飛び込めばあなたは紳士です」
        ドイツ人には「飛び込むのがこの船の規則となっています」
        イタリア人には「飛び込むと女性にもてますよ」
        フランス人には「飛び込まないでください」
        日本人には「みんな飛び込んでますよ」 

     各国の国民性を端的に表した傑作ジョークである。この本の
    中には、こうした日本人の民族性をからかったジョークが満載
    されているのかと思いきや、日本人の勤勉さやハイテクぶりを
    引き合いに出して、他民族をからかったジョークの方が多かっ
    たのは意外であった。そして、それを解説する著者・早坂隆氏
    の豊富な海外体験が説得力を与えている。そんな新鮮さが、ベ
    ストセラーとなった一因でもあろう。

■2.技術者の違い■

     たとえば、こんなジョークがある。

         日本人とロシア人の技術者が、クルマの機密性について
        話し合っていた。

         日本人の技術者の話。
        「わが国では気密性を試すためには、猫を一晩クルマの中
        にいれておきます。そして次の日に、猫が窒息していたら、
        気密性は十分だと判断します」

         ロシア人技術者の話。
        「わが国でも、気密性を試すために、猫を一晩クルマの中
        に入れておきます。そして次の日に、猫がクルマの中にい
        れば、気密性は十分だと判断します」[1,p28]

     これなどもジョークの対象はロシア人である。日本人の方は、
    そのための「枕」になっている。それだけ日本の技術の優秀性
    は、ごく当たり前の事として受けとめられているのである。

■3.サラエボの「TOYOTA」と日の丸■

     このジョークの後で早坂氏の語る次のエピソードが心に残る。
    2001年に氏がボスニア・ヘルツェゴビナの首都サラエボを取材
    した時のこと、長いボスニア内戦で傷ついた街並みは、多くの
    国々の援助によって、ようやく復興を始めていた。

     街には各国から集まった治安維持部隊の兵士たちが溢れてい
    たが、日本は人的貢献が十分でなく、日本人の姿は見えなかっ
    た。しかし、人の代わりにクルマが日本の存在感を示していた。

     一つは国連の使っている自動車がすべてトヨタの四輪駆動車
    であったこと。「TOYOTA」のマークは、国連の「UN」
    よりもずっと目立っていた。

     もう一つは、サラエボ市内を走る新型の大型バス。日本の
    ODA(政府開発援助)により購入されたもので、すべての車
    体に日の丸と「JAPAN」の文字が入っていた。これがサラ
    エボ市民の貴重な足となっており、早坂氏は市民の一人からこ
    う声をかけられた。「君は日本人かい? あのバスありがとう
    な。本当に助かっているよ」

■4.青いキリン■
    
     自動車に限らず、日本のハイテクぶりはすでに世界の常識に
    なっているようだ。

         ある酔狂な大富豪が言った。「もしも青いキリンを私に
        見せてくれるなら、莫大な賞金を出そう」

         それを聞いたそれぞれの国の人たちはこんな行動をとっ
        た。
         イギリス人は、そんな生物が本当にいるのかどうか、徹
        底的に議論を重ねた。
         ドイツ人は、そんな生物が本当にいるのかどうか、図書
        館へ行って文献を調べた。
         アメリカ人は、軍を出動させ、世界中に派遣して探し回っ
        た。
         日本人は、品種改良の研究を昼夜を問わず重ねて、青い
        キリンを作った。

         中国人は青いペンキを買いにいった。[1,p22]

     ここでも、日本人は、イギリス人、ドイツ人、アメリカ人と
    並んで中国人のイカサマぶりを際だたせるための脇役だ。しか
    も脇役の中でも、真面目な技術者として描かれている。

■5.「僕のベッドはソニー製」■

     こんなジョークが自然に語られるほど、日本のハイテクぶり
    は世界の一般庶民にまで浸透している。それは車や家電製品な
    ど、日常生活の中で日本製品の優秀さを体験しているからだろ
    う。早坂氏はこんな経験をしている。

         ルーマニアの首都ブカレストには、2002年くらいま
        で、マンホールで暮らしている子どもたちが多くいた。一
        般的に「チャウシェスクの子どもたち」と呼ばれた彼らの
        多くは路上生活を続けていたが、寒い冬には暖をとるため
        にマンホールの中へと潜った。マンホールの中はいつも異
        臭に満ち溢れていた。

         そんな子どもたちの中で、一人の男の子が、寝床に敷い
        てあった段ボールを掲げて見せてくれたことがあった。何
        だろうと思い、暗闇の中で目を凝らすと、そこには「SO
        NY」の文字。「どうだい。僕のベッドはソニー製さ。凄
        いだろう」。マンホールチルドレンのあいだにも、「日本
        =最先端技術の国」というイメージがしっかり存在してい
        た。[1,p50]

     これはジョークというよりも、悲しい現実である。私もルー
    マニアの地方都市に行ったことがあるが、そこで泊まったホテ
    ルは、かつてチャウシェスク大統領夫妻も泊まったという、そ
    の都市の最高級のものであった。それでも暗く煤けた建物で、
    エレベーターもギーギーと音を立てながら動く代物だった。よ
    うやく目的の階についてドアが開くと、床との差が5センチも
    あって、あやうく転びそうになった。

     豊かで広大な国土を持つルーマニアは、まっとうな経済を営
    んでいれば、恵まれた生活を送れるはずなのに、共産主義独裁
    政権に搾取されて、こんな貧しい遅れた国になってしまったの
    か、とその時しみじみ思ったことである。[a]

     今頃は、日系企業も含め多くの外国企業が進出して、国も徐
    々に豊かになり、このようなマンホール・チルドレンも普通の
    ベッドに寝られるようになっただろうか。SONY製ではなく
    とも。

■6.「日本人は世界一勤勉だと聞いていたから期待していたのに」■

     日本人が素晴らしい自動車や家電製品を作れる理由として、
    世界の人々は、やはり勤勉さがその原動力だと考える。

         日本人とフランス人が逮捕され、懲役20年という刑が
        下された。ひどく落胆した様子の二人に、刑務官が言った。
        「特別に10年ごとに一つだけ何でも望みを叶えてやろう。
        それでは、最初の10年のために欲しいものは何だ?」

         日本人は1000冊の本を頼んだ。フランス人は1000本のワ
        インを頼んだ。

         それから10年が経ち、再び刑務官がやって来た。刑務
        官は次の10年のために何が欲しいのかを尋ねた。

         日本人はまた1000冊の本を頼んだ。
         フランス人は栓抜きを頼んだ。

     享楽的で間抜けな人間に描かれたフランス人が主人公で、勤
    勉な日本人がやはり脇役だが、ちょっと格好良すぎる気もする。

     早坂氏が、ルーマニアでブドウの収穫を手伝った時のこと。
    最初は物珍しく楽しく手伝っていたが、ルーマニア人たちが黙
    々と作業を続ける中で、最初に飽きてしまった。畑の横に座っ
    て休んでいると、こんな言葉が冗談混じりに投げかけられた。

    「なんだ、おかしいな。日本人は世界一勤勉だと聞いていたか
    ら期待していたのに、最初に日本人がサボり出したぞ。これじゃ
    どっちが日本人かわからないな」

■7.「日本人のあなたにはぜひ愚痴を言っておきたいわ」■

     自動車や家電製品などのハードばかりでなく、最近ではマン
    ガやテレビ番組など、日本のソフトも世界に広がりつつある。
    早坂氏はこんな体験をしている。

         ボスニア・ヘルツェゴビナの首都サラエボで、ある家庭
        に招かれた時のこと。その家には上は10歳から、下は2
        歳までの4人の子どもたちがいたのだが、その子ども部屋
        はカラフルなポケモン・グッズで埋め尽くされていた。母
        親は苦笑しながら、「日本人のあなたにはぜひ愚痴を言っ
        ておきたいわ。『ポケモン』のせいで、グッズをせがまれ
        るわ、テレビを観せないと大泣きするわ、毎日大変なのよ。
        まったく困ったものよ」。

         言葉とは裏腹に、母親の顔には平和と幸福を取り戻した
        サラエボ市民の安堵の色が見て取れた。一万人以上と言わ
        れる死者を出したサラエボ市民が、やっと手にしたかけが
        えのない平和な日々の中に、日本のアニメも存在していた。
        [1,p228]

     こうした子どもたちの姿はアメリカでも同じようだ。

         トムが子どもたちを連れてウォルト・ディスニー・ワー
        ルドへと行った。子どもたちは、”夢のテーマパーク”で
        遊ぶのを楽しみにしており、前日は興奮で夜も眠れないほ
        どだったのである。

         しかし、当日、子どもたちの顔に笑顔はなかった。なぜ
        なら、子どもたちが最も会いたがっていた「ポケモン」の
        姿が、いくら探しても見あたらなかったからである。
        [1,p230]

■8.「あなたは日本人ですか? もしかしてナゴヤ出身?」■

     マンガが子どもにとっての世界共通語なら、大人にとっての
    それはスポーツだろう。

     早坂氏がユーゴスラビア連邦(当時)の首都ベオグラードを
    訪れた時、住民の大半を占めるセルビア人に「あなたは日本人
    ですか? もしかしてナゴヤ出身?」と頻繁に聞かれた。氏が
    頷くと、彼らは一様に大いに喜ぶのであった。そしてこう叫ぶ。
    「ナゴヤ、ストイコビッチ! グランパス! ナンバーワン!」

     日本のJリーグ、名古屋グランパスエイトで活躍したドラガ
    ン・ストイコビッチは世界的に知られる名プレーヤーであり、
    セルビア人たちの英雄なのであった。

     そのストイコビッチの引退試合が、2001年10月、豊田スタ
    ジアムで開かれた。彼がユーゴスラビア時代に在籍していたベ
    オグラード・レッドスターと、在日中に所属した名古屋グラン
    パスエイトという粋な対戦である。その試合を、早坂氏はベオ
    グラードでテレビ観戦した。

         バーに置かれたテレビのブラウン管では、グランパスエ
        イトの赤とオレンジのユニフォームに袖を通したストイコ
        ビッチが、満員の豊田スタジアムの客席に笑顔で手を振っ
        ている姿が映し出されていた。バーを埋め尽くしたベオグ
        ラードの人たちは、日本人である私を見つけると、満面の
        笑顔と共に近寄ってきて、堅い握手と抱擁を求めてくるの
        であった。私はセルビア語はほとんどわからないが、それ
        でも十分であった。彼らの中にはテレビを観ながら、本当
        に涙ぐんでいる人もいるほどだった。[1,p200]

■9.「僕はアメリカに生まれて本当に良かった」■

     自動車や家電製品、マンガやスポーツで、日本は世界の子ど
    もたちや大人たちに幸福を提供している。次の「あるアメリカ
    の子どもの幸福な休日」が、それを端的に示している。

         待ちに待った日曜日。今日は学校も休みだ。いつもより
        遅く起きた僕は、まずソニー製のテレビのスイッチを入れ
        る。毎週楽しみにしている日本のアニメを観るためだ。
         それが終わると、マンガを読む。でも、今日はゆっくり
        読んでいられない。パパとハロウィンの衣装を買いに行く
        ためだ。

         パパ自慢のトヨタに乗り、ショッピング・センターへと
        向かう。カーラジオからはイチローがまたヒットを打って
        新記録を作ったというニュース。いったい何度目の新記録?
         買って貰ったのはポケモンの着ぐるみ。これで人気間違
        いなしだ。それにクリスマスに欲しい新しいニンテンドー
        のソフトもしっかりチェックしておいた。でも、プリンセ
        ス・テンコーのフィギュアも欲しいんだけど。

         ランチのおいしいスシを食べてから家に帰った。僕はま
        たマンガの続きを読む。パパはトヨタを洗い出した。これ
        から、前から観たいと言っていた『ラスト・サムライ』を
        観るためにママと一緒に映画館に行くらしい。

         お兄ちゃんは、ホンダのバイクでガールフレンドの家に
        でも向かったようだ。夕方にあるカラテの練習まではデー
        トでもするのだろう。

         僕は思う。アメリカとはなんて豊かな、いい国だろうっ
        て。僕はアメリカに生まれて本当に良かった。僕はアメリ
        カを心から愛している。そしてアメリカの文化を誇りに思っ
        ている。

     "Japan Cool"という言葉が生まれている。このジョークに出
    てくる日本車や食べ物、マンガ、アニメなど、日本の提供する
    "Cool"(格好良さ)への賛辞である。そして、"Japan Cool"に
    憧れる子どもや大人が世界中に増えつつある。それは軍事力や
    経済力とは次元を異にした一種の国際競争力である。
                                         (文責:伊勢雅臣)

■リンク■
a. JOG(299)  ルーマニア革命
    〜 共産主義独裁政権はいかに打倒されたのか?
    危険を顧みずに立ち上がった青年たちと、国民を守ろうとし
   た軍の力が、独裁者を倒した。 

■参考■(お勧め度、★★★★:必読〜★:専門家向け)
  →アドレスをクリックすると、本の紹介画面に飛びます。

1. 早坂隆『世界の日本人ジョーク集』★★★、中公新書ラクレ、H18

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ おたより _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
■「世界に愛される"Japan Cool"」に寄せられたおたより

                                       「ことりん」さんより
     最近、米国から帰国しました。
 
     コラム子様同様、Japan Coolがいかに米国でホットな話題と
    して日常用語になっているかを実感し、わずかながら日本人と
    しての誇りと自信をみやげに帰国した次第です。

     今回の滞在は保守的な田舎街でした。そこでも日本文化に対
    する興味、日本製品の普及度の高さとそれらへの屈託のない高
    評価に、好奇心以上の興味と愛情を老若男女を問わず感じ取り、
    海外には慣れているはずの私でも、このアメリカにおける日本
    文化の浸透ぶりには驚きが半分以上というところでした。

     ハイテク製品は言うにおよばずですが、食文化としてのスシ、
    テンプラ、グリーンティーなどが健康指向と相まって受け入れ
    られ、誰でもスシファン、お箸も使えて当たり前の感があり、
    時代はスピーディに変化していると強く感じいりました。田舎、
    都会を問わず日本車の多さと和食の浸透ぶりには驚きをかくせ
    ません。醤油やごま、わさびテイストなどは、とってもcoolな
    料理でどこでも出会いますから。

     娘の小学校で日本語紹介をしたのですが、子供達はアニメや
    ゲームを通じてすでに日本文化に興味深々で、絶えまなく質問
    攻めにあい、日本語の独自性などを解説している傍らで、娘が
    日本文化を皆の前で紹介でき、それがとてもすばらしいもので
    あるということを肌で感じてくれたようなのが、一番嬉しい体
    験でした。

     現在のアメリカでは、Cool(かっこいい)とenjoy(楽しむ)
    がもっとも会話で頻繁に出てくる言葉でしょうが、coolな
    Japanをenjoyする多くのアメリカ人を全米各地で見るにつれ、
    日本文化をもっともenjoyしていないのは、かくいう日本人で
    あるという事実に、かなり悲しいものを感じています。

                                                 龍さんより
     今回のジョーク集、国際人養成講座閲読開始以来、最大の笑
    い声で笑いました。各国人の性格が出ていて実に面白かったで
    すね。特に中国人がペンキを買いに行くことなど「さもありな
    ん」という感じです。
 
     ところでその勤勉なはずの日本人が最近は勤勉でなくなった
    ケースが身の回りで見聞きする範囲でも増えています。コンビ
    二勤務が「きつい」といって1日で辞めたり、スーパーのレジ
    打ちを「立ったままなので疲れる」と2,3日で辞めてしまう女
    性など労働意欲に欠ける若い人があまりにも多すぎます。労働
    が苦しいから使用者は賃金を出すので、楽な勤務には給料を出
    しません。勤勉さを植え込む教育を今の教育界がしているのか
    どうかも疑問です。権利と義務はイコールの関係にあることを
    教育者は教育現場で徹底すべきです。

■ 編集長・伊勢雅臣より

     Japan Cool も、勤勉さから生み出されてきたものですね。

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