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_/ _/_/ _/_/_/ _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ _/ _/ _/ _/ Japan On the Globe (68) _/ _/ _/ _/ _/_/ 国際派日本人養成講座 _/ _/ _/ _/ _/ _/ 平成10年12月26日 4,924部発行 _/_/ _/_/ _/_/_/ _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ _/_/ _/_/ JOGで読むこの一年 _/_/ _/_/ ■ 目 次 ■ _/_/ _/_/ 1.発火点に近づきつつある火薬庫−北朝鮮 _/_/ 2.インドの核実験が問いかけた事 _/_/ 3.もうひとつの震源地−中国 _/_/ 4.発展しつつある新たな温室−台湾 _/_/ 5.温室の中の無法地帯 _/_/ 6.温室の外からの言い掛かり _/_/ 7.温室を出て、グローバル市場で勝負しよう _/_/ 8.この一年を振り返って _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ 今年もこれが最終号です。本年1月6日発行の第18号は購読者 数1,659人でスタートしたが、お陰様で本68号は購読者数4,924人 に成長しました。ホームページへの累計アクセスは、2万回を突破 しています。読者の皆様に厚く御礼申し上げます。 本年年頭の18号では我が国は豊かで安全な世界でもまれに見る 「温室」であり、そのなかで我々は甘えていてはならない、という 事を述べました。今年起こった出来事で、この点がいっそう明らか になってきたと思います。JOGのこの一年の記事から振り返って みましょう。 ■1.発火点に近づきつつある火薬庫−北朝鮮■ 日本の安全保障を脅かす最大の火薬庫は北朝鮮である。その北朝 鮮が、わが国の領空越しにミサイルを試射した。核開発の疑惑では、 アメリカが査察を要求しているが、核開発が進んでなくとも、たと えばサリンを東京にばらまく能力のあることが実証されたのである。 [52、下記JOG(52)のURL参照。以下同じ] 一方、北朝鮮はわが国に対して頻繁に秘密工作員を送りこんでお り、工作員の教師調達のため、あるいは、目撃者の口封じのために、 日本国民を拉致している。その一人として、新潟市内の女子中学生 が北朝鮮内に囚われていることが、亡命した工作員の自供で明らか になった。日本政府は北朝鮮に真相解明を要求したが、そのような 事実はないと、とりつくしまもない。[31] その一方では、北朝鮮国内では農政の失敗により、年間数十万人 単位の餓死者が出ている模様だ。この裕福な日本のすぐ隣で、国民 の10%が飢え死にし、しかも、それをものともせず核開発・ミサ イル開発、秘密工作に熱中している国があるのである。人権擁護、 反戦平和を唱えるなら、まずこういう国に立ち向かって行かなけれ ばなるまい。 核開発疑惑が昂じれば、アメリカは対イラクと同様、北朝鮮の核 開発施設を攻撃する可能性がある。その時は、わが国も北朝鮮から のミサイル攻撃やテロ活動の脅威にさらされる。この温室を護る気 概と能力を我々がどれだけ持っているのか、試されることになる。 JOG(52) 今、そこにある危機 JOG(31) 北朝鮮に拉致された少女 JOG(55) 北朝鮮、管理された飢餓地獄 ■2.インドの核実験が問いかけた事■ インドが核実験を行った。これは中国の核と、パキスタンへの核 技術移転に対抗したものである。この実験は5大国による核独占体 制の偽善を衝くとともに、我が国に対しては、米国の核の傘の下に いながら、反核を唱えることの矛盾を明らかにしたものであった。 またアメリカの核の傘が本当に信じられるのか、すなわち、日本 が核攻撃の脅威に曝された時、アメリカは自国が核攻撃を受ける事 を覚悟してまで、日本を守ってくれるのか、という疑問をつきつけ た。北朝鮮のミサイル事件とも考えあわせると、この温室を守るビ ニールは、すぐに破れてしまう可能性のある事を認識しなければな らない。 JOG(40) 真の反核とは ■3.もうひとつの震源地−中国■ 江沢民が来日したが、その謝罪要求一辺倒の姿勢で、日中友好ム ードもしらけてしまった。政治基盤の弱さ、国内経済の行き詰まり、 頼みの綱である香港経済の失速[47]で、江沢民は歴史認識しかカー ドを持たない手詰まり状態にあるようだ。[66] 昨年は江沢民が訪米し、今年はクリントンが訪中して、米中蜜月 をアピールしようとしたが、中国国内の人権弾圧、チベット、ウイ グルの植民地化など、根本的に自由民主主義とは相容れない政治体 制の国とは、うまくやっていけるはずもない[9]。日本の膨大な経 済援助も、軍事力増強に利用されているだけだ、との分析もある [4]。 中国沿岸部が外国資本の導入により経済発展をするほど、自由と 民主を求める声は強まろう。また内陸部との経済格差、国営企業の 行き詰まりなど、ひずみは内部に蓄積されつつある。いずれそのエ ネルギーは大地震となって噴出しよう。その時に、我々の温室も相 当な衝撃を受ける恐れがある。 JOG(66) 江沢民の憂鬱 JOG(4) 中国の軍事力増強に貢献する日本の経済援助 JOG(47) 香港の将来 JOG(9) 米中の人権論争 ■4.発展しつつある新たな温室−台湾■ 漢民族5千年の歴史で初の民主選挙によって選ばれた元首である 李登輝総統は、現代の国際社会でも傑出した政治家である。今年の 台北市長選でも、台湾の民主政治が成熟しつつある様を見せつけた。 この選挙で「新台湾人」という表現が使われ始めた。50年間の 日本統治時代と、戦後の台湾の歴史を踏まえて、大陸とは異なるア イデンティティを確立しつつある[62]。 台湾の政治・経済両面の発展ぶりは、適切な法治制度のもとで、 人々が自由に創意工夫を発揮すると、どのような偉大な社会が建設 されるか、という事を、目の当たり見せている。我々の隣にもう一 つの立派な温室が作られつつあるのである。この経験は、大陸中国 が行き詰まった時に、漢民族に新たな自信と希望を与えるものとな ろう。それが李登輝総統の志でもある[61]。 JOG(62) 台湾史に見る近代化の条件 JOG(61) 李登輝総統の志 ■5.温室の中の無法地帯■ 一方、我が温室の中では、所沢高校や広島県での異常な学校教育 の実態があきらかになった。豊かな温室の中にいる事を利用して、 税金を使って、極端な悪平等や行きすぎた人権概念を押しつけ、そ の結果、学校を無法地帯と化している教師達がいる[65]。そういう 教育の被害にあった親や生徒の実体験がいくつも寄せられた[66]。 日の丸・君が代憎しの教育の結果、他国の国旗・国歌に対しても 敬意を払う事を知らない青少年が生み出され、長野オリンピックで も問題になった[26]。温室の中で、富と平和を享受しながら、その 温室を維持する気もない「甘えん坊」だけになったら、この温室も すぐにつぶれてしまう。 JOG(65) 閉ざされたクラスルーム JOG(67) 閉ざされたクラスルーム−証言編 JOG(26) オリンピックでの国旗掲揚 ■6.温室の外からの言い掛かり■ 江沢民訪日時の異常な謝罪要求で、多くの日本人もそれが一種の 政治カードであり、「誠意ある謝罪をすれば真の和解につながる」 というのは、この温室の中でしか通用しない事を理解し始めた。 アメリカでは、今年、中国系米人の書いた南京事件に関する本が ベストセラーとなったが、その背後にも中国政府が糸を引いている 事が指摘された[60]。南京事件とは、日本人に贖罪意識を持たせ、 同時にその日本に対して原爆攻撃を行ったアメリカ人を擁護して、 日米離反を図る中国側の絶妙の一手なのである。 しかし、「30万人虐殺」という主張がどのような根拠に基づい ているのか、その無理は中学生でも分かる事だけ[15]に、正当な反 論をしなくては国際社会では不戦敗となってしまう。 今年は東京裁判を描いた映画「プライド」が観衆100万人を越 すヒットとなり、東京裁判史観の欺瞞が認識され始めた。これは我 が国だけの名誉に関する問題ではなく、東京裁判での判事の中で唯 一の国際法の権威パール博士が指摘したごとく[59]、そして世界の 国際法学者が同意しているように[39]、国際法の発展を阻害した重 大な過ちなのである。 現代のようなグローバル社会では、我々も自分の温室の中だけで ぬくぬくとしてはいられない。筋の通らぬ主張に対しては、温室の 外に出て、戦わねばならない。そうした議論の過程で、国際正義、 国際法が実現していく。これも重要な国際貢献である。 JOG(60) 南京事件の影に潜む中国の外交戦術 JOG(15) Quantitative Analysis: 先入観を打破する定量的検証を JOG(59) パール博士の戦い JOG(39) 国際法を犠牲にした東京裁判 ■7.温室を出て、グローバル市場で勝負しよう■ もうひとつ、今年は戦後最大の不況と、金融システム危機に、温 室の屋台骨が揺らいだ年でもあった。ただこの経済危機に自信をな くしていてはならない。こうした時代でも、世界の大企業が頭を下 げて、もの作りを依頼してくる超一流の中小企業が日本には少なく ない[33]。グローバル競争の中で、自由な創意工夫を積み重ねて磨 いてきた技術は本物である。 現在の経済危機は、国家統制のもとでぬくぬくと無競争状態を過 ごしてきた日本の金融業界の弱い体質が原因の一つである。そして その国家統制は、戦時中の統制経済の名残であることが指摘されて いる[13]。温室とは国民を守るためのもので、企業はどしどし世界 に出て、真の実力勝負をしなければならない。そうすれば日本経済 はさらに一段と逞しさを増すであろう。 JOG(33) 世界を支える匠の技術 JOG(13) 統制の中で生き伸びる腐敗 ■8.この一年を振り返って■ 以上を眺めてみると、現代日本という温室は、外からの暴風と、 内からの腐食に脅かされている事が分かります。ちょうど幕末の頃 の日本のように。しかし幕末の危機は、多くの逞しい志士たちの活 躍で乗り切る事ができました。 国家も所詮は国民が作り、担うものですから、立派な国民さえい れば、立派な国が出来ます。本講座がそういう自立した志ある次代 の国民を生み出すのに、ささやかながらも貢献できるとすれば望外 の喜びです。そういう気持ちで来年もJOGを続けます。良いお年 をお迎え下さい。
■ おたより: セブンスターさんより
このメルマガの題名を見て、興味津々でした。海外事情や外国語の話だけかと思ったら、期待以上のものでした。本当にありがとうございます。アホな政治家どもに、ぜひとも読ませたいです。今後とも、よろしくお願いします。左翼関係の妨害が、ありませんように。(考え過ぎかな?)■ おたより: ahataさんより
偶然、このサイトを見つけました。まともな意見を聞くことができ、大変嬉しいです。このような困難な時代に生きていくということは、今後の日本を生かすも殺すも我々次第ということになります。勇気が湧いてきました。
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