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■■ Japan On the Globe(300) ■ 国際派日本人養成講座 ■■■■

               Common Sense: 日本を救う子供たち

         作文集「この子供たちが日本を救う!」に見る立派な
        子供たちの姿とその育て方。
■■■■■ H15.07.06 ■■ 39,726 Copies ■■ 863,171 Views ■

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    ★★★★★★★★  300号達成の御礼  ★★★★★★★★
     平成9年9月6日の創刊以来、5年10ヶ月かけて300号
    に到達しました。読者の皆様方のご支援、ご鞭撻の賜物と厚く
    御礼申し上げます。今後もよろしくお願い申し上げます。
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■1.頑張るお母さん■

         時計のはりが7時半を回った。「ドラえもん」を見終わ
        った。お母さんの仕事がふと気になったのでお母さんの仕
        事をしている部やに、そっと入ってみた。
        
        「あと何まい?」
        「これがさい後の一まいだよ。」
        
         その声が少し明るく感じた。
        
     千葉県の小学校3年生・鈴木稚子ちゃんのお母さんは塾の先
    生をしながら、大学受験生のための通信教育の仕事をしている。
    毎週金曜日になると、たくさんの答案を添削し、郵便局に持っ
    て行かなければならない。
    
         わたしはこしをもんであげたり、かたをたたいてあげた
        りして、仕事が終わるまでお母さんのそばについている。
        そしてやっと9時39分の京葉線直通の電車にのりおくれ
        ないようにいそいでしたくをして家を出て行く。・・・
        
         お母さんが帰ってくるころは、わたしはゆめの中だ。
         そして次の日、新しい仕事がおくられてくる。そして毎
        週毎週これがくりかえされる。
        
■2.「どうしたらそんなにがんばれるの?」■

         わたしだったらとっくにやめてしまうような仕事なのに
        よくつづくな、と思った。わたしは、お母さんのがんばり
        をみて、よしわたしもがんばるぞ、と気持ちを強く持とう
        とするのだが、ついなまけ心がでてきてしまい、いつもの
        自分にもどってしまう。
        
         そこでわたしは、
        「どうしたらそんなにがんばれるの?」
        とお母さんに聞いてみたことがあった。すると
        
        「仕事をつうじて自分自身をせい長させたいと思っている
        ことと、がんばっているところを子どもたちに見せるのが
        親のつとめだと思うからだよ。」
        と言っていた。いまのわたしには、お母さんの言っている
        意味は、全部はよくわからないけれど、がんばっているお
        母さんがとてもえらいと思う。[1,p15]

■3.「この子供たちが日本を救う!」■

     千葉県の小中高校生、教師、両親から「教育に関する作文」
    を募集し、優秀作品を集めた「この子供たちが日本を救う!」
    という本が出版された。神代(こうじろ)重治という篤志家が
    千葉県知事や、各市の市長、教育長、小中学校長など多くの人
    びとの協力を集めて実現にこぎつけた企画である。
    
     寄せられた作文は1024点にも達し、その中から148点
    を掲載した文集「1000の息吹」を7千部製作して、県内の
    小中高校に無料配布したところ、大きな反響が寄せられ、この
    平成15年4月に山川出版社から出版された[1]。
    
     一つ一つの作文から、子供たちが何を感じ、考えているかが、
    じかに伝わってくる。冒頭の鈴木稚子ちゃんのようにひたむき
    に生きる親や先生の姿勢に感じ入る子供たちが少なくない。も
    う一人、今度は中学生の例をあげよう。

■4.「私も母のように夢を持って生きてみたい」■

     中学3年生・篠崎葉月さんのお母さんは旅館の女将さんだ。
    旅館の仕事と家事とで忙しい母親を見て、葉月さんは「絶対に
    女将にはならない」と思っていた。

         だが、その考え方が少しずつ変わっていったのは、母が
        私に夢を語ってくれた時からだ。
         母の幼い頃からの夢は、3階建てくらいの民宿を建てる
        ことだった。それが5階建ての旅館となって母は夢を実現
        させた。だから私はとっくに夢が叶っていると思っていた
        のに、母は、
        「私にとってこれは夢への第一歩よ。」
        と言って、これから旅館をどのようにしていきたいかとい
        うことを私に熱く語ってくれた。それは、老人の憩いの場
        を旅館内に設けたいということ。・・・
        
         つい先日、私は母に、
        「何で毎日、こんな大変な仕事を続けられるの。」
        と聞いた。母は迷いもなく、
        
        「お客様の笑顔がお母さんの元気になるの。もちろん、葉
        月たちがいるだけで、お母さんがんばろうって思うのよ。
        」と話してくれた。
        
         こんなに生き生きと毎日を過ごしている母を見ると、少
        しずつ「女将になりたい」、「私も母のように夢を持って
        生きてみたい」と思うようになった。[1,p28]
        
     お客のために、そして子供たちのために頑張る母親の姿に、
    葉月さんは人間としての幸福な生き方を学んだ。

■5.「わが家の太陽」■

     同じく中学校3年の新井淳子さんも、母親の生きる姿勢に感
    動した一人だ。淳子さんは、お母さんが「わが家をいつも明る
    く照らしてきた太陽だ」と思ってきた。それがある時、お母さ
    んの友達から送られてきた数年前の手紙を読んで、愕然とした。
    
         なぜなら、その手紙には生活に苦しむ母を気遣う友人の
        言葉が次々に並べられていたからである。
        
         手紙の送られてきた数年前というのは私たちが千葉に引
        っ越してきた頃のことだ。祖母の介護、慣れない土地柄、
        近所間での孤立感など、たくさんの悩みや不安にさいなま
        れ、疲れ切った母が私の脳裏をかけめぐった。そこには、
        強くてたくましい母はいなかった。私の知っている母では
        なかった。
        
         それから、私は何度もその当時の記憶を探ってみたが、
        いつも思い出すのは、学校に行きたくない、とぐずる私を
        明るい笑顔で見送ってくれた母の姿だけだった。手紙の母
        を探してみたけれど、見つけることは一度としてなかった。
        母の当時の気持ちを思うとかわいそうでならなかった。で
        も、それ以上に、全く、母の気持ちに気づけなかった自分
        がくやしかった。・・・
        
         祖母は、また病気が出てきて介護が必要となり、母は大
        変な思いをしている。でも、今度は母が私にも悩みを話し
        てくれるから、少しだけだが母を支えることができる。
         母がしてくれたように、今度は私がわが家を明るく照ら
        していきたい。[1,p24]

     淳子さんは家族のために悩みや苦しみを隠して明るく生きて
    いる母親の姿を発見し、今度は自分も家族のために尽くそうと
    志すのである。

■6.みんながいるから■

     小学校2年生の高山なつ美ちゃんのお父さんはタクシーの運
    転手をしているが、どうやらお母さんがいないらしく、お父さ
    んがなつ美ちゃんの世話をしてくれている。
    
         わたしのお父さんは、タクシーの運転手をしています。
        朝早い時は、五時半ごろに家を出ます。よるは、十二時ご
        ろになることもあります。あまりねる時かんがなくって、
        たいへんなのに、きちんと朝ごはんを作ってくれます。作
        れないときは、ちかくにすんでいるおばあちゃんが、作っ
        てもってきてくれます。いっぱいはたらいて、いっぱいつ
        かれていてもお父さんといっしょにねる時が少ししかない
        のがかなしいです。・・・お父さんとはいっしょにあそび
        たいけど、いつもしごとでつかれているので、ゆっくりね
        てもらいたいです。
        
     お父さんが自分のために一生懸命尽くしてくれるように、な
    つ美ちゃん自身も誰かのために役立ちたいと思う。
    
         学校で、一年生から六年生までのおともだちがあつまっ
        てあそぶ「なかよしかつどう」がありました。かえりの会
        になって、おなじはんだったももこちゃんがはっぴょうし
        ました。
        
        「わたしは、みんなとなかよくできるかなって、心ぱいし
        ていたけれど、なつみちゃんがいてくれたから、あん心し
        ました。なつみちゃんが、そばにいてくれたから、じぶん
        のかんがえが言えました。」
        
         わたしは、うれしかったです。わたしがいるだけで、あ
        ん心してくれたなんて、ちっともしりませんでした。いる
        だけでいいなんて。
        
     まだ小さくて人のためには何にもできなくと思っていたなつ
    みちゃんだが、自分がいるだけで誰かの為に役立っていると分
    かった事がとても嬉しい。
        
         お父さんは、わたしがいるだけで、あん心してくれるか
        な。おねえちゃんは、どうかな。おばあちゃんは、どうか
        な。・・・ みんながいるから、わたしもがんばります。
        たくさんのおともだちもいるから、がんばれます。いつも
        わたしのそばにいてくれる家ぞくであってください。いつ
        までも、わたしのともだちでいてください。

■7.おじいちゃんの特技■

     親が自分たちのために頑張ってくれる姿を見習って、子ども
    は自分も何か家族のためにしてあげようと思う。それができた
    時の喜びは大きい。小学校5年生の石橋いずみちゃんのお祖父
    さんはリュウマチで、一人では歩くこともできない。
    
         でも、そんなおじいちゃんにも、特技があります。
        
         それは、絵を描くことです。花の絵が、すごくうまくて、
        みんなに、うまいねぇー、とおじいちゃんはよくほめられ
        ます。こんなおじいちゃんは、わたしの自慢できる一人で
        す。わたしは、おじいちゃんのすばらしい絵をもっと、た
        くさんの人に見て貰いたいと思います。そして、おじいち
        ゃんのために、絵の小さなてんらん会を開きたいです。
        ・・・
        
         それと、十五夜のばん、月がとてもきれいなので、おじ
        いちゃんに見せてあげようと思い、車いすで散歩に出かけ
        ました。田んぼのほうに行くと月がよく見えて、わたした
        ちが歩くと月がついてくるように思いました。おじいちゃ
        んは、とてもうれしかったようみたいで、なみだをぽろぽ
        ろと流して、「ありがとう」と言っていました。みんなで、
        「きてよかったね。またこようね。」
        と話ながら帰りました。
        
     小学生の自分にもお祖父ちゃんの車椅子を押してやって、涙
    を流すほど喜ばせてやることができる。いずみちゃんの夢は、
    車椅子の人が楽に行き来できるよう、段差のない道をつくるこ
    とだ。それができるようになるまでおじいちゃんには長生きし
    て欲しいと思う。
    
     こうして子供たちは人間が生きる事の意味を体験の中から掴
    んでいくのだろう。その意味とは、家族やクラスという共同体
    の中で、自分の努力を通じて他の人が喜ぶような事をしてあげ
    る事である。

■8.娘が貰った「『小さな親切』実行賞」■

     子どもたちが他の人のために尽くす奉仕活動を教育に取り入
    れている学校もある。
    
         先日、父親としてうれしいことがありました。
         それは、この間まで小学校3年生だった娘たちが、社団
        法人「小さな親切」運動本部という団体から「『小さな親
        切』実行賞」というもので表彰されたことです。・・・
        
         私の娘たちの表彰内容は、友達と老人介護施設に何度か
        訪問し、ダンスを披露したり、お話ししたりしていること
        に対して表彰するものでした。
         親や先生が「やりなさい」と言っているわけでもないの
        に、同級生や年上のお姉さんたちと一緒にダンスを楽しみ
        ながら練習をし、みんなで訪問活動をしていたのです。
        
         親が見本を見せたわけでもないのに、そういう機会に出
        会い、自ら楽しんで参加していたことに感心してしまいま
        した。
         娘の通っている学校では、ボランティアなどについて授
        業で教えたり、機会をとらえて活動したりしているようで
        あります。・・・
         子どもだから何もできない。親は何でもできるし、正し
        いことをしている、などと考えていたら、とんでもないこ
        とになります。[1,p201]
        
     子供たちを自然に楽しく奉仕を向かわせている先生方の手腕
    も見事である。さらに子供を通じて親まで教育してしまうとは。

■9.日本を救う子供たちを育てている親や教師たち■

     親が子供のために頑張っている姿に子どもは感動する。そし
    て子どもの自分でも家族や他の人のために何かしてあげたいと
    思い、それができると大きな喜びを感ずる。こうして子供たち
    は人として幸福な生き方を学んでいく。
    
     人間はひとりぽっちでは、いくら富や「ゆとり」があっても
    幸福になれるものではない。ロビンソン・クルーソーが三十年
    近い絶海の孤島での生活で幸福を感じたのは、原住民フライデ
    ーとともに暮らした最後の三年間であった。フライデーはクル
    ーソーを父親のように慕い、クルーソーもフライデーを「りっ
    ぱな、役に立つ人間にしてやろう、それがわたしのつとめだ」
    と思ったのである。
    
     他の人とのつながりのなかで、何か人のためにしてあげるこ
    とができた時に人間は幸せを感じる。そしてそのような人間を
    多く持つ国家は栄え、国民は幸福となる。この単純な真実が、
    戦後教育の「個人の尊厳」やら「ゆとり教育」やらで忘れ去ら
    れた所から、わが国の迷走が始まったとすれば、この真実を学
    んだ子供たちこそが日本を救うだろう。
    
     そしてこういう子供たちを育てるのは、この真実を日々、家
    庭や教室で身をもって示している親や教師なのである。「この
    子供たちが日本を救う!」は、素晴らしい子供たちを育ててい
    る立派な親や教師が少なくないことを多くの実例で示している。
                                          (文責:伊勢雅臣)
    
■リンク■
a. JOG(170) 個人主義の迷妄〜「国民の道徳」を読む
     奉仕活動をする青年も、援助交際をする女子高生も、同じく
     「個人の尊厳」では、、、 
b. JOG(166) 教室から失われたもの〜縦と横とのいのちのつながり
     高校生たちの作文には気のきいた人生観やしゃれた風刺はあ
   っても、何かが決定的に欠けていた。 

■参考■(お勧め度、★★★★:必読〜★:専門家向け)
  →アドレスをクリックすると、本の紹介画面に飛びます。
1. 神代重春編、「この子供たちが日本を救う」★★★、山川出版
   社、H15

   
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ おたより _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
■「日本を救う子供たち」について 幸雄さん(58歳)より

     人間を作る教育の本質を知りました。それが身近な家庭の中
    に厳然と存在することを教えていただきました。感動です。
    
■ 「この子供たちが日本を救う」の編者・ 神代重春さんより

     山川出版社さんより、貴メールの転送を頂戴しました。一人
    でも多くの方々に読んで頂きたい作文集でございますので、印
    税は頂戴しない、ひたすらそのような思いで販売活動を致して
    おりますが、多くの方々に本を読んで頂くことの難しさを実感
    いたしております。

     そのような時、4万人もの皆様にご紹介賜り、本当にありが
    たく存じ、心より厚く御礼申し上げます。3年余をかけて行な
    ってきた活動の集大成の本が、私の知らない所で紹介を戴ける
    など思いもよらないことで大変感謝致しております。

■ 編集長・伊勢雅臣より

     前号発信後5日ほどで、本誌の読者15人の方々が提携先の
    アマゾンに発注されました。ありがとうございました。神代さ
    んの行い自体が、子供たちへのすぐれた教育行為だと思います。
    「日本を救う子供たち」を育てようという志は弊誌も同じです。

© 平成15年 [伊勢雅臣]. All rights reserved.