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               メルマガで育てる国際派日本人

                                                   伊勢雅臣
■転送歓迎■ No.1071 ■ H17.12.12 ■ 8,172部 ■■■■■■■

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     下記は私の愛読する月刊『致知』の2006年1月号に掲載され
    たインタビュー記事を、許可を得て転載させていただきました。
                 http://www.chichi.co.jp/
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     多忙なビジネスの合間を縫って、メールマガジン「国際派日
    本人養成講座」の発行を始めてはや八年になる。国際社会の中
    で、若い人々に日本人としての基盤となる良識、教養を磨いて
    ほしいという思いから、毎週一回、正月休みを除いてきょうま
    で休まず配信し続けてきた。

     大学時代に日本の歴史・文化に根ざした国民生活の確立を目
    指す任意の研究会「国民文化研究会」の門を叩いて以来、私は
    きょうまで日本について学び、自分なりに考察を重ねてきた。
    加えて、三十代の初めに仕事で四年間アメリカに留学し、私は
    始めて外から日本を見る体験をした。

     その時私が実感したのは、日本という国がいかに平和で豊か
    で暮らしやすい国かということである。この「温室」のように
    快適な環境は、われわれの先祖が何代にもわたり血のにじむよ
    うな努力を重ねてつくり上げてくれたものである。私たちはそ
    のことを忘れて感謝もせず、自分勝手に国益を損なう言動を繰
    り返していないだろうか。国を愛する心や、誇りに思う心は、
    まず先人に対して感謝の念を抱くことから養われていくものだ
    と思う。そこから、子孫のために自分にできることはないかと
    いう自覚が芽生え、志へと高まっていくのではないだろうか。

     そうした思いや、これまでに学んできたことを、何とか次代
    を担う若い人たちに伝えていく機会を求めていたところ、メー
    ルマガジン(メルマガ)の存在を知った。メルマガは、インタ
    ーネットの普及に伴い、手軽にアクセスできる情報ソースとし
    て若者を中心に急速に浸透している。情報を発信する側も特別
    な投資は一切必要ない。私にとっては願ってもない情報媒体で
    ある。さっそく運営会社に申請して、「国際派日本人養成講座」
    というタイトルで配信を開始したところ、初回から三百人もの
    方に購読の登録をしていただいた。その後も登録数は増え続け、
    現在では三万四千人もの方にお読みいただいている。

     このメルマガに託して私が伝えたいことは、英語は流暢でも
    日本のことを知らず、また国益のなんたるかを考えようとしな
    い無国籍な「国際人」であってほしくないということ。輻輳す
    る国際社会の中で他国との調和を図りつつ、わが国の歴史伝統
    を土台にオリジナリティのある提案ができ、国の繁栄と幸福を
    「わが事」として追求していける「国際派日本人」を目指して
    ほしいということである。

     その土台となる良識、教養を身につけていただくための一助
    として「地球史探訪」(わが国が近代社会の荒波をどう乗り越
    えてきたのか)「人物探訪」(わが国を築き、支えてきた先人
    たちの足跡をたどる)など、六つのテーマに沿って幅広く情報
    提供している。

     読者から寄せられるお便りは何よりの励みとなる。「国際派
    日本人」というタイトルのせいか、海外在住の日本人からのお
    便りをよくいただく。ひとたび海外に出れば「日本とはどんな
    国か、日本人とはどんな民族か」と必ず聞かれ、自分の国につ
    いていかに無知であったかということに気づくのである。

     たとえばアメリカに留学した女子高生は、戦前人種差別に苦
    しめられていた黒人たちにとり日本が希望の星だったことを紹
    介した号を英文レポートにまとめ、先生に誉められた。カリフォ
    ルニアに留学中の学生は、知り合ったインドネシア人留学生が
    大戦中同地で軍政司令官だった今村均大将のことを褒めていた
    ので驚いたが、私のメルマガを読んでその理由が理解できた。

     このようなお便りをいただく度に、国際友好を深める上でも
    自国の歴史や文化に関する教養は不可欠だとつくづく思う。そ
    してありがたいことに、わが国の歴史は心動かされる逸話に充
    ち満ちている。私はメルマガの執筆を通じて、日本がいかに立
    派な人材に恵まれた国かということを実感している。有名無名
    を問わず、己を捨てて国のために尽くした先人が数限りなく存
    在し、その姿を原稿にまとめていて、思わず涙が溢れてくるこ
    とがしばしばある。

     人口や資源の埋蔵量など、国力のバロメーターにはいろいろ
    な尺度があるが、真の国力は、国を思い、国に尽くす人間がど
    れだけいるかで決まると私は思う。日本が幕末に欧米列強の植
    民地支配を免れ、戦後世界第二位の経済大国にまでのし上がる
    ことができたのは、そういう人材がしっかりと国を支えてきた
    からだと私は思う。

     戦後こうした公の精神は薄れてきたとはいえ、まだまだ根底
    ではしっかり息づいている。地震などの天変地異に際して暴動
    も起きず、秩序を保って助け合う人々の姿がそれを証明してい
    る。その大本には、国民の安寧を祈る皇室の存在がある。国家
    の中心にそうした無私の祈りがあることが、日本人の国民性に
    大きく影響を及ぼしていると思う。いまの日本の若者をとやか
    く言う人が多いが、しっかり導けば立派な国際派日本人になる
    素養は十分にあると思う。

     国の将来を決めるのは、政治的な外交術でも資源の埋蔵量な
    どでもない。それを支える人である。わが国の基盤をつくって
    くれた先人に感謝し、子孫に対する自分の役割を自覚し、自分
    の立場でできることを実践する。そういう志を持った人が一人
    でも多く出てくるように微力を尽くしていきたい。
 

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