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        悠仁(ひさひと)親王のお名前に込められたもの

                                                   伊勢雅臣
■転送歓迎■ No.1193 ■ H18.10.02 ■ 8,586 部 ■■■■■■■

     秋篠宮家にお生まれになった親王のお名前は、「悠仁(ひさ
    ひと)」殿下と定められたが、このお名前について中国古典学
    者の加地伸行・大阪大学名誉教授が、実に味わい深い一文を著
    されているので、ご紹介したい。

         伝えられるところでは、秋篠宮両殿下のご意向として、
        「ゆったりとした気持ちで、長く久しく人生を歩んでゆく」
        意として、「悠」字を御選定とのこと。

         それはそのとおりであろうが、宮内庁のその説明では庶
        民的にすぎ、なにか物足りない。命名御発表直後、私は共
        同通信社から取材を受け、次のように答えた。

         「悠久」という熟語の形式は連文といい、共通する意味
        で結ばれているので、「久(ひさし)」という読み方を
        「悠」に充(あ)てることができる。つまり「悠久」とい
        う語を踏んでいると考える。

         さて『中庸』(四書の一つ)に「悠久は物(もの)を成
        (な)す所以(ゆえん)なり」とある。この『中庸』は至
        誠という徳を非常に重んじていて、その至誠のさまの一つ
        を「悠久」とする。その悠久の力によって物事(ものごと)
        を成就する(物を成す)ことができるというような意味で
        ある。

         それを具体化して言えば、至誠という絶えることなき徳
        を積むことによって(悠久)、自己の人格を完成するにと
        どまらず、世の人々を感化し、その徳や人格を高める(物
        を成す)ことができる、という意味がこもっている。

         さらに言えば、『詩経』(五経の一つ)に何回か「悠悠」
        という表現がある。例えば「悠悠として我(われ)思う」
        (雄雉(ゆうち)嵩)。その原義を抽象化すると〈人を愛
        する思いの深さ〉を示すことばだ。

         すなわち「悠(ひさ)」字に「至誠をもって生き、世の
        人々を感化するほどの人であれ。人間を愛する思いの深き
        人であれ」−−そのようなお気持ちがこめられているので
        はなかろうか、と感ずる。[1]

     国際派日本人養成講座では、終戦後、全国の国民を励まして
    巡幸された昭和天皇[a]や、大戦中唯一戦場となった沖縄を思
    い続けられる今上陛下のお姿[b]を紹介してきたが、「至誠を
    もって生き、世の人々を感化する」とは、まさに皇室の本質そ
    のものである。

     皇位継承者として、このお名前そのままのご成長をお祈り申
    し上げる次第である。

■リンク■
a. JOG(136) 復興への3万3千キロ
    「石のひとつでも投げられりゃあいいんだ」占領軍の声をよ
   そに、昭和天皇は民衆の中に入っていかれた。 
b. JOG(112) 共感と連帯の象徴
    沖縄の地に心を寄せつづけた陛下 

■参考■
1. 産経新聞「【正論】同志社大学フェロー、大阪大学名誉教授 
   加地伸行」、H18.09.21 東京朝刊 15頁 

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