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           日本の対中政治カードは「民主と人権」

                                                   伊勢雅臣
■転送歓迎■ No.1247 ■ H19.02.12 ■ 8,799 部 ■■■■■■■


     国際派日本人養成講座481号では「中国、太平洋侵出の野望」、
    482号では「『核の傘』は幻想か?」と、2週連続して中国の
    軍事的脅威を論じた後、483号では一転して「民主主義を支え
    る皇室伝統」[a]をテーマとした。

     実は、この3号は関連性を持っている。それは日本の最大の
    対中カードが「民主と人権」だからである。この点については、
    筆者は日本政策研究センター伊藤哲夫所長の論考「中国の『日
    本封じ込め』にいかに対抗するか」[1]に多くを負っている。

     氏の主張はこうだ。

         戦いにおいては、相手が一番嫌がることをするというの
        が鉄則である。それには日米同盟の強化であり、更にいえ
        ばその枠組みを台湾、オーストラリア、インドといった国
        々にも広げて行く、という発想なのだ。こうした広い視野
        をもった外交に日本は即刻着手すべきなのである。とはい
        え、そうした日米同盟関係を強化していこうとする時、最
        大の障害になるのが、米国の中に往々にしてある「親中」
        の傾向である。そこで第二に、この「親中」を牽制し押さ
        え込んでいくための何らかの手立てが求められるといえる。

         その時、われわれにとって最も有効な武器となるのが、
        「民主と人権」という視点ではなかろうか。中国が日本に
        対して繰り出すのが「歴史」であるなら、こちらは「民主
        と人権」を押し出すべきだということだ。これが中国にとっ
        ての最大の弱点であると同時に、こちらにとっては最大の
        「外交カード」だからである。米国にとっては、これは国
        家原理そのものともいえる「価値」であるからだ。

     幸い、安倍政権の価値観外交は、この戦略に基づいているよ
    うに思える。特にユーラシア大陸の外縁を取り囲む「自由と繁
    栄の弧」という概念は、「民主と人権」に欠けた中国を封じ込
    める自由主義諸国の連帯を目指したものだ。

     さらに、この戦略は、中国国内で「民主と人権」を求める人
    びとに希望を与え、内部からの独裁政権批判を勇気づける効用
    もあるだろう。

     そして、この戦略は、日本国内の親中派勢力に対して「自由
    と人権」を無視するのか、と問いつめることもできる。

     戦後の日本は、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼し
    て、われらの安全と生存を保持しようと決意した」というフィ
    クションの中で長らく惰眠を貪ってきた。日本国内の「親中派」
    などもその思考の最たるものである。「自由と人権」を外交カ
    ードにして、世界に訴えていくことは、この戦後の惰眠から覚
    醒することにつながる。これも重要な「戦後体制からの脱却」
    であろう。

■リンク■
a. JOG(483) 民主主義を支える皇室伝統
    昭和天皇曰く「日本の Democracy 化とは、日本皇室古来の伝
   統を徹底せしむるにあり」

■参考■
1. 伊藤哲夫「中国の『日本封じ込め』にいかに対抗するか」
   『明日への選択』H17.10 

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