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                 中国で評価される二宮尊徳

                                                   伊勢雅臣
■転送歓迎■ No.1256 ■ H19.03.05 ■ 8,814 部 ■■■■■■■


    「Voice」の本年3月号に掲載された山折哲雄氏の「江戸の経
    済思想家 二宮尊徳が蘇る日」が面白かった。

     氏によれば、「国際二宮尊徳思想学会」なるものが出来てい
    て、第一回のシンポジウムと創立大会が北京大学で開催され、
    つづいて第二回学術大会が2004年7月に、東京青山の日本青年
    館で開催されたとの由である。中国からは中国社会科学院、北
    京大学をはじめさまざまの研究機関からの研究者、大学院生
    26名が参加し、韓国、米国、英国、カナダなどからも馳せ参
    じ、日本からのメンバーと合わせて200名をこえる研究者が
    一堂に会したのだという。

     その「国際学会」の3回目が昨年の八月の上旬に大連の民族
    学院大学で開催され、山折氏も招待された。そこで大連民族学
    院大学教授の王秀文さんは、山折氏に、中国で二宮尊徳が注目
    を集める理由をこう述べたという。

         周知のように中国では1978年以降、トウ小平による改革
        開放がすさまじい勢いで進展した。それにともなって中国
        人の生活レベルもいちじるしく向上していった。
        ・・・

         だが、そこで気がついてみれば、経済的に進んだ東部地
        域と立ち遅れた西部地域の落差が広がり、少数の都会と広
        い農村地域のあいだに貧富の差がどんどん開いていった。
        そのため中国の新しい幹部層は、農耕の奨励と農村の振興
        を重点政策に掲げるようになった。そしてそのような観点
        からするとき、日本の江戸末期に農村の立て直しの指導者
        として成果をあげた二宮尊徳の人生と思想が大きなヒント
        になる、と考えられるようになったのではないか。

     中国から見れば、農民の間から二宮尊徳のような指導者が出
    て、多くの農村の自立を助けた、というような歴史は羨ましい
    限りなのであろう。わが国の歴史の豊穣さを改めて感じる。そ
    のありがたさに気がつかないのは、いかにも我々現代日本人が
    金持ち家族のぼんくら息子だからであろう。 

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