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            北京五輪ボイコットという圧力カード

                                                   伊勢雅臣
■転送歓迎■ No.1292 ■ H19.05.28 ■ 8,973 部 ■■■■■■■


     北京オリンピックは、中国共産党政府が国内外の威信をかけ
    て何としても成功させたいイベントだが、それだけに五輪ボイ
    コットという警告が有効性を持つ。

     米国議会下院の議員108人が5月9日、中国の胡錦濤主席
    あてに書簡を送り、スーダンのダルフールでの虐殺を続ける勢
    力への支援の停止を求め、中国側が十分な対応をしない場合に
    は2008年の北京五輪のボイコットにもつながると警告した。

     下院の8日の本会議でも共和党の有力議員アラン・ウルフ氏
    が有名女優のミア・ファローさんの北京五輪阻止論を紹介し、
    「中国は『一つの世界、一つの夢』というスローガンの下に北
    京五輪開催の準備を進めているが、ダルフール大量虐殺という
    『一つの悪夢』が存在するのだ」と述べ、北京五輪ボイコット
    運動への同調を表明する演説をした。

         同議員が紹介したのはファローさんが現地の視察を下に
        3月28日付ウォールストリート・ジャーナルに「ジェノ
        サイド五輪」と題して発表した論文。

         同論文は「ダルフールではすでに40万人が殺され、2
        50万が居住区から駆逐されたが、中国政府はその実行者
        であるスーダン政府を全面支持してきた」と中国を非難し、
        その詳細として(1)中国政府は国有の中国石油を通じて
        スーダンの石油の大部分を買い、スーダンの石油生産企業
        集団2つの最大株主となっている(2)スーダン政府は中
        国との石油取引からの収入の80%以上を虐殺を実行する
        アラブ人の民兵組織「ジャンジャウィード」用の兵器購入
        にあてている(3)同民兵組織やスーダン政府軍が使う爆
        撃機、攻撃用ヘリ、装甲車、小火器などの兵器はほとんど
        が中国製(4)中国は米英両国が推進する国連平和維持軍
        のダルフール派遣に一貫して反対してきた−と報告した。
        [1]

     中国は、スーダン政府から石油を買い、その代金で中国製の
    兵器を買わせている。さすがに商売の天才だ。しかし、オリン
    ピックは本来「平和の祭典」であって、死の商人が血に汚れた
    金にあかせて開催するものではない。

     そういえば、サッカーの試合で反日暴動が起きたときも、こ
    んな国でオリンピックが無事に開催できるのか、という声が国
    際社会にわき起こり、中国政府も慌てて、沈静化に努めた。

     面子にこだわる中国政府にとって、オリンピック・ボイコッ
    トはアキレス腱である。ただし、すぐにボイコットを決めてし
    まっては、政治カードとして効力がなくなってしまう。ここは
    米議会のように、警告として用いるのが、最上の策である。今
    後は日本政府もいろいろな問題で、圧力をかけるイエロー・カ
    ードとして使うべきであろう。

■参考■
1. 産経新聞「米下院108人 『中国はダルフール虐殺を支援」
   五輪ボイコット警告」H19.05.11、東京朝刊、3頁 

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