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                美しい心が美しい景観をつくる

                                                   伊勢雅臣
■転送歓迎■ No.1301 ■ H19.06.18 ■ 8,835 部 ■■■■■■■


     日本を訪れた李登輝・前台湾総統は、日本三景として知られ
    る松島の海景色を一望して、その美しさを

        松島や光と影の眩(まぶ)しかり

     と詠んだ。[1]

     その後、李登輝夫妻は「山寺」の名で知られる内陸の立石寺
    (山形県)へと向かった。

         昨日は海、今日から山。正直にいってびっくりした。森
        の緑のみずみずしさ。山が大切にされているなぁ。台湾も
        国として全体的な国土保全を真剣に考えなくちゃいけない。
        台湾はあと50年かかるかなぁ。[2]

     日本の海や山の美しさは、日本人が代々大切にして守ってき
    たものだ。

     ここで断っておきたいが、台湾の自然は世界的に見ても、か
    なり美しく保たれている方である。ただ、日本に比べれば、と
    いう事であろう。

     明治初年に東北地方を旅行したイギリスの女流探検家イザベ
    ラ・バードは、江戸時代の余韻を残す米沢について、次のよう
    な記述を残している。[a]

         南に繁栄する米沢の町があり、北には湯治客の多い温泉
        場の赤湯があり、まったくエデンの園である。「鋤で耕し
        たというより、鉛筆で描いたように」美しい。米、綿、と
        うもろこし、煙草、麻、藍、大豆、茄子、くるみ、水瓜、
        きゅうり、柿、杏、ざくろを豊富に栽培している。実り豊
        かに微笑する大地であり、アジアのアルカデヤ(桃源郷)で
        ある。自力で栄えるこの豊沃な大地は、すべて、それを耕
        作している人びとの所有するところのものである。・・・
        美しさ、勤勉、安楽さに満ちた魅惑的な地域である。山に
        囲まれ、明るく輝く松川に灌漑されている。どこを見渡し
        ても豊かで美しい農村である。

     しかし、こうした美しい光景は、我々の先祖が作り出したも
    ので、戦後の日本はどのような美しい光景を作り出したのだろ
    うか。日本の都市の景観のひどさを思うと、外国からお客を迎
    えるたびに恥ずかしい思いがする。

     特に最近は、周囲との調和など一切考えない、黄色やピンク
    の建物があちこちに作られて、自己中心的な現代日本の風潮が
    そのままに現れているようだ。

     美しい心が美しい景観を作り、その美しい景観が次世代の人
    々の美しい心を育てる。「美しい国」とは、景観の面でも美し
    くなければならない。建築や不動産関係の仕事をしている人々
    には、ぜひこの事を念じて、少しでも美しい景観に近づくよう
    な建築や都市開発をお願いしたい。

■リンク■
a. JOG(091) 平和の海の江戸システム
    日本人は平和的に「自力で栄えるこの肥沃な大地」を築き上
   げた
b. JOG(501) あなたは自分の言葉で日本を語れますか?(下)
    自分の中の「見えない根っこ」を見出し、自分の言葉で「日
   本を語る」必要がある

■参考■
1. 産経新聞「【私の奥の細道 李登輝】(2)松島の海景色 
  『やっぱり西湖より美しい』、2007.06.13、大阪朝刊、7頁
2. 産経新聞「【私の奥の細道 李登輝】(3)見極める『本質』
    台湾再生へ 終わりなき旅」、2007.06.14、大阪朝刊、6頁 

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