[トップページ][371.6 教育改革]
■■■■■■■■■ JOG Wing ■ 国際派日本人の情報ファイル■ トイレ掃除と公共心 伊勢雅臣 ■転送歓迎■ No.1304 ■ H19.06.25 ■ 8,869 部 ■■■■■■■ 6月12日付け産経新聞によれば、時事速報の中の「中国政 策トレンド」というコラムで、富士通総研上席研究員の柯隆氏 が次のように書いている、と言う。[1] 集合住宅に住む友人の家を訪ねると、階段や廊下などの 共有部分の照明はほとんど壊され、床も掃除されておらず 汚かった。しかし、一歩家の中に踏み込むとぴかぴかに輝 いている。 この記事は、ここから「こうした公共心の無さがいまや上海 の生命線をも断ちかねない状況になっている」と議論を展開し ていくのだが、筆者の興味を引いたのは、汚い共有部分とぴか ぴかの「家の中」、すなわち私有部分の対比である。 自分の家の中を綺麗に保つことは「私事」である。綺麗な家 で暮らしたい人が、自分のために自分の家を綺麗にしているだ けで、それは公共心とは関係ない。 ところが、階段や廊下など共用部分を綺麗に保つということ は、「他人のために自分が掃除する」という公共心の発露であ る。 ここで思い出すのが、JOG(480)「心を磨くトイレ掃除」で紹 介したイエローハット社長・鍵山秀三郎氏の「掃除道」である。 生徒に学校のトイレを掃除させることで、問題校の立て直しが できた、という事例がいくつも報告されている。[a] たとえば、広島県立安西(やすにし)高校。以前は「校内に は至るところゴミが散乱し、ところかまわず平気でゴミを捨て ていました。トイレのなかも想像を絶する汚さでした」という 状態だった。 同校で生徒によるトイレ掃除を続けていった結果、服装の乱 れも見かけなくなり、問題行動も激減していった、という。 興味深いのは、7年ぶりに体育祭を復活させることができ、 その中で生徒たちがチームワークのとれたマスゲームができた という。それだけ、生徒たちの公共心が発達したということだ ろう。 鍵山氏は「日本をゴミ一つない国にしたい」と活動を続けて いる。駅や道路などの公共部分にゴミ一つなくするためには、 それだけ高度な公共心を国民一人一人が持った社会にする必要 がある。 それはよく清掃されたという意味で「街の美しい国」である ばかりでなく、人々の心が公共心に満ちて、互いに思いやりを もっている、という意味で「心の美しい国」であろう。 ■リンク■ a. JOG(480) 心を磨くトイレ掃除 問題校の建て直し、暴走族の厚生、地域の犯罪 防止にトイレ 掃除が大きな成果を上げている。 ■参考■ 1. 産経新聞、前田徹「【汚い中国】繁栄の足元流れる汚濁水」H19.06.12© 平成19年 [伊勢雅臣]. All rights reserved.