[トップページ][201.751 大東亜戦争:開戦への罠][501.6 エネルギー危機]
■■■■■■■■■ JOG Wing ■ 国際派日本人の情報ファイル■ 先端技術でエネルギー安全保障 伊勢雅臣 ■転送歓迎■ No.1337 ■ H19.09.10 ■ 9,072 部 ■■■■■■■ ■1.エネルギー安全保障のための代替エネルギー開発■ JOG(513)では、大東亜戦争開戦時において、日本が人造石油 (石炭の液化等)の大量生産に成功していたら、米国が石油禁 輸をしても、開戦に追い込まれずに済んだ可能性を指摘した。 [a] 代替エネぎー開発は、一国のエネルギー安全保障にとって、 有効な手段となるが、それには長い時間がかかる。長期ビジョ ンのもとに進める必要がある。 ここでは、代替エネルギーに関する最新の技術を紹介しよう。 ■2.「燃える氷」メタン・ハイドレート■ ひとつは、「燃える氷」と呼ばれるメタン・ハイドレートで ある。これは堆積物の中で生成された有機物のメタンが氷の結 晶に取り込まれ、地中や海底の高圧と低温でシャーベット状に 固まったもの。1立方メートルのメタンハイドレートから、約 170立方メートルのメタンガスが生成される。 このメタン・ハイドレートが紀伊半島東側に広がる東部南海 トラフに1.1兆立方メートル存在することが、最近の海底調 査で判明した。日本近海全体では現在の天然ガス消費量の百年 分以上の資源量が存在する可能性が出てきた。 問題はコストで、水深1千メートルの海底を2〜300メー トル掘らなければならないので、現状での推定コストは1バー レル54〜77ドル。昨年のLNG価格が41ドルでまだ開き があるが、技術改良によるコストダウンと、LNG価格自体の 高騰で、商品化の可能性は充分あると見られる。[1] メタン・ハイドレートの活用で、世界的なエネルギーコスト の上昇の中でも、安定した国民生活を送れるようにすることを 目指すべきだ。 ■3.低品位石炭■ 石炭は火力発電や製鉄などで活用され、今も世界のエネルギ ー消費の4分の1を占める。しかし、日本はその大半を高品位 の歴青炭に依存している。内部に25〜40%の水分を含む褐 炭は熱量が低いために敬遠されてきた。 神戸製鋼では、150度の灯油で加熱して「天ぷらの原理」 で褐炭の水分を飛ばす技術を開発した。経済産業省の支援を受 け、インドネシアでプラントを建設し、実証試験を行う。 褐炭は硫黄分が瀝青炭の3分の1と低く、燃やしてもSOx (硫黄酸化物)などの排出が少ないので、環境にも優しい。 [2] 石炭は、石油やガスに比べて埋蔵量が多く、しかも広く分布 していることから、エネルギーの安定供給を確保する上で、重 要な役割を果たす。その中でも褐炭の埋蔵量は、石炭全種類の 約半分を占める。これが新たに利用できるようになるわけであ る。 -------------------------------------------------------- このような代替エネルギー開発によって、日本がエネルギー の自給体制を築く可能性は十分にある。国家戦略として、これ らの技術開発に注力すべきである。 ■リンク■ a. JOG(513) 石油で負けた大東亜戦争 日本は石油供給をストップされて敗北したが、現在でもその リスクはさらに深刻化している。 ■参考■ 1. 産経新聞「紀伊半島東方にメタンハイドレート1.1兆立方メ ートル 燃える氷『14年分』」、H19.03.09、東京朝刊、1頁 2. 産経新聞「低品質資源を狙え 鉄、ニッケル…技術開発、安定 供給へ 」、H19.08.29、東京朝刊、2頁© 平成19年 [伊勢雅臣]. All rights reserved.