1. 「I'm An Old Cowhand」"Way Out West"Sonny Rollins 1957
ソニー・ロリンズのテナー・サックス、レイ・ブラウンのベース、シェリー・マンのドラム、という三人編成なので、各人の名人芸がよくわかると思います。 三人それぞれのアドリブ・ソロが実にすばらしいです。
2. 「Billy Boy」"Milestones" Miles Davis 1958
今度はピアノ・トリオです。この演奏実はトランペットのマイルス・デイビスのアルバムに入っています。 レッド・ガーランドのピアノ、ポール・チェンバースのベース、フィリー・ジョー・ジョーンズのドラムですっごく快適に スウィングしてます。ベースはピアノのバックでは「ウォーキング・ベース」ソロでは「アルコ奏法」を聴かせてくれます。
第四回でやった「同曲異演コーナー」が好評だったので、ベース版をやってみることにしました。
3. 「Donna Lee」"The Genius Of Charlie Parker" Charlie Parker Quintet 1947
曲はアルト・サックスの「神様」チャーリー・パーカーの(マイルス作との説もあります)「ドナ・リー」です。 まずパーカーのオリジナル吹き込みを聴いて下さい。
4. 「Donna Lee」"Jaco Pastrius" 1975
第一回で紹介したジャコ・パストリアスはこの曲をデビュー・アルバムの一曲目で、パーカッションとのデュエットで 録音しています。この演奏で当時のジャズ・ファン、ベース奏者は軒並みの大ショックを受けました。「エレキ・ベースの革命」 と言われたものです。
5. 「Donna Lee」"The Paris Concert" Oscar Peterson 1978
もう一回「ドナ・リー」です。今度はオスカー・ピーターソンのライブ録音なんですが、御大のピアノはお休みで バックのニールス・ヘニング・エルステッド・ペデルセンのベース、ジョー・パスのギターのデュエットです。このペデルセン はデンマーク出身の人ですが、十代から一流ジャズメンと共演してきたウッド・ベースの名人です。この「ドナ・リー」という曲、 聴けばわかる通りテーマを演奏するだけで「ものすごく難しい」曲ですが、ペデルセンはウッド・ベースでしかもものすごく速いテンポで 軽々と弾いています。もちろんただ弾ければいいのではなくてアドリブの内容が勝負。内容が良いから持ってきたのです。
6. 「Swingin' 'Till The Girls Come Home」" At Basin St. East" Lambert, Hendricks and Bavan 1962
最後は、ちょっと変わったボーカルを聴いてみましょう。ランバート・ヘンドリクス・アンド・ベヴァンは男性二人女性一人の コーラス・グループで、レコードになっているジャズの名演に歌詞とコーラスをつけて(楽器のアドリブ部分も!)歌うというが特徴という「通好み」のグループです。 今回はベース特集なので、面白いものを持ってきました。前回出てきたオスカー・ペティフォードの曲なんですが、なんとベース・ソロのまねで歌詞なし(スキャットといいます) のアドリブ・ボーカル・ソロをやります。さらに最後に有名なベーシスト四人の名前を次々に挙げながらいかにもそのベーシストらしいベース・ソロを歌います。マニアックですねえ。 パーシー・ヒース、ポール・チェンバース、レイ・ブラウン、チャールズ・ミンガス、と続きます。
(男子B)今日は生のベースの音が聞けておもしろかった。1.を聞いて自分でもサックスをやりたいと思った
5.のベースとギターもよかった。特にベースがソロですごい速弾きするところがとても良かった。最後のボーカルは、マンハッタン・トランスファーに似ていて
気に入った。
(男子C)今日のレコードもまたわけがわからなかったけど、少しはジャズがわかったような気がした。
(女子D)大きな楽器をあんな間近で見たのははじめてだった!「ドナ・リー」のオリジナルは思っていたよりずいぶん短かった。
ジャコ・パストリアスのはなんかへんな音だなあと思った。三番目の「ドナ・リー」がいちばんよかった。最後の曲は、人が楽器のまねをするなんて面白いと思った。
今まで聞いた中で一番おもしろい!
(女子E)1.は人が歩いているような曲ですごく楽しそうだった。ベースの重々しさが暗い感じを出さなかったのが不思議だった。 ドラムが楽しくて、サックスもなんだかうかれていたように思えた。2.はリズムの速さがとても気持ちよかった。こういうテンポのジャズも好きです。 パーティーやっているみたい。ベースを弓で弾くとすごく気持ちよさそうで、演奏している人の顔が見たいと思ったくらい。 3.は短くてあんまりよくわからなかった。4.はすごいとしかいいようがない。ジャコ・パストリアスが好きだけれどソロを聞くのは初めてだった。5.はすごく速くて 何が何だかわからなかった。でもすごいテクニックだなあと感動してしまった。もっと長い曲を今度は聴きたい。6.はベースのものまねなんておもしろいことをよく考えついたと 思います。ミンガスの名前しかわからなかった。
(女子F)いろいろなベースの演奏法を聴いて、同じ楽器でも全然違ったイメージになって、とてもベースはおもしろいと思った。
(男子G)ジャズというとずいぶん地味な音楽のように思っていたが、そんなことはない。 平静を装いながらも内側は変化に富んでいる。ホーンやボーカルの影になりがちなベースはその象徴のように思える。