「のだめカンタービレ」二ノ宮和子
「神童」さそうあきら、「ピアノの森」一色まこと、などハズレのない(息子の弁)クラシック音楽もの。3巻までしか持ってこないので、最新刊6巻まで買った。これは面白かったなあ。コントラバスの描き方が甘いけど。
あと、「東京家族」山崎さやか。「武富智・短編集A/B」。「GO」金城一紀・近藤佳文。「ES」惣領冬美など。
みんなそれなりにおもしろいぞ。「ES」の続きを早く読みたい。
1960年代後半から70年代初めにかけて、「漫画アクション」などに散発的に載った、アメコミ・タッチだけどおそろしくセンスのある、パロディとブラック・ユーモアに満ちた漫画。
高校生の頃読んでホントにショックだったなあ。
単行本は出版されず、いつのまにか名前も聞かなくなった。
ダディ・グース、今は小説家・矢作俊彦として知られている。漫画マニアには「気分はもう戦争」(絵・大友克洋)の原作者・作中人物としておなじみのはず。
後書きだけさっき読んだ。かっこいいなあ。
矢作俊彦という名前は著者紹介欄含めどこにも入ってないのがいいな。
さあて、30年以上待った本だ、ゆーっくり読もう。
手塚治虫は、作品を雑誌連載時と単行本刊行時で大幅に変えてしまうことで有名。変更点を大量の貴重な図版を使って丁寧に解説した20年がかりの労作だ。実に面白い!
僕自身、雑誌で見た好きな場面が単行本になかったり、せりふが変わっていたりして戸惑ったことがある。その一つがこの本に載っている「ハトよ天まで」のエピソード。
小学校の頃、手塚キャラの「ヒョウタンツギ」に凝ってたので友人が当時サンケイ新聞に連載中の「ハトよ天まで」の切り抜きを見せてくれた。なんとヒョウタンツギが大活躍するエピソードで普段は見せないヒョウタンツギの後ろ姿や横顔まで丁寧に描かれていた。
後年、「ハトよ天まで」の単行本(文民社版。700ページもあり分厚く高価だった)を手に入れて楽しく読んだのだけど(手塚治虫の特筆すべき傑作の一つだ)なんと、例のヒョウタンツギのエピソードがない。長すぎるのでかなり本筋以外のエピソードをカットしたそうだ。
今回の「手塚治虫の奇妙な資料」にそのヒョウタンツギの回が完全収録されている!やっと40年ぶりに見ることが出来て感動。
「猫田一金五郎の冒険」とり・みき
10年かけて「猫田一シリーズ」が一冊にまとまった。快挙。こういうマニアックなストーリー・ギャグを書くのはとり・みきと唐沢なをきの他に誰かいるのかな。
「アラベスク」山岸涼子
初期の定評ある作品だけど、「バレーまんが」というので敬遠してたのを後悔した。さすが山岸涼子だ。みごと。
「トモルの星」永野のりこ
永野のりこ最新作は、例によって白衣の眼鏡少年とトラウマ美少女のお話。繰り返し繰り返し同じモチーフの作品を描くけど面白い。好きだなあ。
どれも日本の漫画のすばらしさを再認識させてくれる。
今思いつく僕の手塚治虫ベスト:「フィルムは生きている」「ゼオの遺産」「白いパイロット」・・
生身の手塚治虫に会ったのは3回。初めは小学校低学年の頃、井の頭公園の動物園でサイン会かなんかやっているのを見た。2回目は中学校の頃かなあ、
近くの獣医畜産大学の学園祭の講演を聴きに行った。3度目は大学生の頃、荻窪の清水画廊での講演会。ヒゲオヤジやケン一など自分のキャラクターを
実在の人物のように語るのがすごく印象深かった。
手塚漫画で育ったせいか、手塚治虫を自分の父親のように感じることがある(実の父親はまだまだ元気で隣に住んでるけど)。
☆ 「六福神−妖怪ハンター・シリーズ−」諸星大二郎
「ブルー・ワールド−全四巻−」星野之宣
「石神伝説 1,2」とりみき
諸星大二郎と星野之宣。同時期に「少年ジャンプ」でデビューしてからずっと読んでいる。
二人ともSF漫画を大きく発展させた漫画家だ。今回の作品もほんとにおもしろい。
でも、いつも思う事がある。星野之宣の作品(ブルーワールドはもちろん「ヤマタイカ」や「宗像教授シリーズ」
も含めて)から受ける感動はSF小説を読んで受ける感動と「同質」であるということ。
星野作品は漫画として
(ある意味で)完璧だ、正確でリアルな絵、かわいい女性、よく練られたストーリー。しかし、長年SF小説を
読んできた者としては「同質」の感動では物足りない。漫画ならではの「なにか」が欲しい。まあ贅沢な望みだけど。
日本民話などに題材を取った作品を読むとどうしても昔小松左京や豊田有恒、半村良などが書いた傑作がうかんでくる。
その「なにか」があるのが諸星大二郎なんだ。
とりみきも「少年チャンピオン」でデビューしたときから好きだった。はじめは「吾妻ひでお」の影響が強すぎたけど
今ではすっかり漫画界に独自の位置を占めている。
「愛のさかあがり」のような随筆まんが「遠くへいきたい」で完成をみた(?)
シュールな無言まんがそして「石神伝説」は諸星、星野ばりの伝奇SFだ。なかなか読ませる。でも私が一番好きなのはやはり「犬家の一族」
のようなナンセンスギャグ・ストーリー物だ。
☆ 「電波オデッセイ3」「ちいさなのんちゃん」永野のりこ
すっかり「永野のりこワールド」の虜になってしまった。おもしろい。実にうまい。「漫画」への愛情を感じるなあ。
「すげこまくん」を読んで「電波オデッセイ」を読んだら、関係ないけど喜国雅彦を思いだした。彼も「まんが王」などの
初期作品ですっかりはまったのだけどそれらの作品はすごく面白いと同時に過去の漫画への愛情を感じた。そして近年の
「月光の囁き」で少年漫画と異常性愛(と言っておこう)の融合という前人未踏の新境地に達した。
永野のりこに戻るけど「ちいさなのんちゃん」は形式はよくあると言えばよくある子育てまんがなんだけれど、
さすが永野のりこ、ありきたりとは全く無縁。おもしろい。
☆ 「ガラスの仮面41」
言わずとしれた「ガラスの仮面」だ。学生時代「花とゆめ」まで買っていた頃にはもう連載していたんだから
もう何年になるんだろう。そろそろけりをつけてほしいなあ。
・「伝説の漫画家」宮谷一彦。彼は70年代始め三鷹に住んでいたので
同じ市内に住む私は一度だけ彼とすれ違ったことがある。
1971年頃、私が高三か浪人の頃。彼の短編「風に吹かれて」
に出てくる「太宰のにおいがする」三鷹陸橋のすぐ近くで私は
バイク、彼は歩きで確かジーンズの上下を着ていた。
彼の顔は当時出たばかりのCOM増刊「性蝕記」に妊娠中の恋人と
ヌード写真が掲載されていたのでよーく知っていた。
彼の漫画に出てくる「JOTA」という喫茶店が三鷹文化という映画館
(今はもうない)のそばに漫画そのままにあるのを発見して、入りた
いなー・・と思いましたが、とてもそんな度胸がなかったので、偶然
会えてほんとにうれしかった。緊張して、話しかけるどころか振り向く
ことすらできなかった。当時のまんがファンにとっては神様みたいな人でした。
宮谷一彦が表紙画を書いていた青年コミック誌がいま手元に三冊ある。
「劇画コミックサンデー」という昭和43年発行で単行本未収録の長編
を連載している。70年代後半に三鷹駅南口の三鷹事件で電車が突っ
込んだという古本屋で手に入れたのだがなぜか三流劇画誌が山積みになって
いて、宮谷の載ってるのを選んでるとなんとオナニーの痕がぐっちょり
ページに残っているのがあってのけぞった。まあ、あの店の主人は昔から
漫画やエロ本を端から馬鹿にした態度で扱うからなあ。
長年蓄えてきたまんが雑誌を「まんだらけ」に売ったとき、宮谷の載って<
いる雑誌持っていったのだが宮谷では値が付かないと言われて売るのを
やめた(大友克洋の単行本未収録作が載ってるヤングコミックは高く売れたのに)。
昔、少年ジャンプで池沢さとしが宮谷一彦の盗作したことがある。
「あらし!三匹」という彼の出世作で(「サーキットの狼」の前)
宮谷の「逃亡者」というそれはみごとなカー・アクション短編を
2ページに渡って丸写しにした。わたしは怒り狂って生まれて始めて
漫画家に抗議のハガキを出した。−もちろん返事はなし−単行本は
どうなっているんだろう?
いしかわ氏によると池沢さとしはバイクの限定解除のときもズルしたのを
高千穂遙に目撃されているそうだ。