(2)トイレッティング方法

 トイレッティングは粘稠な喀痰を吸引し易くし,気道閉塞を防ぐために行います.
 @必要物品
 生理食塩水(20ml入り),5mlか10mlの注射器,レスバック(アンビューバッグ),滅菌カテーテル(12〜14フレンチのサイズ),滅菌容器,滅菌手袋,吸引器,生理食塩水か蒸留水(500ml入り)を準備します.
 レスバック,吸引器は,患者さんに自己負担で購入していただかねばなりませんが,注射器,滅菌カテーテル,滅菌手袋は,かかりつけの医療機関から入手できます.

 A方法
 一人での操作は煩雑ですので,二人で行いましょう.一人(Aさん)は生理食塩水の気道内注入を,他の一人(Bさん)は吸引操作を行います.

 a)滅菌容器に生理食塩水か蒸留水をいれておきます.
 b)ポータブル吸引器の電源を入れます.
 c)連結チューブの端をふさぎ,吸引圧を調べます.医療機関の吸 引器の吸引圧は気道粘膜を損傷しない程度の80〜120mmHgが適当と されていますが,ポータブル吸引器の吸引圧はそれよりも低くな っています.
 Aさんは,
 d)人工呼吸器の蛇腹とカニューレの連結をはずします.
 e)注射器で4〜6ml程度の生理食塩水を注入します.
 f)レスバックで加圧します.1秒間に1回程度10〜20秒行い ます.
 Aさんがアンビューバッグで加圧している間,Bさんは,
 g)患者さんの胸をたたいて,痰を出しやすくします(タッピング).
 1秒間に1回程度10〜20秒行います.叩く強さは,患者さんの皮膚 が赤くならない程度にします.
 h)そして,非利き手に連結チューブをもち,利き手に滅菌手袋を はめ,カテーテルを持ちます.
 i)非利き手でカテーテルと連結チューブを接続し,カテーテルを 滅菌容器に入れ,濡らします.
 Bさんの準備ができたら,Aさんは,
 j)アンビューバッグの加圧をやめ,アンビューバッグをカニュ ーレからはずします.
 Bさんは,
 k)非利き手で連結チューブを圧迫しつつ,カテーテルを挿入で きるところまで挿入します.カテーテルはできるだけ素早く挿入 します.
  カテーテルを挿入しながら吸引を行ってはいけません.
 l)連結チューブの圧迫をゆるめ,吸引を行います.吸引は10〜15 秒程度で行います.回転させながらゆっくり抜去します.回転さ せるのはチューブ内に組織が引き込まれ損傷が起こらないように するためです.
 この操作を数回繰り返します.吸引終了後はカテーテル,連結チューブを滅菌容器の生理食塩水を吸引し,洗浄します.

(斉藤 利雄)

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