ニセ偽医者

はぁ?ニセ偽医者ぁ?なんか、間違ってんじゃないの?と、思ったあなた。あなたが間違ってます。これから書くのはニセ偽医者のことです。ま、とりあえず、そういうことなんです。深く考えないでください。

 偽医者とは、時々聞きます。町で一番人気の医者が、実は偽医者だったなんて笑い話のようなことが、たまに新聞の紙面をにぎわせたりします。偽医者にかかった人は「そういえば、いつも同じ薬しかもらわなかったから、考えてみればおかしい。」だなどと、無責任なことをインタヴューで答えてたりします。いや、あなた、おかしいと思ったら医者変えたほうがいいよ。信用できない医者に体預けてどうすんの?と、思いますが、ま、偽医者にかかって死んでいないところをみると、たいした病気ではなかったのでしょう。健康保険使っただけ社保や国保の赤字が増えたってだけで、たいした影響はなかったようです。なら、病院なんて行く必要ないのにねぇ。

 じゃ、ニセ偽医者ってなんでしょう?偽医者は医師免許を持っていない、医者のフリをした素人ですが、ニセ偽医者は医師免許を持っている、法律上は正規の医者です。つまり、医者なんです。なぁんだ、医者ならいいじゃない。なんて、タカをくくっているあなた。あなたは死にます。さよぉなら。偽医者なら、どこかでばれて逮捕されるから、それ以上被害も増えないのでよいのです。しかし、ニセ偽医者は、法的には問題ないので問題なのです。なんだか、禅問答のようになって来たな。ニセ偽医者は問題でないから問題だ。なんだ、そりゃ?

 だってそうでしょう。偽医者なら、あいつインチキだ訴えてやれ!で、逮捕されれば終了です。しかし、ニセ偽医者はニセの偽医者ですから、本物の医者。インチキだ、と思っても、本物の医者だから、そう簡単には訴えられません。訴えたとしても、診療に対してインチキだと証明することが大変。専門的な知識がなければ太刀打ちできません。それに、下手すれば、名誉毀損だとか言われちゃうかも。こっちの身が危ない。だから、偽医者は捕まっても、ニセ偽医者は捕まらない。ずぅっと、インチキを垂れ流すのです。

 垂れ流しのインチキはいけません。借金したことある人はわかるかもしれませんが(わかりたくないかも)、すこーしづつながぁい間取られる方が、実感がわきにくくて、ふたを開けてみればたくさん取られてるのです。インチキの垂れ流しニセ偽医者も同じで、長くインチキを垂れ流すと、じゎ〜っと被害が浸透していくのです。いわゆる「茹で蛙」になるってことです。茹蛸や茹でウインナーなんてぇのは美味しいですけど、茹で蛙はねぇ。

 そうそう、何で、ニセ偽医者なのかというと、偽医者程度の知識や技術しか持ってないけど本当の医者、ニセの偽医者だからです。ほんと、始末に終えない。ま、世の中、善人面した悪党ほど困るものはありませんから。偽医者面した医者ほど困るものはないというのもうなずけます。ほれ、あんな医者やらこんな医者やら、開業したり、勤務医したり、へたすりゃ総合病院の院長だったりしますが、ほんと、偽医者なみ。世の中では、新設私立三流医大の卒業生がそうに違いないなどと、差別的なことを考えている人もいますが、違います。そういう人のほとんどが、聞くだけでひっくり返りそうな立派な大学の医学部を出ているのです(なかには、悪名の高い新設私立三流医大の卒業生もいますが・・・。)

 今、話題になっているリピーター医者なんていうのも、ニセ偽医者の類です。まぁ、世の中の名医といわれる人も誤診率は30%ぐらいはあるといいますから、100%正しいということはないのですが、それにしても、あの手の医者は懲りない。一度失敗したら、少しは学習しろよな。と、思いますが。なぁに、ニセ偽医者ですから、そんなことはまったく意に返さない。何回失敗しても、俺が痛いわけじゃないシィ。位しか思ってないわけです。

 ニセ偽医者の問題は、それだけではありません。ニセ偽医者は、やたらに流行っているところが多い。これが問題なのです。ニセ偽医者だから、ロクなことはしない。よくわかんないので、意味なく検査やりまくり。よくわかんないので、意味なく薬だしまくり。よくわかんないので、いつまでも病院に来させまくり。かくして、患者さんはたまりにたまって、いつも混んでいるものだから、みんなが人気の病院だと勘違い。さらに人が押し寄せる。面白いもんだから、マスコミも飛びついて記事にしますしね。どんどん加速度的に人気が出ます。さらに時間がなくなり、診断もいい加減。まともな知識なんて無いから、診療なんていい加減なものですよ。大抵は、それで問題ないです。問題あれば、痛いとかつらいとかで他の病院にかかるしね。ま、九割がたは問題ないでしょ。

 さらに、そいう病院に慣らされている人がふえれば、他のまともにやってる病院で受けている治療がおかしく思えてくる。まともな治療を受けている人に「薬出してくれないなんておかしいわよ。」とか「そんなに早く治るはずないわよ。」とか、平気で言っちゃう。そういわれれば、なんだかいけないような気がして、言われた人も人気病院へ。ああ、勝手に行って処方でも検査でもしてもらってください。大丈夫、間違った薬ちょっとのんだり、いらない検査ちょっとしたくらいじゃ、死にゃぁしないし。ま、たまぁに死んじゃう人もいるけど・・・。

 本来、医者の役目は病気を治して病院に来なくてもすむようにすることでしょう。だから、医者なんて儲かるはず無い。医者は、本当に治療が必要なのかどうかを判断して、治療が必要なら、どの薬やどの治療をが必要なのかを教えるのが仕事なのです。いったい、誰が、医者に癒してもらえなんていったんだ?勘違いもいいところ。ニセ偽医者に限って、治療しなくても病院に通ってもらう方法として、癒しを売りにするんだよな。だいたい、週に一回とか月に一回しか会わない医者に癒しを求めるなんて、どうかしてるよ。まぁ、週に一回とか月に一回しか会わない愛人に癒しを求める親父や、若いツバメに癒しを求めるオバハンも多いからね。そういう、インスタントな人はそれでいいんだろうけど。でも、そんなイージーに癒しを求めると、手痛いしっぺ返しを食いますぜ。なんせ、医者はあなたが死んでも、明日からは普通の生活しているんです。あなたの家族や、あなたの友達は、あなたが死んだら、一生悲しんでくれるでしょうが、医者にとって、あなたはたくさんいる患者さんの一人。空よりも深く、海よりも高くあなたのことを思ってくれているのです。勘違いしちゃいけません。医者は、イルカや子犬じゃないんだからねっ!そんなものに癒しを簡単に求めていいもんですか!癒しは、己の内に求めるもの。深い自己洞察や同類への慈しみがなければ生まれないものです。

 そんなぁ、冷たい。なんて思ってる人、そういう医者だって、家族を失えば深い喪失感に涙する一人の人間なのです。つまり、あなたを本当に癒してくれるのは、医者じゃない。家族や友人なのです。大体において、医者の癒しで治るような病気は、精神科の領分です(ただし、本当の精神病は薬のまないと治らない)。普通の医者は、ただ、必要な治療や薬を紹介してくれるだけの技術者にすぎません。何回言っても足りんな。癒しなどを売り物にしているのは、ニセ偽医者です。治療もよくわからん。薬もよくわからん。だから癒しなどという、ちょっとかっこよくて正体不明なものに価値を求めたがるのです。でもねぇ、医者が癒してくれるはずないじゃん。医者が癒してくれると勘違いして、医者にしこしこと通っているあなた!それは、医者があなたを癒しているのではなくて、あなた(が払う治療費)が医者を癒しているのです。そんなことのために保険を使うのは止めなさい!!もったいない。

 医師会でやっている、心に響く医療コンクール。ウウ、ぞぞげがたつ。いや、書いている人は真剣だから非難するつもりはないし、そういう特殊な医者・患者の関係もあるのだろうけど、誰もがそうだと考えるのは性急ですぜ。ああいう偽善的なキャンペーンを打ち出して、得意になっているジジィども気持ちわるぅ。なんて書いてると、ホント私は極悪非道の悪魔みたいな医者に思われてしまう。でも、変な期待させない方が、本当にあなたのことを思っているんですよ。不正請求インチキサイトだって、最初は思わせぶりなことが書いてあって、実際見てみると、大したことないでしょう。(何で知ってるんだ、そんなこと?)映画だって、コマーシャルで派手にやってるやつほど、面白くないじゃないですか。ラーメン屋も、頭の悪い女優が「お〜いしぃ〜」なんて言ってるところに限って、混んでる割にはまずい。そんなもんです。思わせぶりってのは、実は、中身が無いから宣伝は魅力的にしているってことです。医療なんて、思ってるほど効果はないんですって。だから、思わせぶりなこと言って、医者に行くように仕向けたがる。思わせぶりな話ほど、最後には人をがっかりさせるものです。

 それにつけても、ニセ偽医者に慣らされて、薬くれの検査しろのと騒ぐ人の多いこと。いちおうCaptainとは言ってるけど、私も医者やってるんですけどぉ。言わしてもらっちゃなんですが、そんな検査意味無いですぜ、奥さん。でも、そういうとムッとするんだよな、最近の人たちは。私もニセ偽医者のふりして、検査や投薬しちゃおっと。それで喜ばれて、さらに医院の収入になるんだったら一石二鳥だしぃ。ニセ偽医者のフリをする私はニセニセ偽医者です。わけわからんな。

      はぁ?Cap.TAKAはニセニセ偽医者だってぇ?やっぱ、わけわからん!!HOMEへ