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2001.4.24



昨日は帰宅即爆睡であったため、本日はそれなりに充実している俺である。
従って、最初からスラッシュビートで突っ走るのである。


前回は、骨形成を伴う骨腫瘍をお送りしたのであった。
今回はその続き、骨形成を伴う軟部腫瘍及び腫瘍類似病変をお送りするのである。

まず化骨性筋炎(myositis ossificans)。これは若年性の筋・腱・靱帯
などに骨化をきたす良性疾患であり、既往に外傷がある場合(外傷性化骨性筋炎)
と無い場合(非外傷性化骨性筋炎)がある。

肘・大腿・股関節に好発。

急性期には軟部腫瘤のみであるが、2〜6週経過(亜急性期)すると骨化して
くるわけである。そして6〜8週すると、今度はこの骨化が、辺縁は明瞭で内部は
ぼんやり、といった様相を呈している。辺縁に行くほど明瞭な骨化、これを
病理学的に「ゾーン現象」というらしい。流星人間。違うな。
画像所見もこの辺を反映し、最初は軟部腫瘤、じきに無構造な骨化、そして
辺縁に行くほどかっちりした硬化巣、となる。

鑑別は基本的に骨化あるいは石灰化をきたしうる全ての腫瘍性病変、ということに
なるが、中でも重要なのが、次に出てくる骨外性骨肉腫。これはゾーン現象の
有無が鑑別の鍵であるが、逆にそれ故に、まだゾーン現象が出てこないうちの
亜急性期の病変は、鑑別が肥厚に困難であることになる。っていうか実際困難。
あと、進行性骨化性線維異形成っていう、全身の結合織がどんどん骨化して
行くという、まるでRPGに出てくる石化呪文のような常染色体優性の疾患が
あって、それも鑑別に挙がるわけである。

最後に、その骨外性骨肉腫(extraskeletal osteosarcoma)
これは30歳以上の下肢、特に大腿に多い。もしかしたら年齢で微妙に鑑別が
つくかも知れない。
深部の大きな軟部腫瘤として認められ、内部に不整形で雲霞状の骨化を認める。
さっきも言ったけど、まだ層状になる前の化骨性筋炎との鑑別は困難である。


では、次は、骨形成を特徴とするその他の疾患である。

まずは骨斑紋症、骨線条症、メロレオストーシスなんてあたりを挙げておく。

骨斑紋症は、骨盤や長管骨末端(膝の周囲など)に無数の小石灰巣が出てくる
物で、一回写真見たら覚えてしまうほどアレな写真なので、見ておくように。
いろんな教科書に載ってる。

メロレオストーシスは、知覚神経の分布に沿った骨内あるいは軟部の骨化巣が形成
される。なもんで、長管骨の片側に、燃えてるろうそくを傾けてロウを垂らしたような
骨化(dripping candle wax)がみられる。ちょうどこんな絵。↓


dripping candle wax


ろうそくが長管骨、たれてるロウがメロレオストーシスの骨化像だと考えると
分かりやすい。

最後に骨線条症。これは骨の長軸に平行な幅2〜3の線状の硬化像が
認められるものである。おわり。

ちなみに、この辺の疾患は原則的に無症状である


次回から軟骨だ。軟骨がうめえんだよ軟骨がァァァァァ!((c)荒木飛呂彦)


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