横浜シティオペラ「こうもり」
チケットを買うタイミングは、早くからその公演を狙っていて発売と同時に予約するか、行こうかどうしようか決めかねて直前になって予約し会場精算するか、どちらかになる。今回の横浜の「こうもり」は後者で、現田茂夫が指揮をして塩田美奈子がアデーレを歌うということ以外に詳細な情報がなく、行こうかどうしようかずっと決めかねていた。(仕事の都合とも兼ね合わせて。)
結局、3日前に予約して神奈川県民ホールに出向いたのだが、そこで初めてチラシを手にしてびっくりした。塩田美奈子以外にも小栗純一、山口道子、佐々木典子、斎藤忠生などなどのキャストで、ゲスト歌手に中には福井敬の名前も挙がっていた。これでは「こうもり」を上演するには最高のメンツではないか。何も知らずにやって来たにしては、結構いいものに当たったようだ。
そもそもこの横浜シティオペラというところは、ぴあやセゾンを通さず横浜近辺でしかチケットを取り扱わないし、宣伝もしないので、他県に住んでいると実状がわからずチケットも手配しにくい。(私は一昨年の「サンドリヨン」は観に行ったが。)そのためか、当日券も結構余裕があったようだ。おまけに、県民ホールには公演当日だというのにチラシが山のように積んでいた。もっと、広い範囲で宣伝すればいいのに。
舞台は栗山昌良演出の2幕仕立てで二期会版。2幕仕立てといっても、曲の入れ替えはあるがカットはないし、逆に挿入が多いので上演時間は3時間15分ぐらいになる。舞台装置も二期会のセットをそのまま使っていて、歌手も二期会中心だし、まるで二期会の公演を観ている感覚だった。ただ、合唱が入った途端に「これは二期会ではない。」と確認できた。横浜シティオペラ合唱団も悪くはないが、やはり場慣れしている二期会合唱団との違いは感じられた。
「こうもり」にはよく出演している人ばかりなので安定して楽しめた。斎藤忠生も、今まで何回かその演技を観てきたが、今回は今まで以上に楽しませてくれた。伴奏の神奈川フィルも安定していた。
ひとつ注文するとすれば、舞踏会でのゲスト歌手を交えてのガラ・コンサート。それぞれ得意の曲を歌ってくれるのだから、なかなか聴き応えがあるのだけど、選曲が重かった。「ある晴れた日に」とか「誰も寝てはならぬ」とかである。「こうもり」のさなかに歌うのだから、もっと軽やかな歌の方がいい。ガラ・コンサートなんかではなくて、J.シュトラウスの他の曲でワルツやポルカを適当に踊ってくれた方がよっぽど雰囲気が持続できたと思う。(翌日の公演では「トロヴァトーレ」が歌われることになっていた。)
(10月17日
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