カンタータ・データ '98
BCJのコンサートに登場したカンタータについてのデータ
をお届けします!
 

・以下の、演奏会ごとに示した曲目のところをクリックするとデータにジャンプします。
カンタータの基礎知識についてはこちら(「カンタータの源を求めて」)をご覧下さい!

*参考文献・・・『バッハ事典』(礒山雅/小林義武/鳴海史生編:東京書籍刊:1996)
          『バッハ全集』第1巻〜3巻(『バッハ全集』編集部:小学館刊:1995〜97)

(99/05/04)

【J.S.バッハ/教会カンタータ全曲シリーズ 〜ライプツィヒ1723年 II 〜】にむけて

   6月27日(土) 神戸:松蔭女子学院大学チャペル 15:00 (終了) 
    7月 2日(木) 第34回東京定期:東京オペラシティ コンサートホール 19:00 (終了)

        曲目 《飾りなき心》 BWV24
            《人々よ,神の愛をたたえよ》BWV167 
            《天は神の栄光を語る》 BWV76

・この3曲の初演日を見てみると、1723年の6/6、6/20、6/24で、その間わずか18日! ライプツィヒでのバッハの多忙な日常の始まりを飾った3曲であることがわかる。(この間の6/13にはBWV21の再演、6/20にはBWV24の初演と共にBWV185の再演も行われている) 当時38才のバッハの、意欲にあふれた仕事ぶりが頼もしい。


【J.S.バッハ/教会カンタータ全曲シリーズ 〜ライプツィヒ1723年 III 〜にむけて 

   9月 5日(土) 神戸:松蔭女子学院大学チャペル 15:00 (終了)
   9月12日(土) 第35回東京定期:東京オペラシティ コンサートホール 19:00 (終了)

        曲目 《キリストは私の命》 BWV95
            《さあ目を留めよ,見るがいい》 BWV46
            《なぜ憂うるのか,私の心よ》 BWV138
            《神よ,私を究め》 BWV136  
            
・今回の4曲は、1723年の7月から9月にかけて初演されたもの。楽器の用法や曲の構成などに様々な工夫が凝らされて興味深い。同時にそれらの工夫が見事にそれぞれの歌詞の持つメッセージと深く結びついていることにあらためて驚かされる。


【J.S.バッハ/教会カンタータ全曲シリーズ 〜ライプツィヒ1723年 IV 〜にむけて 

   2月13日(土) 第37回東京定期:東京オペラシティ コンサートホール 19:00 (終了)
   2月20日(土) 神戸:松蔭女子学院大学チャペル 15:00 (終了)

        曲目 《心せよ,汝の敬神いつわりならざるか》 BWV179 
            《主よ,裁きたもうな》BWV105
            《ああ魂よ,汝憤ることなかれ》 BWV186
・'98年度のカンタータコンサートの最後を飾るこの3曲も、1723年7/11から8/8の約一ヶ月の期間に初演されたもの。今回もそのそれぞれの曲に盛り込まれた個性的なアイディアに驚かされる。3曲の教会暦での位置づけからは離れた時期の演奏になるが、自分としてはそれぞれのメッセージをイエスの受難への感謝と結びつけて考え、近づく受難節への備えにもしたいと思う。



 《飾りなき心》 BWV24  
 
初演 1723年6月20日、ライプツィヒ *ライプツィヒ・カンタータ第3作
用途 三位一体節後第4日曜日
礼拝での
   聖句
書簡 :ロマ 8,18-23(現在の苦しみは、私たちに現されるはずの栄光に比べると取るに足らない)
福音書:ルカ 6,36−42 (慈悲深くあれ、人を計るはかりは自分をも計る)
歌詞 ノイマイスター[1714] (引用:マタイ福音書から[第3曲]、へールマンのコラールから[第6曲])
編成 声楽:ソロ(ATB)、合唱
器楽:トランペット、オーボエ2、オーボエ・ダモーレ2、
   ヴァイオリンI,II、ヴィオラ、通奏低音
演奏時間 約17分 (リヒター:18分、アーノンクール:17分)
構成 第1曲:アリア(アルト、弦楽、通奏低音)
第2曲:レチタティーヴォ(テノール、通奏低音)
第3曲:合唱(トランペット、オーボエ2、弦楽、通奏低音)
第4曲:レチタティーヴォ(バス、弦楽、通奏低音)
第5曲:アリア(テノール、オーボエ・ダモーレ2、通奏低音)
第6曲:コラール(合唱、トランペット、オーボエ2、弦楽、通奏低音)
備考 「人からしてほしいことを人にせよ」の教え(マタイ伝からの引用)が歌われる第3曲の合唱曲を
 中心として、楽曲がシンメトリックに配置されている。
*第3、6曲目に登場する「クラリーノ」(トランペット)についてはナチュラル・ホルンとする説もある。
 (アーノンクールはナチュラル・ホルン説を採用。BCJでは、トランペット奏者:島田さん自作の楽器が
 用いられました。)


《心して見よ,苦しみあるやを》 BWV46 
 
初演 1723年8月1日、ライプツィヒ
用途 三位一体節後第10日曜日
礼拝での
   聖句
書簡  :第1コリント12,1-11 (霊的な賜物について)
福音書:ルカ19,41−48 (エルサレム崩壊の預言と、神殿からの商人の追放)
歌詞 作者不詳 (引用:エレミア 1,12[第1曲]、J.M.マイファールトのコラールから[第6曲])
編成 声楽:ソロ(ATB)、合唱
器楽:スライド・トランペット、リコーダー2、オーボエ・ダ・カッチャ2、
   ヴァイオリンI,II、ヴィオラ、通奏低音
演奏時間 約18分 (レオンハルト:18分)
構成 第1曲:合唱(合唱、スライド・トランペット、リコーダー2、オーボエ・ダ・カッチャ2、弦楽、通奏低音) 
第2曲:レチタティーヴォ(テノール、リコーダー2、通奏低音)
第3曲:アリア(バス、スライド・トランペット、通奏低音)
第4曲:レチタティーヴォ(アルト、通奏低音)
第5曲:アリア(アルト、リコーダー2、オーボエ・ダ・カッチャ2) 
第6曲:コラール(合唱、スライド・トランペット、リコーダー2、弦楽、通奏低音)
備考 “罪”の問題を掘り下げた野心作。リコーダーの活躍はライプツィヒ・カンタータでは珍しい。
1曲目の一部は《ロ短調ミサ曲》の〈クイ・トリス〉に転用されている。
*トランペットの雷光のイメージ(第3曲)とリコーダー、オーボエ・ダ・カッチャによるひな鳥のイメージ
  (第5曲)の対比が鮮やか。


《天は神の栄光を語る》 BWV76
 
初演 1723年6月6日、ライプツィヒ(聖トーマス教会) *同教会での初仕事。
用途 三位一体節後第2日曜日
礼拝での
   聖句
書簡  :第1ヨハネ 3,13-18 (言葉や口先だけでなく、行いをもって誠実に愛し合おう)
福音書:ルカ 14,16−24 (盛大な晩餐会の譬え)
歌詞 作者不詳 (引用:詩編から[第1曲]、ルターのコラールから[第7,14曲])
編成 声楽:ソロ(SATB)、合唱
器楽:トランペット、オーボエ2、オーボエ・ダモーレ、ヴィオラ・ダ・ガンバ、
   ヴァイオリンI,II、ヴィオラ、通奏低音
演奏時間 約30分 (リヒター:37分、アーノンクール:30分、コープマン:33分)
構成 第I部
 第 1曲:合唱(トランペット、オーボエ2、弦楽、通奏低音)
 第 2曲:レチタティーヴォ(テノール、弦楽、通奏低音)
 第 3曲:アリア(ソプラノ、ソロ・ヴァイオリン、通奏低音)
 第 4曲:レチタティーヴォ(バス、通奏低音)
 第 5曲:アリア(バス、トランペット、弦楽、通奏低音)
 第 6曲:レチタティーヴォ(アルト、通奏低音)
 第 7曲:コラール(合唱、トランペット、弦楽、通奏低音)
第II部
 第 8曲:シンフォニア(オーボエ・ダモーレ、ヴィオラ・ダ・ガンバ、通奏低音)
 第 9曲:レチタティーヴォ(バス、弦楽、通奏低音)
 第10曲:アリア(テノール、通奏低音) 
 第11曲:レチタティーヴォ(アルト、通奏低音)
 第12曲:アリア(アルト、オーボエ・ダモーレ、ヴィオラ・ダ・ガンバ、通奏低音)             
 第13曲:レチタティーヴォ(テノール、通奏低音)
 第14曲:コラール(合唱、トランペット、弦楽、通奏低音)
備考 バッハを表す数字である「14」の曲からなる、多彩な編成による華麗なオーケストレーションが
 見事な合唱を支える大曲。天国の宴(うたげ)を描く。
 第I部、第II部とも、トランペットに先導されたコラールが味わい深く曲を閉じる。
*トランペットの島田さんやガンバの平尾さん、オーボエのベルナルディーニの妙技もさえていま
  した!


《わが命なるキリスト》 BWV95
 
初演 1723年9月12日、ライプツィヒ
用途 三位一体節後第16日曜日
礼拝での
   聖句
書簡  :エフェソ 3,13-21 (キリストの人の知識をはるかに越える愛と御力について)
福音書:ルカ 7,11−17 (ナインの若者の甦り)
歌詞 作者不詳
(引用:S.グラッフのコラール/ルターのコラールから[第1曲]、V.ヘルベルガーのコラールから[第3曲]、
 N.ヘルマンのコラールから[第7曲])
編成 声楽:ソロ(STB)、合唱
器楽:ホルン、オーボエ・ダモーレ(オーボエ)2、
   ヴァイオリンI,II、ヴィオラ、通奏低音
演奏時間 約22分 (アーノンクール:16分)
構成 第1曲:コラール合唱とレチタティーヴォ(テノール)
    (テノール、合唱、ホルン、オーボエ・ダモーレ(オーボエ)2、弦楽、通奏低音)  
第2曲:レチタティーヴォ(ソプラノ、通奏低音)
第3曲:コラール(ソプラノ、オーボエ・ダモーレ2、通奏低音)
第4曲:レチタティーヴォ(テノール、通奏低音)
第5曲:アリア(テノール、オーボエ・ダモーレ2、通奏低音) 
第6曲:レチタティーヴォ(バス、通奏低音) 
第7曲:コラール(合唱、ホルン、オーボエ・ダモーレ2、弦楽、通奏低音)
備考 「死を想う」4つのコラールを巧みに結びつけた作品。その実験的手法の大胆さに驚かされる。
*アーノンクールはホルンのパートをコルネットで演奏しているが、はたしてBCJは?
*第5曲に登場する弦のピチカートによる“死の鐘”の描写はBWV8や161を思い起こさせる。


《主よ,裁きたもうな》 BWV105
 
初演 1723年7月25日、ライプツィヒ
用途 三位一体節後第9日曜日
礼拝での
   聖句
書簡  :第1コリント 10,6-13 (神が備えられた試練について)
福音書:ルカ16,1−9 (不正な家令の譬え)
歌詞 作者不詳 (引用:詩編143,2[第1曲]、J.リストのコラールから[第6曲])                  
編成 声楽:ソロ(SATB)、合唱
器楽:ホルン、オーボエ2、
   ヴァイオリンI,II、ヴィオラ、通奏低音
                   
演奏時間 約21分 (リヒター:25分、アーノンクール:21分、コープマン:22分)
構成 第1曲:合唱(合唱、ホルン、オーボエ2、弦楽、通奏低音)  
第2曲:レチタティーヴォ(アルト、通奏低音)
第3曲:アリア(ソプラノ、オーボエ、弦楽[ヴァイオリンI,II、ヴィオラ])
第4曲:レチタティーヴォ(バス、弦楽、通奏低音)
第5曲:アリア(テノール、ホルン、弦楽、通奏低音) 
第6曲:コラール(合唱、ホルン、オーボエ2、弦楽、通奏低音)
備考 罪深い心の「震え」が癒されていく様を描いた独創的な名作
第3曲の通奏低音を欠いたソプラノのアリアでは、16分音符の弦の刻みが「震え」をあらわす。
最後のコラールを彩るオーケストラの伴奏でも、16分音符で始まった「震え」が、次第に緩やか
  に
なり心が満たされていく様を表している。
*第5,6曲の“ホルン”には、今回もトランペット奏者島田さんによる「新作楽器」が使用されるとの
  こと。はたしてどのような響きか、乞うご期待!


《神よ,われを調べ,我が心を知りたまえ》 BWV136
 
初演 1723年7月18日、ライプツィヒ
用途 三位一体節後第8日曜日
礼拝での
   聖句
書簡  :ローマ 8,12-17 (肉に従わず、霊によって体の仕業を絶て)
福音書:マタイ 7,15-23 (にせ預言者を警戒せよ))
歌詞 作者不詳 (引用:詩編139,23[第1曲]、J.へールマンのコラールから[第6曲])
編成 声楽:ソロ(ATB)、合唱
器楽:ホルン、オーボエ2(オーボエ・ダモーレ)、
   ヴァイオリンI,II、ヴィオラ、通奏低音
演奏時間 約17分
構成 第1曲:合唱(合唱、ホルン、オーボエ2(オーボエ・ダモーレ)、弦楽、通奏低音)            
第2曲:レチタティーヴォ(テノール、通奏低音)
第3曲:アリア(アルト、オーボエ・ダモーレ、通奏低音)
第4曲:レチタティーヴォ(バス、通奏低音)
第5曲:二重唱(テノール、バス、ヴァイオリン[ユニゾン]、通奏低音) 
第6曲:コラール(合唱、ホルン、オーボエ2、弦楽、通奏低音)     
備考 “キリストの血による罪の贖い”に焦点を当てた作品。
*1曲目に登場するホルンのオブリガードが聴きもの!
*BCJ第14回定期(94/06/30)以来の再演。


《何ゆえに悲しむや,わが心よ》 BWV138
 
初演 1723年9月5日、ライプツィヒ
用途 三位一体節後第15日曜日
礼拝での
   聖句
書簡  :ガラテヤ 5,25-6,10 (霊の導きに従って前進しましょう)
福音書:マタイ 6,24-34 (衣食を思い煩わず、神の国と神の義を求めよ)
歌詞 作者不詳
(引用:作者不詳のコラール「汝なにゆえにうなだるるや、わが心よ」第1〜3節[第1、3,7曲])    
編成 声楽:ソロ(SATB)、合唱
器楽:オーボエ・ダ・カッチャ2、
   ヴァイオリンI,II、ヴィオラ、通奏低音
演奏時間 約18分
構成 第1曲:コラール合唱とレチタティーヴォ(アルト)
    (合唱、オーボエ・ダ・カッチャ2、弦楽、通奏低音) 
第2曲:レチタティーヴォ(バス、通奏低音)
第3曲:コラール合唱とレチタティーヴォ(ソプラノ、アルト)
    (合唱、オーボエ・ダ・カッチャ2、弦楽、通奏低音)  
第4曲:レチタティーヴォ(テノール、通奏低音)
第5曲:アリア(バス、弦楽、通奏低音) 
第6曲:レチタティーヴォ(アルト、通奏低音) 
第7曲:コラール(合唱、オーボエ・ダ・カッチャ2、弦楽、通奏低音)
備考 コラールをレチタティーヴォ、アリアなどと結びつけたユニークな構成によるカンタータ。
 次年度の“コラール・カンタータ”の先駆けとなっている。
第5曲の喜びに満ちた力強いバスのアリアコーイがどのように聴かせてくれるか楽しみ。また
 終曲のコラールにおける駆け抜けるような弦楽器の32分音符のフレーズでも、BCJオーケス
 トラの妙技が堪能できるにちがいない。
*BCJ第7回定期(93/06/08)以来の再演。テーマとなっている“この世の富に振り回されざるを
 えない人間の姿”は、“バブル”期の日本の様子を連想させる。(BCJ第7回定期のプログラムの
 裏表紙には、第6曲の“思い煩いからの決別”をのべた一節が小さく書かれており、バブル崩壊後の
 当時の世相とも相まってとても印象に残っている。)


《人々よ,神の愛をたたえよ》 BWV167
 
初演 1723年6月24日、ライプツィヒ *トーマス・カントール就任後最初のヨハネの祝日用カンタータ  
用途 洗礼者ヨハネの祝日
礼拝での
   聖句
書簡  :イザヤ 40,1-5 (主のために、荒れ地に広い道を通せ)
福音書:ルカ 1,57−80 (ヨハネの誕生と父ザカリヤの賛歌)
歌詞 作者不詳 (引用:グラーマンのコラールの引用[第5曲])
編成 声楽:ソロ(SATB)、合唱
器楽:トランペット、オーボエ、オーボエ・ダ・カッチャ、
   ヴァイオリンI,II、ヴィオラ、通奏低音
演奏時間 約18分 (アーノンクール:19分)
構成 第1曲:アリア(テノール、弦楽、通奏低音)
第2曲:レチタティーヴォ(アルト、通奏低音)
第3曲:二重唱合唱(ソプラノ/アルト、オーボエ・ダ・カッチャ、通奏低音)
第4曲:レチタティーヴォ(バス、通奏低音)
第5曲:コラール(合唱、トランペット、オーボエ、弦楽、通奏低音)
備考 *洗礼者ヨハネの備えた「道」を与えた神の愛、慈しみを讃美するカンタータ。
合唱は最後のコラールで登場するのみ


《心せよ,汝の敬神いつわりならざるか》 BWV179
 
初演 1723年8月8日、ライプツィヒ      
用途 三位一体節後第11日曜日
礼拝での
   聖句
書簡  :第1コリント 15,1-10 (神の恵みの働き)
福音書:ルカ 18,9-14 (パリサイ人と徴税人の譬え)
歌詞 作者不詳 (Ch.ティーツェのコラールの引用[第6曲])                            
編成 声楽:ソロ(STB)、合唱
器楽:オーボエ2、オーボエ・ダ・カッチャ2、
   ヴァイオリンI,II、ヴィオラ、通奏低音
        
演奏時間 約15分 (リヒター:15分、コープマン:14分)
構成 第1曲:合唱(合唱、弦楽、通奏低音)
第2曲:レチタティーヴォ(テノール、通奏低音)
第3曲:アリア(テノール、オーボエ2、弦楽、通奏低音)
第4曲:レチタティーヴォ(バス、通奏低音)
第5曲:アリア(ソプラノ、オーボエ・ダ・カッチャ2、通奏低音)
第6曲:コラール(合唱、オーボエ2、弦楽、通奏低音)
備考 偽善をいましめ、徴税人のへりくだりを悔い改めの範とするようにと説く、厳しい調子を持った
  テーマ。 前奏なしに始まるきっぱりとした合唱が印象的。
*教訓を説く前半の部分から第5曲以降の憐れみへの祈りの部分にむかって、教えが内面化され
  ていき、最後のコラールがしみじみと胸に迫る。


《ああ魂よ,汝憤ることなかれ》 BWV186
 
初演 1723年7月11日、ライプツィヒ  
用途 三位一体節後第7日曜日
礼拝での
   聖句
書簡  :ローマ 6,19-23 (五体を義の奴隷として献げて、聖なる生活を送りなさい。)
福音書:マルコ 8,1-9 (ガリラヤの奇跡:7つのパンが四千人を満たす)                 
歌詞 作者不詳。フランクの1717年の周年用カンタータ詩集に基づく
(P.スペラートゥスのコラールの引用[第6、11曲]あり)
編成 声楽:ソロ(SATB)、合唱
器楽:オーボエ2、ターユ、ファゴット、オーボエ・ダ・カッチャ
   ヴァイオリンI,II、ヴィオラ、通奏低音
演奏時間 約35分 (コープマン:30分)
構成 第I部
 第 1曲:合唱(オーボエ2、ターユ、ファゴット、弦楽、通奏低音)
 第 2曲:レチタティーヴォ(バス、通奏低音)
 第 3曲:アリア(バス、通奏低音)
 第 4曲:レチタティーヴォ(テノール、通奏低音)
 第 5曲:アリア(テノール、オーボエ・ダ・カッチャ、ヴァイオリン、通奏低音)
 第 6曲:コラール(合唱、オーボエ2、弦楽、通奏低音)
第II部
 第 7曲:レチタティーヴォ(バス、弦楽、通奏低音)
 第 8曲:アリア(ソプラノ、ヴァイオリン、通奏低音)
 第 9曲:レチタティーヴォ(アルト、通奏低音)
 第10曲:二重唱(ソプラノ/アルト、オーボエ2、ターユ、弦楽、通奏低音) 
 第11曲:コラール(合唱、オーボエ2、弦楽、通奏低音)
備考 ヴァイマール時代に書かれたBWV186aの改作(原曲は消失)。
  第I部、第II部をしめくくるスペラートゥスのコラールは新たに導入されたもの
この世の迷いや悩みを扱う第I部とイエスの豊かさへの信頼をうたう第II部の対比が鮮やか。

VIVA! BCJに戻る