@ 今日の映画オタク系・2PACをワンパック
死者が語る映画のくくりに入れていいものか悩んだのが『トゥパック:伝説の死と再生』という作品。2003年に作られたドキュメンタリーだが、我々は彼が1996年にラッパー同志の抗争が原因で射殺されていることを知っている。だからこの映画の冒頭に数発の銃声が響き、彼が自分の声で「俺は撃たれた」というのを聞いて、私は非常に驚いたのだった。ええ? ヤツは死ぬ前にそんな言葉を吐いてたのか?
いうまでもなくこれは私の勘違いだ。トゥパックは殺される前にも一度銃撃されて助かった経験があり、その声はそのあたりに録音されたインタビューからのものだった。しかしもちろん、そういうショックを与える効果を狙って使われたに違いない。そしてこの映画は最後まで彼のナレーションで進行し、生まれてから死ぬまでが描かれる。音源がいくつあったのかわからないが、おそらく複数のインタビューを切り張りしたものだろう。その結果、まるで死者が自分のことを語っているような印象を観客に与えることになった。
というわけで、私の中でこの映画は、死者が語る映画の一本としてカウントされている。まあ、対象が生きてるうちに作ったドキュメンタリーが結果的にそうなるということはあるんだけど、死後に作られたものでは珍しいかもしれない。ラップや黒人文化に興味のある人は必見。以下余談。
彼の主演した劇映画では『グリッドロック』が面白い。特に高評価とはいえないバディムービー系犯罪映画だが、個人的にはかなり好きである。微妙に不条理劇みたいな部分があって、スコセッシの『アフター・アワーズ』が好きな人ならわかってもらえるような気がする。もしティム・ロスのファンなら、必ず見ておくべきだろうハニーバニー。
さらに余談であるが、ぐぐってたら『2Pac Japan.net』というファンサイトを見つけた。現在でも更新中なのが素晴らしい。
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