上原ひろみ〜Hiromi's Sonicbloom〜

タイム・コントロール 日本ツアー

2007年11月22日(木) 新潟市民芸術文化会館・劇場


非フジロックな客層

 夏のフジロックではオレンジ・コートの観客を大興奮させてくれた上原ひろみバンド。なにしろ本来は「ジャズ」な彼女ですから、単独公演ではどんなライブになるのか、不安半分、期待半分で観に行きました。
 会場は、新潟では一番高級な(笑)芸術文化会館。クラシック向けの大ホールではなく、演劇向けの小振りな劇場で、キャパは800人ですが、満席でした。
 観客の年齢層は幅広い。親子連れの小学生から老人まで。主力は30代の女性ファンという感じでしょうか。コアな(?)ファンらしき集団から、「私、フジロックまで観に行ったのよ〜」「ホント?すごーい」なんていう会話が聞こえてきたので、フジロックには行かないのがデフォルトな客層らしい。ま、普通のジャズ・ファンはフジロックなんて行かないか(笑)。ただし、上原ひろみのファン層は、ジャズファンというより、ドリカムの吉田美和のファン層と重なる感じ。


もっと低音を出してくれ

 肝心の演奏はフジロックと同じく“Time Difference”でスタート。しかし・・・音が小さい。
 席が6列目だったせいもあるかもしれませんが、PAスピーカーの音ではなく、ピアノもドラムも生の音がそのまま聞こえてくる感じ。ジャズ・クラブでの演奏なら、生音が当たり前なんだろうとは思いますが、エレキ・ギター、エレキ・ベースを加えたカルテットなんだから、もっと低音を出して、エレクトリックな音で勝負した方がいいと思う。ま、会場には御高齢なジャズ・ファンも多かったので、PAから爆音を出したら、皆さんの心臓に悪い、という配慮もあったのかもしれませんが(笑)。
 ともかく、フジロックでの大迫力の演奏とは全く違うサウンドで、私には物足りなかった。最後まで観客は座ったままでしたが、このバンドの音楽性は、座って聴くようなものではない。立って踊ってナンボだと思う。
 本編終了と同時に、ようやく観客は立ち上がって、スタンディング・オベーションでアンコールを求めます。そして、舞台に戻ってきたひろみちゃんは、なぜか泣いている。「最前列にお爺さんも小学生の子供もいて、色々なお客さんが来ていて本当に嬉しい、今日は平常心ではいられない」てな話をしていました。
 そして「まぁ、皆さん座ってください」と言って、新曲の映画「オリヲン座からの招待状」のテーマをソロ・ピアノで弾き始めました。そして、再びメンバーを呼んで、最後は“Return of Kung-Fu World Champion”でNord Lead2のシンセ音が大爆発。しかし、一度座ってしまった観客は必殺の「カンフー」でも踊り出すことは無かった。
 う〜ん、このアンコールは絶対に曲順を間違えてますよ。スタンディング・オベーションの観客に、まずは「カンフー」を浴びせ、立ったまま踊らせて、大盛り上がりのまま1回目のアンコール終了。で、2回目のアンコールはソロ・ピアノでしっとりと終わらせる、と。俺が舞台監督なら、絶対にそういう構成にする。
 ともかく、彼女の音楽はジャズ・オヤジに聴かせるようなものではない。ロック・フェスで聴いてこそ、彼女のテクニックもエレクトリックなサウンドも生きてくると思う。

 



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