3月8日(月)は、国際婦人デーでモスクワの女性たちは色んなプレゼントや贈り物を親しい人々から貰う。各家庭では友達を家庭に招いて、ご馳走をたっぷりしてお祝いする。
市場では花たばが飛ぶように売れる。
そして、会う事の出来ない親しい友達には、
「おめでとう!国際婦人デーですね。これからもよろしく。そしてあなたにとって、健康と美としあわせがやってきますように。」
と、電話をしたりする。
まるで、日本の新年のあいさつのように、
「おめでとうございます。」
と、言う言葉が行き交う。
なんでおめでたいのか、婦人の日がこんなに盛大にお祝いされるのがどうしてなのか、訳がわからないが、取りあえず、知り合いの女性に会ったら、必ず、「おめでとう」を言い、彼女のばら色の将来を祈る。
もともとは、そんなお祭り気分の日ではないのかもしれない。虐げられた女性を解放する日として、もっともっとまじめに真摯に、この日を迎えなければならないのかもしれないが、モスクワの人たちにとってはあくまでお祝いの日なのだ。
学校でも、女の先生にこの日、チョコレートを贈るため、生徒一人につき、前もって100ルーブルが集められた。
7日、前夜祭には、アミールの家に招かれた。
アイーダとドゥニャン、女の子であるジナーラ、イルミーラ、なつめとあびとを祝って・・・。
「来年の新年と婦人の日をいっしょに祝っちゃおう!!」
えっ?!ちょ〜と、違うんじゃあないの?これから来年の新年まで、女の人のこと大事にして、毎日祝ってもらわなくっちゃ、ネ!
「明日はお祝いにイスラム教のお寺に行こう!!」
マイナス15度の凍える寒さ。真っ白な教会が建っていた。
独特のアーチの門にはアラブ語でコーランの文字が書かれている。
丸い屋根の上には金色に光る三日月が付けられている。
中に入るとブルーグレーの絨毯が会堂一杯に敷き詰められ、メッカの方に向かって祭壇がしつらえられている。
もちろん、祭壇には何も飾りはない。
白い大理石がはりめぐらされているだけ。
その隣りにあるのは説教をするこの寺院最高の聖職者の席。アラブ語で書かれたコーランが何冊も置いてあった。そして木で出来た杖。
どんな意味を持つ物なんだろうか。
ヘンヘンは教会に入った途端、丸い帽子をかぶせられた。アミールもかぶった。ドゥニャンがアラーの神に敬意を表して帽子を取ろうとすると、
「駄目!頭に必ず何かをかぶっていなければならない。」
と、言った。
「ここは男の人の礼拝場なんだ。女性のための礼拝場は地下にある。」
何人かの男性がコーランを口ずさみながら、神の祝福を受けるため、両手を合わせ掲げ、そして、足を折り、手を前に差し伸べて床に突っ伏すようにお辞儀を何度も繰り返している。
アミールもこの寺院の聖職者に、持って行ったお供え物を渡し、コーランのお祈りをした。アイーダも口の中でその文句をいっしょに唱えている。
寺院は何もかもが対象形になっていて、コーランの文字以外はとても幾何学的で直線が多い。キラキラと輝くシャンデリアの周りにアラブ語の彫られた金盤が螺旋状にぶら下がっている。
なんだか、男性的なものを感じる。
今でもタタール人の中では、タタール語を喋り、アラブ語で手紙を書く人がいるそうだ。
ロシアは大きいなぁ。
ヨーロッパとも繋がっているし、中近東ともお隣りさんなのだ。
日本にない文化がここでは、人々と共に息づいている。
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