2000年1月7日(金)

上の娘が大好きなオードリー・ヘップバーン。何と言ってもその代表作は「ローマの休日」であろう。
わたしたちはあの名画を何十回となく見ている。
アン王女が見たローマはどんなだったか胸が高まる思いである。

行かなくてはいけないのはスペイン広場。有名なジェラードを舐めながら、あの階段に座る。
うちの娘達は食い意地が張っているから、どんなことがあってもアイスクリームのコーン・カップをポイとすてることはないだろうけれど・・。
たっぷりと襞のとった素敵なウールのスカートをはき、できれば麻のパリっと糊のきいた白い素敵なブラウスを着て、細い編み上げのサンダルをはいて歩いてみたいが、今は冬。

映画で想像していたのとは階段の幅が大分違う。ずいぶん狭いような気もする。なんと悲しいことにアン王女がお金を払うことを知らなかったお花屋さんもない。

でも、でもここはスペイン広場だ。記者のブラッドレーが、アン王女と知って彼女をつけて来たところ。
階段の一番上まで上がってみる。
ゴチック風のトリニタ・ディ・モンティ教会が中央にあり、その横には、キーツが住んだと言うキ−ツ・シェリ−記念館。

クルリと回れ右をすれば、ローマの街が見渡せる。

遠くにはサン・ピエトロ寺院のドームが見える。あれが、あれがミケランジェロで有名なその寺院なのか・・。あの中にミケランジェロの若き日の作品、あの優しきピエタが見られる。
胸は高まる一方である。これほどの美術品が今も生きた形で並んでいる国も少ないであろう。
それを見ずしてイタリアに来たと言うのは恥もいいところ。
絶対に必見である。どうしても文化水準の高いドゥニャンとしては見ておかずにはいられない。

特にドゥニャンにとってミケランジェロに対する思い入れは高校時代に羽仁五郎の岩波新書「ミケランジェロ」を読んで以来だから、心の中に積み重なるものがある。
すわっ!!すすめ〜〜〜!!突進ダァ!!!





ところが!
ところがであ〜る。




スペイン広場前の道路を横切った一角は日本人御用達のショッピング街。

グッチ、エルメス、プラダ、ヴィトン、マックス・マラなどなど。有名ブランド店が並ぶ。日本人は手に手に有名店の名前の書かれた大袈裟な上等そうな紙袋を下げている。みんな同じような固い決意に溢れた鋭い眼光の顔をしている。
近くに日本人が通ろうがお構いなし。挨拶もかわしあわない。かえってお互いを避けるかのように相手をけん制し、なんとなく嫌味な後味を残して過ぎ去って行く。しかし誰が何を買うのかとても興味のあるところだろう。しっかりその目は買い物袋を追っている。


と、書いてしまったが、ドゥニャンだってごたぶんに洩れず、お買い物をしてみたい。さて、グッチはどうだ、ヴィトンの鞄を買うなら今か!!
軒並みの上等品に目が眩んでしまい、鼻息が荒くなってくる。
いやぁ、困った。


買いたい。
なんとしても買いたい!

日本では買えないだろうけど、ここイタリアはローマまできているんだぞ!!
たまには大枚はたいて、買い物したってバチは当たらないだろう。

買うぞ!絶対に!
どの店に入っても日本人だらけ。娘とヘンヘンは恥ずかしがって店の横で、ドゥニャンが羞恥心をかなぐり捨ててウィンドー・ショッピングに勤しむのを見ている。(せいぜい励んで下さいと、邪魔もしないのでドゥニャンはますます盛り上がってくる。)
とにかくお目当てのお店は全部入って一通り説明してもらうのだから、たまったものではない。(時間が・・・)

子どもとヘンヘンは店先で立ち尽くして、ここもまた・・・とため息をついている。
でもそんなことは知ったこっちゃない、こちとら大事な仕事があるんだい!!


ドゥニャンは沢山の買い物をしたでしょうか。

結局、沢山のお店を見て歩いて白けてしまう。(しらける程、見て歩いて欲しくない店員さんと家族達)

でも、ちょっと行った先に、いい食器屋さんを見つけ、ヘンヘンとも相談の上、買い物をする。
嬉しかった。

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