2000年1月7日(金)

あ、そうそう。
忘れてはならないこと。

沢山の買い物袋は持っていなかったけど、モスクワでは絶対に日本人に見られないドゥニャンはスリにもペテンにもかかったことはないけれど、ここローマの名物、スリに出逢ってしまった。
一度はスペイン広場で人の物をすっているのを傍観させてもらったし。
二度めは自らが体験した。持っているバッグはジッパーが付いていて、その上カバーもあるという込み入った代物。それでもローマのスリの人は、大胆にもジッパーを半分開けて、手をバッグの中に突っ込んでいた。
何かヘンと思い、ふとバッグをみると、全然知らない人の手がドゥニャンのバッグに入っているではないか。

その時の奇妙な感じ。
だって、自分のバッグによその人がお邪魔しているんですよ。

「ぎゃお〜。ぎゃおおおぉ!!」
叫ぶこと、叫ぶこと。

何があったのかとヘンヘン。前を歩いていたのに振り返った。
「バッグに手が・・・!」
「ナニ??」
「だから、バッグに手が入っていたの。」

「スリ??」
「あ、それそれ。」

「どろぼうだぞ!!そいつは泥棒だ!!」
ヘンヘンが手をバッグに突っ込んでいた人を指して叫んだ。

「そうよ。泥棒だよね。泥棒です!!」
力強く日本語で言い放つドゥニャン。

「大丈夫?お財布取られていない?」
「うん、大丈夫みたい。」
バッグの中を調べてみると、平気だった。


「でもさ、あの人たち(二人組だった)、あんた何言ってんのって振り返ったねぇ。」
「そうだよ。もうちょっと頑張って逃げるとかしてくれたら可愛いのに、図々しくも睨んでいたな。」
と、ヘンヘン。なんとなく興奮する。

「立派だねぇ。あれくらいでないと人の物は黙っていただけないのかもよ。毎日の訓練の賜物でしょうね。」
と、感心してしまう。

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