ボリショイ劇場 ドンキホーテ(新演出)


1999年6月27日(日)

配役
キトリ:ガリーナ・ステパネンコ
バジル:ユーリー・クレフツォフ
ドンキホーテ:A.ロパレヴィッチ、
サンチョパンサ:D.ペレグドフ、
ガマシュ:V.アレーヒン、
ジュアニッタ:A.I.ツィガンコーヴァ、
ピッキリヤ:アナスタシーア・ヤツェンコ
エスパーダ:ヴラジーミル・モイセーエフ
街の踊り子:マリヤ・アレクサンドロヴァ
メルセデス:イリーナ・ズィブローヴァ
ロレンツォ:A.L.ポポフチェンコ、
ロレンツォの妻:S.A.モレヴァ、
公爵:A.G.シトニコフ、
公爵夫人:マリヤ・ヴォロディナ
居酒屋の主人:A.N.チェホフスコイ、
ドリュアス:マリヤ・アラシュ
キューピット:ニーナ・カプツォーヴァ
ジプシー:ユリヤ・マルハシャンツ
ボレロ:A.I.アントロポヴァ、M.E.ヴァルキン、
第一のヴァリエーション:マリヤ・アレクサンドロヴァ
第二のヴァリエーション:ニーナ・スペランスカヤ

指揮:A.ソトニコフ

演出:プティパ、ゴールスキー

改訂版再現:A.ファデェーチェフ




これまでボリショイ劇場ではプティパ=ゴールスキー版をグリゴローヴィチがアレンジしたものを上演していたが、今回同じ版をファデエチェフが再現した新演出、というか改訂演出。「どうしてグリゴローヴィチの演出を次々とやめるのか」とラジオ番組で質問されてファデェーチェフは「このバレエはキトリとバジルが主役なのであり、ドンキホーテではない。プティパ=ゴールスキーのオリジナル演出に忠実な再現をこころみたい」と答えていた。

一幕目、ドンキホーテとサンチョ・パンサが旅に出るシーンから、すぐに町の広場でキトリとバジルやそのともだち達が陽気に踊っている場面にうつる。
第2幕目は、キトリは父親によって金持ちの男と婚約させられそうになるところで、バジルとキトリはバジルが自殺をしたようにみせかける。するとドンキホーテはロレンツォの石頭をなじり、死んでしまっているはずのバジルとの結婚をゆるすように剣でおびやかす。ロレンツォもたまらず、ゆるしてしまう。その途端、バジルは起き上がってきた。という面白いところが先に来て、突然、ジプシーのキャンプの場面にに入ってしまう。そして例のごとく人形劇を見るのだが、ドンキホーテは悪役の人形を本物の悪者と取り違え、出し物を無茶苦茶にしてしまう。その上、妄想が嵩じて風車にまで闘いを挑むことになる。闘いに疲れたドンキホーテは夢で女神たちの踊りを見る。その中にキトリそっくりの天使が現れる。
第3幕、バジルとキトリの結婚式は領主の好意で領主たちによって行われる。キトリとバジルのグラン・パ・ド・ドゥが見物。さまざまな踊りを披露したあと、突然ドンキホーテとサンチョパンサが退場して幕を閉じる。

話の全体の流れがわかりやすかったのはグリゴローヴィッチ版。今回のはストーリーそのものが寸断されているような印象を受ける。 ただ、スチェパネンコのキトリは抜群!!跳躍は軽く高い。その上、細かい足の動きが実にきれい。32回転も神業かと思われるような無理のない美しさにほれぼれと見ほれてしまう。キトリのいたずらな可愛らしさと気丈な性格を実に見事に表現してくれている。 バジルもきれいなダンサーである。跳躍の高さに目を見張る。とはいえボリショイの「ドンキホーテ」はとてもとても豪華絢爛。どんな演出でも堪能させてくれる。

わたしたちのボックス席のとなりで新演出初日にキトリを踊ったばかりのアナニアシヴィリが見ていた。そのまなざしは真剣そのもの。あとで聞くと翌日から日本公演へ出発するという。やはり天才の裏には努力があるものだ。


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