ボリショイ劇場 ジゼル


2004年10月3日(日)

配役
ジゼルアンナ・アントニチェヴァ
アルベルトヴラディーミル・ニパロージニー
ベルタ(ジゼルの母):スヴェトラーナ・ティグレヴァ、
バチルダ(アルベルトの婚約者):マリヤ・イスプラトフスカヤ、
公爵(バチルダの父):アンドレイ・シトニコフ、
ヴィリフリード(アルベルトの護衛):アンドレイ・メラーニン、
ガンス:イリヤ・ルィジャコフ、
ミルタ:アンナ・レオーノヴァ、
ジゼルの友だち:ナタリヤ・ヴィスクベンコ、ユリヤ・エフィーモヴァ、イリーナ・ズィブロヴァ、アナスタシーア・メスィコヴァ、イリーナ・セミレチェンスカヤ、オクサーナ・ツヴェトニツカヤ
二人のウィリー:ナタリヤ・マランディナ、オリガ・スーヴォロヴァ
パ・ド・ドゥジュ・ユン・ベアンドレイ・ボロティン

指揮:フアット・マンス−ロフ

演出:ユーリー・グリゴローヴィチ。 コラッリ・ペッロ・プティパ版を利用

舞台装置:シモン・ヴィルサラッゼ




アントニチェヴァとニパロージニーの組み合わせでみるジゼルは四回目。
特別に驚かないし、がっかりもしない、でもこのレベルなら毎日でも保てるという意味で今のボリショイのスタンダード的な上演。
よくいえば「安心して見られる」、悪くいえば「こんなもんでしょう。」
というわけで、特別なことはおこらずに、たんたんと演技は進んでいく。
ルイジャコフは主役二人のちょうどよく見合ったくらいの中庸な毒をもったガンス役をつとめていた。

書くべきことといえば、第二幕。
(主役ではないけれど)三日連続で舞台に登場のレオーノヴァがミルタを踊った。
主要な役でははじめてじっくり見たことになるが、大雑把な踊りをするのではと先入観をもっていたけど大間違い。
とても細かいニュアンスと陰影に富んだなかなかいいバレリーナ。
だけど、踊りがーあたりまえではあるけれどー人間のそれ。心に血が通いすぎていて「あの世」の景色にならないのが残念。
それにくらべると、今回のアントニチェヴァはさすがベテランの域に達してきたからかちゃんと踊り分けていた。
第一幕は人間ながら病弱な女の子。第二幕は魂は抜けているけれど心がまだ凍りきっていいないヴィリー。
王子役のニパロージニーは個性が強くないから、第一幕ではぎとぎとした利己心が見えてこなかった反面、第二幕ではアルベルトの悔悟の念など心の弱い部分が自然にあらわれていた。
第二幕のパ・ド・ドゥや幕切れでジゼルが帰るところ(装置の関係かお墓の下へではなく幕の向こうへだったけど)ではちゃんと泣けるようになっているのは、原作、演出、そして出演者(含オーケストラ)のプロフェッショナリズムのおかげ。
文句なくブラヴォーでした。
(2004年11月7日)


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