1999年10月15日(金)
指揮:ヴラジーミル・ヴァシラッゼ
演出:ブルメイステル、イヴァノフ(第二幕)
オデッタは前回もみたムサヴァロヴァだが、いい意味でも悪い意味でもすきなく踊っていた。黒鳥になるとずるく妖しいその性格を思いっきり演じられるのだが、一幕二場の白鳥では悪魔に魔法をかけられていいたいことをいえない、という設定だからか、無口の踊り。無口に踊りながらも哀しみをじわりと表現するのが理想なんでしょうが・・・。ここは難しいところでしょうが、もう一つ華がほしい。。
この演出は、道化が第二の主役として舞台上の指揮者のような役割をになっているが、ブラウセンコは王子を引き立てながら出過ぎず、しかも重要な場面では話の進行を語り、うまく演じていた。ディクは少し弱さのある王子の性格にぴったり。
ロートバルトは今回もヴラジーミル・キリーロフ。みどころは、一幕二場で王子とオデッタが二人ではじめて踊る場面を悪魔がすごみをもって睨むところと、二幕一場で各国の花嫁候補(この演出ではロートバルトの手下という設定)の踊りをみる女王と王子を睨むところ。他にも、細かく手下に指示をする難しいこの役を自分のものとしている。
その他、一幕一場のアダージョを踊るブロヒナ、スペインの踊りのアミーロヴァなどソリスト群は比較的水準の高い人を集めている。舞台装置も豪華。演出はいうことなし。一幕二場はイヴァノフ版を忠実の再現し、最小限の修正として、ブルメイステルの演出上必要な岩山に巣食うロートバルトを加えている。いいものはちゃんとした形で残すということをボリショイのヴァシーリエフも見習うべき。
だけどどこか満足できないものが残る。オデッタなのか、コールドバレーなのか。
個々の踊り手、演出がいいぶん、なにものねだりをしたくなる。
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