リーダーシップ論は、ダグラス・マクレガーの有名な人間行動理論を無視出来ません。
マクレガーによれば、大部分の経営思想は、労働者は働くのが嫌いであり、労働者を働かせるにはリーダーは、アメとムチを使い分けなければならないという概念の上に築かれております。マクレガーは、これは誤りであるとします。彼の言う「X理論」の内容はつぎのようになります。
- 経営者は会社の目標を達成するために、生産的な企業の各種要素‥‥<資
金、資材、機械、人的資源>‥‥を組織化する責任がある。
- 労働者については、彼らの努力を管理し、彼らを動機づけ、彼らの行為
と行動を組織の要求に会うように統制する。
- 経営者が介入しなければ、労働者は協力し無いどころか、組織の要求に
も応じないだろう。従って、説得したり、報酬を与えたり、罰したり、統制し
たりしなければならない。これが経営者の仕事である。
- 平均的労働者は生来怠惰であり、なるべく働かないようにしようとして
いる。
- 平均的労働者は野心に欠け、責任を嫌い、自分のことを考えてくれる上
司を持ちたがる。
- 平均的労働者は、自己中心的であり、組織の要求には無関心である。
- 平均的労働者は生来変化に抵抗する。
- 平均的労働者はだまされやすく、頭もあまり良くないから、ホラやデマ
に乗せられやすい。
これにそれとなく現れている人間観は手厳しい感じもしますが、実際には、従業員関係に関する支配的な考え方、が、はっきりでています。X理論は報酬と罰‥‥<アメとムチ>‥‥を、主要な動機づけの武器として用います。
成功すれば昇給、ボーナス、昇進、肩書き、といった形で報酬が与えられます。基準に達しない場合は、失職、格下げ、昇進の見送りと、いった形で罰せられます。
マクレガーは、この様なしきたりは妥当でない、といっているのです。
それは間違った仮説に基づいているとしています。人間は、X理論で考えられるものよりはるかに増しなものです。マクレガーは、X理論に次のようなYる論を対応させています。
- 経営者は、企業目標を達成するために、生産的な企業の各種要素‥‥<資金
、資材、機械、人的資源>‥‥を組織化する責任がある。
- 労働者は、生来、組織の要求に対して消極的な意志は反抗的でない。実業界
の経験がそうさせている。
- 労働者は動機、これから伸びる潜在能力、責任負担能力、組織の目標を達成するために、行動しようとする能力と、意欲などをうちに秘めている。
経営者は、これらの特色を発揮させてやることは出来ないが、労働者に、それらの人間的特徴を備えていることを認識させ、それらを伸ばせるように、してやることは可能であり、また、してやらなければならない。
- 経営者の最も重要な仕事は、労働者が組織の目標に、自らの努力を振り向けることによって、自己の目標も最高度に達成できるように、組織上の条件と経営方法を、整理することである。
マクレガーは、労働者は働きたいから働くのであり、目標を達成するにはど
うすれば良いか教えてやればよりよい仕事をする。と信じているのです。彼は労働者に、自分の方法を決める機会を与え、労働者が、全能力を発揮できるようにすれば、経営者は最高の成果が上げられると思っているのです。この考え方は「リーダーシップ行動表の連続」の中の右端に近いリーダーシップの形に表されています。
つづく
|