キャパシタ(コンデンサ)

 今回はキャパシタです。コンデンサとも言い、抵抗器と並んで最も重要で基本的電子部品のひとつです。キャパシタは交流回路の中で使われると非常に興味深い働きをするのですが、今回は直流的な蓄電作用を見てみることにします。


 今回は電圧計を使います。電圧計とは、文字通り電圧の大きさを測定して表示する測定器のことです。今回は電圧計の中でも非常に安価で小型のものとして、いわゆるポケットテスタを使用しています。さて、乾電池(充電式のニッケルカドミウム電池)を4本直列に接続して電圧を測定してみました。一番左の回路図の中の、丸の中にVとかかれた記号が電圧計を示します。この場合、4.95V(約5V)を示しました。
circuit1.gif all_battery.jpg v_battery.jpg

 ところで、電圧計は電圧を測定する装置です。電圧とは電流を流そうとする働きのことですから、何も接続しない場合、つまり電圧計の端子間に何もはさまなければ電圧は無いはずです。実際に、電圧計の端子間に何もはさまないと下のとおり、0Vです。
all_null.jpg v_null.jpg

 さて、ここで工作です。サランラップ(旭化成の登録商標)と電線をつないだアルミ箔を下の図のように重ね合わせます。このままでは巨大なので、くるくると端から丸めてほどけないようにクリップで止めておきます。ちなみに、サランラップとアルミ箔はかなりたくさん使わないと実験がうまくいかないかもしれませんので注意してください。 こうしてつくったものは、いわゆるキャパシタと呼ばれる電子部品になっています。
capacitor.gif

 工作が終わったら、作ったキャパシタに電池を接続します。ちなみに、回路図ではキャパシタは2本の平行線で表されます。

charge.gif all_charge.jpg

 つぎに、キャパシタから電池を外し、続けてこのキャパシタに電圧計を接続してみます。

all_cap.jpg v_cap.jpg

 電池を外したのに、キャパシタに電圧があることが分かります。これはキャパシタを電池に接続した際に電気がキャパシタに蓄えられたことを示しています。目には見えませんが、その様子を表現してみると次のようになります。  

circuit2.gif

 つまり、電池は+側から+の電荷を押し出そうとし、同時に−側から同じだけの+の電荷を吸い込もうとします。+の電荷を吸い込まれると、その部分は−の性質を帯びるようになります。この電荷を押し出そうとしたり吸い込もうとする力が電圧と呼ばれるものです。そして、金属が平行に向かい合っている場合には、両金属表面に電荷が図のようにたまるという性質があり、これがキャパシタの原理です。(ちなみに現実には電池は−側から−の電荷を押し出し、+側から−の電荷を吸い込もうとします。)
 いったん電荷がたまると、電池を外してもしばらくの間は電荷がたまっているので電圧計等で調べると電圧が残っていることが分かるのです。そして、しばらくするとたまった電荷がなくなってしまい(=放電)、電圧もなくなります。キャパシタは、電子回路の中で一時的に電気をためておくのに多用されており、抵抗器と並んでもっとも基本的かつもっとも重要な部品といえます。
 ちなみに、キャパシタが電荷をどのくらいためられるかの尺度を容量といい、今回製作したようないわゆる「フィルムコンデンサ」は容量が比較的小さいのですが、「電解コンデンサ」「電気二重層コンデンサ」と呼ばれる非常に容量の大きなキャパシタも作られており、これらではためた電気で発光素子(発光ダイオード=LED等)を光らせたりすることも可能です。
 さて、そろそろ「1.感覚的に電気を把握する」で説明すべきことは終わりつつありますが、最後に半導体素子の例をひとつ取り上げておくことにしましょう。次回は、ダイオードを見てみることにします。


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