'75 TELECASTER CUSTOM Black/Maple
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'71年終わりに、フェンダーがハムバッキング・ピックアップを開発したことで、それを搭載したテレキャスターのバリエーション・モデルが数機種発表された。同年の“テレキャスター・シンライン”に続いて、'72年に登場したのがこの“テレキャスター・カスタム”である。(その後'73年には“テレキャスター・デラックス”が発表されている。)それまでもテレキャスター・カスタムというモデル名のギターが存在していたが、そちらの基本スペックはレギュラーのテレキャスターと同じで、ボディにセル・バインディングが巻かれたモデルであった。そこで、ハムバッキング・ピックアップがマウントされたモデルを“テレキャスター・カスタム”、ボディにバインディングをもったモデルを“カスタム・テレキャスター”とあえて区別して呼ぶ人も多い。
テレキャスター・カスタムは、フロントにハムバッキング・ピックアップを、リアにレギュラーのテレキャスターと同じシングル・コイル・ピックアップが取り付けられている。これは、当時レギュラーのテレキャスターのフロント・ピックアップをハムバッカーに改造するのが流行したことが影響していると思われる。ピックアップ・セレクターの3ポジション・トグル・スイッチを中央にセットした際の、フロントとリアのミックス・サウンドは多くのファンを獲得している。
当初、ヘッド先端部に貼られた“CUSTOM"という文字は筆記体であったが、すぐにブロック体に変更された。ブリッジもレギュラーのテレキャスターと共通の3ウェイ・サドルであったが、'74年頃からは6本の弦が独立してオクターブ調整できる6ウェイ・ブリッジに変更された。ピックガードは発表当初からブラックで、これを契機としてのちにほかのモデルでもブラック・ピックガードを採用することとなった。
ボディ材は当初ブロンド・フィニッシュとナチュラル・フィニッシュ以外はアルダーが多かったが、'74年頃からはアッシュに切り替わっていく。フィニッシュは一応ストラトやテレキャスターなどと同じカラー・バリエーションが用意されていたが、この“ブラック”と“ナチュラル”以外の生産本数は少ない。現在でも、やはり“キース・リチャーズ”の影響もあって、ブラック・フィニッシュが最も人気のカラーである。