“マローダー”('75年発表)の姉妹モデルとして
'76年に登場したギブソン異色のソリッド・ボディ・ギター“S-1”。
マローダーと同様にデタッチャブル・ネック仕様のモデルだ。
S-1は基本的にはメイプル指板ネックだが,
生産開始数年間には,この'76年モデルのようなローズウッド指板仕様も生産された。
ボディ材はメイプルだが,一部にはアルダーなども使用されたようだ。
ピックアップには,バー・ポールピースを持ったシングル・コイルが3基搭載されている。
ピックアップ本体は透明のピックアップ・カバーに収められており,
その裏側からエポキシ充填されている。
これは,あの“ビル・ローレンス”氏によってデザインされたものである。
2ポジション・トグル・スイッチと,4ポジション・ロータリー・スイッチで,
計5種類のサウンドを得ることができる。
まず,トグル・スイッチを奥側に倒すと,ロータリー・スイッチはキャンセルされ,
リア・ピックアップ単独のサウンド。
トグル・スイッチは中央の位置で,ロータリー・スイッチが効く。
ロータリー・スイッチの“1”の位置で,フロント+センターのシリーズ(直列,いわばハムバッカー・サウンド),
“2”の位置で,センター+リアのシリーズ,
“3”ではフロント+センター+リアのシリーズとパラレル(並列)が混ざり合ったサウンド,
“4”ではフロント+リアのシリーズの逆相(フェイズ・アウト)サウンドとなっている。
なお,'78年ごろからは透明なピックアップ・カバーに替わり,
黒いカバーが取り付けられるようになった。
その後'80年に,製造中止。
この'75年モデルに使用されているオリジナル・ペグは
貴重な“クルーソン”製(裏のギア・カバーには2列で“GIBSON DELUXE”と刻印)である。
同時期の他機種にはシャーラーやグローバー製のギブソン・オリジナル・ペグなどが採用され始めており,
この時期以降のクルーソン製の使用例は,比較的下位のモデルのみに見られるものだ。
この'76年モデルは,正確な意味でのニア・ミント・コンディション。
ボディのつや消し塗装も,新品時そのままの雰囲気を保っている。
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