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富士見村 斎藤 啓治 村長人口増でも「村」にこだわり赤城山頂を持つ富士見村。前橋市のベッドタウンとして宅地化が進み、村制百十周年を迎えた今、人口が村としては県内一の二万一千人にも達し、全国屈指の大きな村となった。産業構造の急激な変化や環境問題、前橋市との合併問題も浮上するなど、大きな転換期を迎えているが、斎藤啓治村長(七ニ)は、元気のある、夢のある「群馬県一の村づくり」を掲げる。赤城山の自然を抱え、一方で「県都に近い村」という立地条件にある中、斎藤村長はあくまで「村」にこだわる。
■純朴な印象持ち続けたい■「村っていうと純朴な印象を受けるし、農村のイメージは持ち続けたい。緑が多いところに引かれて移り住む人は相当いる。『村』っていう言葉そのものが今は一つの魅力なんだよ。座談会などで合併の話題が出ると、前橋市から移り住んだ人の中には『村が良くて来たのに、また前橋になるんですか』と言う人もいる」 仮に町になろうとして一も、なれない事情が村にはある。中心区域の戸数が全戸数の五割以上という、町の要件を定めた県条例を満たしていないからだ。
■深刻なごみ、においの問題■
「町になろうって考えたことはないけど、富士見にこれという中心部がないのは確かにさびしい。県庁から富士見の方を見たとき家が見当たらない。それほどまばらなんだよね。中心部ができればもっと生活が豊かになるだろうし、県道の両側だけでも宅地化したい。でも農地を守るためには難しいんだ。都市計画を進めているが、区画整理は金がかかるし大変だよ」
里山の農村風景を残すことと、「富士見に住みたい」という人の宅地を確保することの難しさ。悩みはつきない。しかも、市町村合併の課題も突きつけられている。
「合併は行政の流れの中で検討していきたいが、これまで以上に生活が良くならなければ、合併する意味はないと思っている。とにかく村民の気持ちが一番大事だから、村民の意見を聞きながら慎重に対応したい」人口増とともに深刻になっているのがにおいの問題だ。村はにおいが出ない浄化槽整備やふん尿の防臭剤購入費の補助に取り組んでいるが、役場への苦情電話は絶えないという。
■我慢強さなら 負けない■
「農村だから、においがあってもしょうがないってわけにもいかない。昔から生活している人は気付かないが、外から入ってくるとにおいは気になるんじゃないかな」
心ない人によるごみ捨ても少なくない。八月には廃棄物監視員を設置し、不法投棄と同時に悪臭の監視にも乗り出した。
一九九五年一月に赤城有料道路が廃止されたが、皮肉にもこの年をピークに観光客は減少に転じ、山頂の観光施設は以前にも増して苦戦を余儀なくされている。そんな時に持ち上がったのが吉岡町に計画されている関越道の新インターと、同インターを通り赤城、榛名のニ大観光圈を結ぶ関連道路の整備構想だ。
「吉岡インターと関連道路ができれば、赤城山に来やすくなる。どこでも観光地化されてきている中で、赤城山はほとんどありのままの自然が残っている。何もしないでおくのも、また観光政策だと思う」村内の農家の長男として生まれ、病弱な父親に代わって農作業に従事することが多かったという。村議四期、副議長、議長を歴任し、九七年に村長に就任した。
「赤城山の高さは一八二八メートル。私は十八人目、二十八代の村長。『赤城山のために生きろ』と言われている気がする。親父が病気がちで青春時代はなかったから、我慢強さならだれにも負けない。でも、今が幸せだから昔の苦労は何とも思わない。とにかく今は村のためにがんばりたい」
私生活でも、毎朝のランニングは欠かさず、可能な限り還暦野球にも参加するなど、「頑張り屋」を実践している。(前橋支局 田島聡子)「福祉の新拠点」どう生かす富士見村は福祉サービスの拠点となる福祉ふれあいプラザの建設計画を進めようとしている。保健所や障害者のための福祉作業所、学童保育所、シルバー人材センター事務所などが入り、村としては最大規模の施設となる見通しだ。
公共事業の見直し論議が高まる中で、大型の箱物の建設には県内でも慎重な市町村が多い。少子化で人口の増減が読みにくいことや、合併問題を突きつけられていることも背景にある。
プラザ建設事業予算を含む富士見村の新年度当初予算案が村議会三月定例会で一度、否決されたのには、こうした課題を踏まえた村民の厳しい目があった。
一方で、富士見村に限らず、福祉施設に対する住民二ーズが高まっているのも事実。特に高齢者福祉の分野では、施設サービスの一部を都市部に頼っている町村は多い。福祉の自立は、財政規模の小さい町村共通の願いだ。
「費用対効果」は今やどの市町村でも合い言葉のように使われるようになった。村民がプラザ建設の「効果」を十分に期待できる熟度の高い計画と説明を村に期待したい。9月3日(日) 上毛新聞朝刊
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四日午前五時ごろ、富士見村小暮の民家から「見知らぬヤギが庭にいる」と一一〇番通報があった。前橋署員が駆けつけたところ、民家近くの空き地に雄のヒツジが一頭おり、署員四人が保護した。
ヒツジは体長一・二メートルで、四十センチほどの角が生えていた=写真。首輪はなかったが、爪が伸びていることなどから、飼育されていたものとみて、同村で有線放送を流すなどして、飼い主を捜していた。同日夕、飼い主の前橋市内の男性が名乗り出て、ヒツジは帰宅した。ヒツジの保護は珍しく、署員も戸惑い気味。
そんな事情を察してか、ヒツジは迷惑かけてごメェーんなさいと恐縮していた様子だった」(同署)という。
8月5日(土) 上毛新聞朝刊
富士見村石井の日帰り温泉施設、富士見温泉見晴らしの湯ふれあい館(椛沢幹夫館長)の入館者が四日、百万人を突破した。百万人目は新里村山上、萩原敦彦さん(38)の長女、百恵ちゃん(3つ)。両親と三人で来館し、村関係者らから熱烈な歓迎を受けた。
入館百万人を記念して、同館は六日から十日まで感謝祭を実施する。食堂で生ビールやかき氷の割引が行われ、売店では記念のお風呂(ふろ)セットが販売される。
同館は一九九七年九月にオープン。村内や前橋市をはじめ、県内外から幅広い利用者があり、九九年一月には入館者が五十万人に達した。一日に平均約千百人の利用者があるという。
記念セレモニーで、斎藤啓治村長らから花束や記念品を受けた百恵ちゃんは終始びっくりした様子。 敦彦さんは「まさか百万人目だとは思わなかった。一年前に初めて利用して以来病みつきで、今は月に三、四回家族で利用している。露天風呂が最高で、夜景など、見晴らしが素晴らしい」と笑顔で話した。
6月5日(月) 上毛新聞朝刊
ホームへ戻る赤城山の山開き祭が八日、富士見村赤城山の赤城神社(塩原康弘宮司)で、例大祭と合わせて開かれた=写真。同村や前橋市の観光関係者ら約百人が登山者の安全や五穀豊じょうを祈った。
山開き祭は、赤城の神様が特別な力を持ち、生命に新たな息吹を与えてくれる特別な日として、五月八日(旧暦四月八日)に毎年行われている。
例大祭で、塩原宮司が祝詞を上げて山の安全などを祈願。この後、地元の小暮幼稚園児や参列者らが家内安全や交通安全などを願い、境内前の大沼に二シキゴイの稚魚を放流した。
5月9日(火) 上毛新聞朝刊