(おまけ 中華街の映画館で予告編(?)を見ている二人)
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トニー・ウェイ「近日公開、オンラインリプレイ『ドゥームズデイの雪』か。舞台はE&B連合王国、趣のある話のようだね。しかし偶然というのはあるものだな、ミア。人種も国も違うのに、登場人物にお前と同じ名前の子がいるとは」 |
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ミア・ウェイ「う、うん‥‥なんか、自分と同じ名前の人が出てくるって妙な気分だね。なんか、落ち着かないし、ぞわぞわするよ。(両手で自分の体を抱いている)」 |
トニー・ウェイ「この右側の眼鏡のお嬢さんが噂のミアか。ミア・ノックス、イギリス人のようだ。ほりのコズムが漂う可憐なお嬢さんじゃないか。ミア、お前とはまたずいぶん感じが違うな」
ミア・ウェイ「(むっ) な、なんだよ叔父さん! それじゃまるであたしが‥‥」
トニー・ウェイ「ハハハッ、冗談だ。何もお前が悪いとは言ってないぞ。お前はお前らしく生きればいいのだ。ところでこの物語、魔法の香りが漂っているようだな。ブリテンというと、私は行ったことがないのだが」
ミア・ウェイ「うん。あたしは元力は使えないけど、この話には元力使いが何人か出てくるね。ほら、パンフのこの男の子は超能力を使うし。こっちの背の低い女の子は日本の巫女の力を備えているみたいだ。叔父さんには分からない力が、世界を動かす話なんだよ」
トニー・ウェイ「なるほどな‥‥。そういえばミア、脚の方は大丈夫なのか。撃たれたと聞いた時はずいぶん心配したぞ」
ミア・ウェイ「うん。もう治ったよ。あれぐらいどうってことないし、気にしてたら探偵なんてやってられないよ」
トニー・ウェイ「そうか。お前には私にはない異能力があるし、無事ならばそれでよいのだが‥‥。
治ったなら聞くが。あの聖ミシェル学園の事件の時、私の店から徹甲弾のケースを黙って持ち出しただろう。だいたい、そんなことをするのはお前ぐらいだ」
ミア・ウェイ「(ギク) あ、あれは‥‥万一のことを考えて持っていったの。終わったら返そうと思って、その‥‥」
トニー・ウェイ「まだあるぞ。最近中央区でN◎VA軍の高官が狙撃されそうになったり、同じ顔をした黒服の男がたくさん現れたり大騒ぎになったそうだな。撃たれた行政府の職員が救急車で一命を取り留めたそうだが‥‥お前、その場にいたそうじゃないか」
ミア・ウェイ「(ギク!) あ、あれは‥‥掃除機で人を治す妙な先生がいて、先生は電話で、その場にはあたししかいなくて、それで仕方なく‥‥。シルバーレスキューにお饅頭配って口止めするのも大変だったんだよ(ゴニョゴニョゴニョ)」
トニー・ウェイ「出乎爾者、反乎爾者也。なんじにいずるものは、なんじに返る。自らの成した言行は必ず、自分自身に返ってくるということだ。孟子が生きたのは紀元前だが、その言葉は今の時代にも通じる。
(渋い顔をして) ミア。人の人生は自ら選択するものだ。お婿さんでも見つけて大人しく嫁に納まれといってもお前は絶対聞かないだろうし、そんな風に生きる必要はない。だが――もう少し何とかならんのか? バウンティハンターから探偵に転職したのに、どうしてお前の周りにはそう撃ち合いが多いのだ? そもそも‥‥(以下しばらく説教が続く)」
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