第17章 ファインド・ユア・オウン・トゥルース
“覚醒”により森林化の進んだ上野に、高層建築は見当たらない。シャーマンやメイジ達の集う場所となった不忍池周辺には本物の緑と、魔法の力が満ち満ちている。水面にさざ波が立ち、薄靄のかかる早朝の森は静かなたたずまいを見せていた。東京スプロールにも、こうした場所はまだ残っている。
世界に魔法が復活してから何十年も経った。新たなトーテムも数多く生まれている。
ユニコーンの道を奉ずる力あるシャーマン、“銀の癒し手”。仕事がらみで前に会った老婆は、一行を出迎えてくれた。
[十六夜]> お婆さんにエルフの遥ちゃんの話はしとく。「‥‥本人には、覚悟ができてから話した方が良いのでは」
[GM]> 「‥‥そうですか‥‥」
[十六夜]> 「あまり、楽しい記憶ではありませんから」
[GM]> 「そうですね‥‥。あの二人は今日は来ていないようですが。そうそう、演奏会を楽しみにしていると言っておりましたよ」
で、傷が治っていない人がいたら一応呪文ぐらいは掛けてくれますが。誰?
[一同]> (次々と)は〜い。
[神薙]> けっこう満身創痍だな。もう一回戦闘があったら死んでいた。
[GM]> お婆さんは [神薙]> マジックプールをドレイン抵抗に割り振らなくて平気なのか‥‥!? [GM]> 魔力は9ある。ドレイン抵抗テストの前に特殊技能の |
[神薙]> そういうことか‥‥。
[GM]> これがイニシエトの力だ。バーンナウトの道をゆく君には永遠に歩めない道だけどね。十六夜ならもうすぐ、イニシエーションを受けられるよ。
[神薙]> 「助かります」とは言っておこう。
[十六夜]> ヴィッキー、ギグの時のダイスの目にマイナスが掛かるわ。貴方も治してもらいなさい。
[ヴィッキー]> そうだった。でも血のついた包帯はつけたままで演奏しよう(笑)。
[GM]> ヴィッキーはエッセンスが5.2‥‥目標値はたったの5。おお、5個成功もしたよ。
老婆はサムライ達には、最後に諭すようにこう言います。
「この森や湖をご覧なさい。こんな混沌の世界でも緑は育つのです。大地の力は偉大です。あなた達のような人々は機械で体を侵すのもやむを得ないのかもしれません。
ですが、大地の力の偉大さだけは忘れないで下さい。‥‥それを忘れたとき、あなた達は人間ではなくなってしまう」
[神薙]> 今回ばかりは身に染みるものがあるな‥‥。
[桐原]> 俺は機械の限界を見たよ。
>>>>>[さすがシャーマンの力は偉大ね! 経験を積んだ第六世界の魔法使いは、カルマを払ってイニシエーションの儀式を受けることができるの。イニシエトのグレードが上がっていく度に魔力やアストラル界の反応力が増えて、アストラル界の奥のメタプレーンまで行けるようになるわ。
フィジカル・アデプトは魔力が増えれば新しいパワーを習得できるし、シャーマンやメイジは新しいメタマジックを使えるようになるの。このお婆さんが使ったセンタリング、呪文固定具なしで呪文を固定するクイックニング、呪文防御を強化するシールディング、アイテムに呪文を込めるアンカリング、魔法使いのオーラを隠すマスキング‥‥魔法の世界は奥が深いのね。
あ、でも、バーンナウトのお兄さんだって悪くないわよ。復讐のために道を外れたなんて、ちょっとかっこいいもんね]<<<<<
――ハーフエルフの冒険者 エリーシャ・フィオレット
東京の行政の中心地である西新宿。企業人達の集まる清潔な街。新宿中央公園には、行政局の職員や周辺の企業社員の姿がまばらに見えた。見上げると、東京行政局と都市環境局、西新宿ハイランドホテルの高層ビルが目に入る。中はコンタクトがやって来るのを待った。
レンラクのミスター・ジョンソン、ミスター・山田――謎めいた壮年男性はいつも通りの、柔和な笑みを浮かべていた。
[GM]> 例のディープ・スロート(笑)ライクなカンジのヤマダ氏は今日は何故かタキシードを着ています。 [ヴィッキー]> クリスマスパーティ? [十六夜]> そのうち撃たれるんじゃないの(笑)? |
[中]> “ヒューマン・ネーション”のことを聞いてみる。
[GM]> 「ふむ。私も聞いたことはあります。ヒューマニスの一派か、まったく別のより大きな組織か‥‥よく分かっていない。彼らは社会的な顔を持っていないらしいのですよ。実体はまったくの謎でしてね」
[中]>
[GM]> 「‥‥昔の事でしたら教えてあげましょう」と彼は特殊技能の[歴史:4]を使う。
「フチ・アジアのエグゼクティブに、そういう名の人間がいたのを記憶していますが」
[中]> 池袋で銃撃戦があって出掛けたんですが、その時問答無用でレンラクのレッド・サムライに撃たれたんですけど。
[GM]> 「‥‥なるほど。さすがは赤武者隊というところですな」
彼は答えます。「それについてはご愁傷様としか言えません。私も彼らについて詳しく知っている訳ではありませんのでね」
[神薙]> やっぱりな。別部署の人間なんだろう。
[GM]> その通り。ちなみに中、君はコンタクトがいることでレンラク全社が自分の味方だと思ってるようだが、ヤマダ氏がレンラクのどの勢力のどの位置に所属していて何をどこまで知っているのか、君は全く知らない。
[十六夜]> さすがディープ・スロートね‥‥(笑)。
[GM]> 「ですが中さん。私はあなた方とはこれからも良いビジネスの関係を続けたい。それだけは、お分かりいただきたいものですな」
[中]> こちらもそう願いたいですね。
[GM]> 他に聞くことはない? では彼は去っていきますが、去り際に「‥‥おっと、忘れていた」と人差し指を立てて、くるりと君のほうに振り返る。
[中]> ‥‥‥‥??
[GM]> 「ああ、中さん。‥‥メリー・クリスマス」
ヴィッキー&[十六夜]> おお! か、かっこいい!
[中]> にやっと笑ってこちらも闇の中に。
[GM]> (おいおい、まだ昼間だよ)彼はタキシードを翻してどこかに行ってしまいます。
>>>>>[篠山鶴長‥‥アズテクノロジー総本社のトップ、8人いるシニア・マネージメント・チームの一人だね。シャドウランドのアズトラン・ファイルに載ってるよ]<<<<< ――デッカー ネットボーイ >>>>>[アズテクの本当のトップはフェザーヘッズ(フェザー・サーペントの俗称)共だとか、アステカの精霊だとかいう噂があったが、違った訳だ]<<<<< ――エルフ・デッカー メタリック・マウザー |
>>>>>[いやぁ、噂はまだあるんだよ。株主の最後の一人はアレスの社長ダミアン・ナイトだとか、自由精霊、人工知能、果ては、アズテク全体がもっと大きな一つの存在によって操られてるとか、色々言われてるんだ]<<<<<
――デッカー ネットボーイ
>>>>>[ついでに言うと、ヒューマン・ネーションは全てのメタヒューマンをヨミ・アイランドに追放しようと企む、日本に起源を持つ反メタ派の謎の勢力。オルド・マキシマスは謎に包まれた吸血鬼の秘密結社だ。ヤツらは本当に存在するとも、被害妄想狂の夢想の中の存在だとも言われてる。いずれにせよ、第六世界の闇は深いぜ]<<<<< ――ストリート・サムライ レイザーエッジ |
桐原はコンタクトのストリート・ドク――千葉の腕利きの闇医者に電話した。チバ・シティのサイバー技術の高さは世界中に知られている。画面に、よれよれの白衣を着た冴えない中年男性の顔が現れた。
『どうした、サイバーアイに機能追加でもしたいのか?』
[中]> 私もストリート・ドクのコネありますよ。 [十六夜]> きっと千葉の方が分かりはいいはずよ。 [桐原]> 仕事のことは話さないで、サイバーウェアの所だけ話そう。 [GM]> しばらく考え込んでから彼は低く口笛を吹く。 [桐原]> 幽霊に見えるか? |
[GM]> 『桐原、神に感謝した方がいいかも知れないぜ。そいつは、究極のムーヴ・バイ・ワイヤ・システムに違いねェぜ』と言って教えてくれます(英語版資料『CYBERTECHNOLOGY』を見せる)。
脊髄付近に埋め込むウェアだ。人間の体に人工的な痙攣を引き起こして、コンピューターで無理やり制御することによって圧倒的な反射神経を生み出す装置だね。
究極のレベル4は敏捷力+4、反応力+8、イニシアチブ+4D、運動と隠密のダイス+4。バイオウェアの
値段は300万新円。でもエッセンス消費が6.45だからカスタム化してエッセンス消費を減らさないと人体に埋め込めない。
『‥‥あれにゃあ金が掛かりすぎる。そうだな、企業で特別にカスタム化してもっと安く造ったとしても‥‥副作用は消せねェだろう。
なァ桐原、俺もこんな商売だ。今まで違法のサイバーウェアを山ほど見てきた。だが‥‥あれだけはいまだに信じられん。狂ってるとしか思えんよ』
[桐原]> 確かに‥‥地獄の縁まで行ってきたからな。
[神薙]> 闇医者にそこまで言わせるか‥‥。
[GM]> 『またバイオウェアでもインプラントしたくなったらいつでも来い。いいのが揃ってるぜ』と電話は切れます。
>>>>>[エッセンス消費×1/2のデルタ・グレードのカスタム化ができる病院は、この第六世界に6つあると言われてる。フチの領土に2つ――NAN諸国に1つ、日本帝国のナガノ県に1つ。アズトランの首都テノクティトランに1つ、ザーデル・クルップ陣営のデュッセルドルフ郊外に1つ、ティル・ナ・ノーグの何処かに1つ。6つ目の場所は誰も知らない。
そういう施設はサイバーマンシーのテクも備えてる。Cybermancy――エッセンスがマイナスになっても生きてられるサイバーゾンビ共を作り出す秘術さ。体のほとんどがサイバーになっちまった連中はべらぼうに強い。
だけどいいことばかりじゃないぜ。魔法が効かなくなり、意志力が下がり、勘が鈍って知覚テストや不意打ちテストがキツくなり、埋め込んだ
ヒュウ! オレも噂でだけは聞いたことがあるけど、そんな奴らとは出くわしたくないね!]<<<<<
――エルフ・デッカー メタリック・マウザー
2056年12月24日、午後5時。一行は根城にしている渋谷のバー〈クリスタル・ヴィジョン〉に集まった。窓の外には美しく輝く東京の夜景が広がっている。
ダークブラウンの瞳にショートカットのコーポレート・セクレタリー――出羽弥生がきびきびとした足取りで十六夜達の待つテーブルにやってきた。普段の彼女は、明るく人に好かれやすいタイプの女性だ。十六夜の先輩だった頃から、そこは変わっていなかった。
今夜の彼女はゾエ・オヴ・ニューヨークの洒落たスカート・ジャケット――“レトロヴィジョン”の今冬モデルに身を包んでいた。企業人に人気のこのラインは、実は防弾効果まである。
[GM]> 「お疲れさま。お互い大変だったわね。残念だけど、ランは失敗ね。でもあの後、結局どの勢力も入手できなかったようなの。イントセクも、ゴー・ギャングと鉢合わせしてごたごたを起こしてしまったらしいのよ」
[十六夜]> まず
[GM]> フチの一部門、フチ・インターナル・セキュリティの“朧”チームを率いているそうです。表向きは施設警護の専門チームだけど、実は裏工作や極秘作戦が本当の仕事だそうだ。
「‥‥詳しくは言えないけど、彼らは味方ではないのよ。橘さんから聞いたかも知れないけど、フチ帝国はそれほど強固ではないのよ」
>>>>>[フチ日本は ――ストリート・サムライ レイザーエッジ |
[神薙]> そういうランに巻き込まれたら誰が味方で誰が敵か分からなくなるな。
[ヴィッキー]> うー、骨肉の争いね。であのタチバナ氏は?
[GM]> ナイスな人(笑)の彼はあの後無事全快したそうです。
[十六夜]> 篠山鶴長とかいう人物の事を聞いてみる。 [GM]> 彼女の表情が少し変わります。 |
[十六夜]> 「‥‥そうですか。それ以上は聞きません」
[GM]> 「そうそう、一ついい知らせがあるの。私の上司の‥‥」という所で彼女のフチ製の携帯電話が鳴る。
で彼女はしばらく話して、君に電話を渡します。「貴方によ。私の上司の
画面にはVOICE ONLYと出てます。まるで、キミタチの大好きなNERV本部みたいッスねー(笑)。
『‥‥あー、君かね? 出羽君の友人というのは』
電話の向こうから、中年男性と思われる渋い声が響いてきた。
「はい、そうですが」
十六夜の心の奥底で、何とも表現しがたいものが一瞬だけ浮かび上がった。
『私が都築だ。まあ結果として目標は達成できなかった訳だが、橘君も救ってくれたし、君たちの行動は、私の属する勢力にとっては非常に有益になった。礼を言うよ』
「‥‥はい」
懐かしいような不思議な気持ち。だが、気のせいだろう。
『それに今日はクリスマスだ。まぁ‥‥特別ボーナスとでもしようか。支払い保証済みクレッドスティックで2万新円、出羽君に渡してある。取っておいてくれたまえ』
「分かりました。有難く頂いておきます」
『これからもよろしく頼むよ。‥‥ところで‥‥』
一時の沈黙。電話の相手は何事か考え込んでいた。
『‥‥君は、フチの人間ではないね?』
「そうですが?」
『‥‥どこかで、私と会ったことはなかったかな?』
「いえ、そんなことは」
『‥‥そうか、気のせいか。いや失礼した。では出羽君から後は聞いてくれたまえ。失礼するよ』
[一同]> (十六夜のプレイヤーに)‥‥実の父親?
[GM]> そう。ただし、それを知っているのは、観客としての君たちだけだ。
[桐原]> マウザーの分を入れて1人3000\。残りの2000\はチュンの車の修理代に回すか。
[神薙]> ‥‥そんな話をしていたらもう6時過ぎか。おいお姫様、ギグだろう。 [ヴィッキー]> ああ、忘れてた。 |
[一同]> 忘れるなヴィッキー!!
[十六夜]> 「ところで、これからお時間はありますか?」
[GM]> 出羽さんは「どうして?」と不思議そうにしてる。
[十六夜]> ギグのことを話すわ。
[GM]> 「う〜ん‥‥悪いけど、今夜は予定があるのよ」と悪戯っぽく微笑んでいる。
「じゃあ十六夜、よいクリスマスを」
RI-Foundation > Shadowrun > "While The Earth Sleeps" > Chapter:17 |
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