八章
ファイナル・オペレーション
一行は再び洞穴へと入った。鎧武者は奥の暗がりにじっとしていた‥‥刀を脇に置き、座禅を組むと静かに瞑想している。
向島教授:呑気な奴だなあ。
GM:回りからエネルギー吸収してHP回復してるとはっきり言いましょうか。
向島教授:なに〜! それなら話は別だ〜! じゃあさっきの攻撃でダメージ入ってたのか。
GM:けっこう来てたよ。さて、どうする?
鏡:これを見るんだ! と鏡を掲げる。
向島教授:ルック・アト!
GM:最初に君たちを見ると、
「ふふふふふ。また来たか負け犬めが。八百年ぶりに血祭りに挙げてくれようぞ」ってつかつかと近づこうとするんだけど、鏡を見ると
「なに、そ、それは〜!」
銅鏡から光が溢れ出した。純白の光は真っ直ぐに鎧武者の亡霊を射る。光が当たった途端、武者の体から鎧が音を発てて剥がれていった。
向島教授:おー、無敵の鎧が!
GM:「何たることよ、それを持っている奴がいまだにいたとはっ!」
向島教授:鎧の下は‥‥裸?
GM:いや、骸骨。巨大スケルトンみたいになった。ただし攻撃力は変わっていない。でもさっきは防護点20あったからね。
●再び戦闘開始だ! イニシアチブの結果はタイ(同時行動)。鏡さんが鏡を掲げ、向島教授が[風撃(かまいたち)]の攻撃に入る‥‥。
向島教授:‥‥成功。
GM:(声がでかい)撃った? かまいたちを? ‥‥へっへっへっへ(不気味に笑う)、じゃあ[かまいたち]で攻撃されたんで[かまいたち]で「受け」ます。敵が刀をばっと振るとあなたのかまいたちは防がれて、敵の剣風の方が逆に襲いかかってきます。
向島教授:なに〜! 屈辱的だ〜!
飛丸:敵は日本剣術使いだ! 覚醒しているぞ(笑)!(←ちょっとメガテン)
鏡:平家の落ち武者なんだから当然なんでは‥‥(笑)。
●なんて不気味なGMなんだ(笑)!! ダメージは「切り」の17点。防護点9点を引いて、1.5倍の12点が向島教授の体を切り刻む!
飛丸先生の破壊光線は「よけ」られてしまった。そこへ、向島教授の二回目の怒りのかまいたちが飛ぶ!!
向島教授:29点!
GM:29点‥‥痛い。痛すぎる。(防護点がもうないので、そのまま1・5倍なのだ!)
飛丸:そこへ格闘じゃっ! かみかみかみかみ‥‥で「切り」の16点。
GM:はい。分かりました。
飛丸:でも骸骨噛んでるんだよな(笑)。
鏡:『ルーンクエスト』だったら骸骨はクリティカルしないとダメージがいかない所ね。
GM:術は「瞬間」に増強してあるんで他の行動もできます。(ころころ)というわけであなた(飛丸)が剣でぶった斬られます。成功。
飛丸:なにー! 7以下が出るぞ出るぞ出るぞ‥‥やっぱり出なかった。
鏡:(GMを見ている)なんかけっこう振ってる〜。やっぱ身長5メートルだからなぁ。
GM:ダメージは「切り」の29点。
飛丸:23点の1.5倍で‥‥HPが−11.5になったぞ? −11と考えれば‥‥マイナス生命力まであと1点。
GM:じゃあ生命力判定して下さい。‥‥勢康ならピヨりませんでした。でもあと1点食らうと生死判定に早変わり〜。
●次ターン。遂にPC側が先制権を取った!
向島教授:何とかしてくだせぇ〜!
鏡:行きます。重くなれ〜!
GM:(抵抗に)やっぱり成功している。
向島教授:[かまいたち]。
GM:あんたも懲りない奴だねぇ‥‥(ころころ)おおやべえ、ファンブった!
●あらゆる判定で極端に大きい目が出るとファンブル(致命的失敗)が起る。『妖魔夜行』だと、『ガープス・ベーシック』のものより派手になってるスペシャルなファンブル表で降り掛る災難を決めるんだ!
一同:おー、やったー!! (ぱちぱちぱち)
GM:(白蛇の[幸運をもたらす]で)だから振り直すって言ってんじゃん〜!
一同:ブ〜ブ〜!! (一同ブーイング)
鏡:もう一回ファンブルするのよ!
GM:16? おー危ねえー、ファンブルじゃなかった。でも失敗です。
向島教授:(ごろごろ)「切り」で29点!
飛丸:よし最後に、ファイナル破壊光線! 吸血破壊光線大回転じゃっ(笑)!
(注:正式名称は『ダイ・アモン・大回転エビ投げハイ・ジャンプ吸血破壊光線!!』‥‥だけどどうでもいいか)
GM:‥‥よけてなーい!
飛丸:31点!
巻き起こる風の刃が落ち武者の亡霊を切り刻み、謎の光線が武者の頭蓋骨を貫いた。そのまま頭は吹っ飛び、粉々に割れると消し飛んでしまった。
「何たること!」
頭をなくしたはずの落ち武者の声が響いてきた。
「しかしいつかまた、目覚めの時を‥‥」
体のあちこちから光が噴き出し、武者は洞穴の底にゆっくりと倒れ伏した。土煙がもうもうと上がり、一行の目から八百年前の武士の姿を覆い隠す。
煙が晴れた時には、落ち武者の体は跡形もなく消えていた。
飛丸:メガ・アッサー・シーン‥‥だけど、ひ〜ん、Xパワーがなくなったよ〜(笑)。
鏡:あれが最後の落ち武者とは思えない。また第二第三の落ち武者が‥‥。
GM:さて倒しましたがどうしますか?
向島教授:調べよう。なんかないか。
鏡:なんかないって‥‥なんもないんじゃないの?
向島教授:刀を貰おう。
GM:刀も消えちゃいました。だって妖力の[衣装]ですもん。
●妖怪の中にはどんな時も必ず特定の衣装をつけてるヤツもいる。[衣装]を取れば、どんなに攻撃を受けても、体が燃えても、いつの間にか元の格好に戻るんだ。武器も衣装の一部にできる。確かに毎回着替える妖怪ってのもカッコ悪いもんな。
飛丸:やれやれやれ。生命力までHPダメージがいってるってことはもう傷を負ってるってことですか?
GM:いってます。
飛丸:僕はぼろぼろで〜す(笑)。
向島教授:自然回復とかないんスか?
飛丸:ないんじゃないの?
(↑食事をして丸一日休息し、生命力判定に成功すればHPは1点回復することになっている。)
鏡:応急手当くらいしよう。あ、技能なのか。じゃあ技能なし値で‥‥。(<応急処置>は知力−5)
GM:ちょっと待てちょっと待て。ミスると死ぬぞ!
(↑ファンブルならHP−2。この場合、飛丸先生は生命力判定に失敗すれば本当に死ぬ。)
それに時間かかるよ。10分。(←正確には、文明レベル7の現代なら20分)。先に外に出るか、それともここで手当する?
一行は先に洞窟から外に出た。もうすっかり辺りは暗くなっている。
洞窟の入口には、炎がふわふわと浮かんでいた。炎の中には人間めいた顔が見える――あの男だ。
鏡:鏡を隠すよ。
GM:「ふん、倒したか」
向島教授:弱かったぞ。
鏡:ホント? ホントにそう思ってるの(笑)?
GM:「なかなか頼もしいじゃないか。いずれまた会おう。ふははは」
雑誌記者の村上――だったもの――はその体を再び光の矢へと変じた。物凄い速さで、光は空へ飛び上がった。
平間村の上を行き過ぎると、淡い軌跡を残して山々の向こうに飛び去ってゆく。すぐにそのものは夜の闇の中に消えていってしまった。
向島教授:なにー、そんなに速かったのか!
飛丸:待て、木曜日野郎! 実はE.B.E.だったのか(笑)!(←まだまだX−ファイル)
鏡:という訳で応急手当します。成功。
GM:じゃあ1Dして。4? じゃあ2点HPが回復した。(←正確には、現代は文明レベル7なので1D−1。)
ところで妖怪って体の構造も器官も分からないのにどうやって応急手当するんだ? 血だって出るのか知らないよ?
鏡:気合いよ気合い! 根性で治すの!
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