創世の歌
いざ、耳傾け給え
今宵の宴は良き聞き手に恵まれ
非才なる身に余る光栄なれば 一夜の礼に
竪琴鳴らし 我は語ろう
我らが世界の
創世の歌を。
遥かな過去には何もあらず ただ独り 巨人あるのみ。
これぞ“万物の始祖” そは永劫の時を過ごせり。
なれど 遂には永遠の命も尽き果てぬ。
強き体は豊かな大地
轟く吐息は風となり
熱き血潮は母なる海
孤独を嘆く心は憤り この世に炎をもたらせり。
かくてこの世は造られし そして神々も生まれ給いし。
猛き右足よりは勇気ありしマイリー
素早き左足よりは幸ありしチャ・ザ
頭よりは英知ありしラーダ
胴よりは慈愛ありしマーファ
邪なる右手よりは闇ありしファラリス
善なる左手よりは光ありしファリス
かれら六柱 神々の王たり
そして 万の神々も生まれ給いし。
さらなるは安らかなる古代樹 巨人の毛より
さらには神秘の竜たち 鱗より生まれ給いし。
混沌たる世界は神々により分けられし
大地も 風も 海も。
一つは精霊が故郷 世界の力の源 すなわち精霊界
二つは我らが母なる大地 神々の御座 すなわち物質界
最後は二つの界をつなぐ橋 妖精たちが住まい すなわち妖精界なり。
かくて世界(フォーセリア)は創造される。
古代の種族は神の血を受け継ぎ
しばし平和が続く。
やがて起こりたるは争い
その発端は誰も知らず。
あまたの神々 そに仕えしもの 猛き竜たちは
光と闇に別れ
大いなる戦いに身を投じ給えり。
大地は裂け 山は火を吹き 海は逆巻き
神々は肉体を失い 古えの竜たちは死に絶え
この世界との交わりを絶つ。
かくて、<神話の時代>ぞ幕を閉じる。
やがて暗黒の世ぞ訪れ 全てを闇に帰す。
なれど人は生き抜いたり
神の力を受け継ぎし人間たちは。
世に十の賢者あり 彼ら解明せり
神の与え給うた言葉の真(まこと)を。
やがて興りたるは伝説の魔法王国
大いなるカストゥールなり。
偉大なる魔法王たちは世界を治め
この世の栄華を極めし。
魔法の技は頂点を極め
精霊 巨人 そして竜すらも従える。
魔力の塔の力は無限なり
究極の魔力は都市を天空に浮かべ
幾多の精霊力によりて都市を養う。
古の魔法の楽園は幻たるか
されど幻は永遠のもの。
遂には 終わりなき古代王国も翳る
黄昏が訪れ 夜の帳が降りるごとくに。
人は神を 精霊を憎み
魔術のみが信ぜると考えたか
混沌の魔物迫れり 世界は終焉に瀕せり。
王国ぞ運命を託せり 一振りの剣に
魔法王の力を込めた至高の剣に。
剣ぞ振われ 魔物を消滅さす
なれど代償は高きものに。
礎たる魔力は暴走し 奇跡の王国は滅びゆく
かつての栄華も夢の如くに。
都市は地に堕ち 大いなる知識は消え去り
全ては歳月の塵に埋もれん。
残るは 秘法の一欠片と
そして 寂寞たる遺跡のみ。
かくて、<魔法の時代>ぞ終わりぬ。
一千年続いた古代王国には 蛮族と奴隷ありし。
彼らは欠けたり 王国の命たる魔力には
なれど 強靱なる生命にて滅亡から逃れん。
繁栄の後には混乱あり
かくて五百年の歳月は流れ
今の世に至る。
大地に住まうは妖精 妖魔 神秘の精霊
美しき幻獣 恐ろしき魔獣 偉大なる巨人たち
さらには忌まわしき闇の子らも。
荒野に眠るは遥かな過去の遺産 謎を秘めし遺跡
興りたるは幾多の新王国 剣ぞ力持ちたり。
力ありし魔法は失われ
剣ぞ全てを治めん。
これぞ我らが世、<剣の時代>の幕開けなり。
幾多の英雄ぞ名を馳せ
幾多の物語ぞ唄われん。
ここにあまたの人々立ちたり。
人は問う 彼ら何ゆえに
我は答える 彼らのみ知ると。
荒野の塵と消えるか 誉れと共に帰還せるか
彼らの運命ぞ剣によって。
彼ら<剣の時代>にぞ現るる。
怪物を退け
古の遺産を求め
世に光をもたらす者も。
己の求めしものを探し
遂には我らの 唄の内に。
あまたの人々ぞ名を馳せ
あまたの物語ぞ唄われん。
我はただ問うのみ
次に来るは誰ぞと‥‥。
RI-Foundation > 大地の護り手の神殿 > 蜃気楼の探し手 > 創生の歌