東京の鳥H  ウグイス


 

鳥の中で特に好きなものを一つあげよ,といわれるとかなり迷ってしまう.今頃奥多摩など近郊の山に行けば,ちょうど繁殖期を迎えたコマドリ,オオルリ,クロツグミ,ミソサザイなど,小鳥たちの美しい囀りの競演を聞くことができる.それらに優劣をつけるのは難しい.オオタカやハヤブサのような猛禽類,フクロウ,ヨタカなど夜の鳥,そして数多くの水鳥たちもそれぞれ捨てがたい魅力をもっている.逆にあまり好きでないものとなるとこのウグイスが思い浮かぶ.鳥たちの囀りの中にウグイスの声が混じるともういけない.人一倍ひねくれた性格だと自分でも思う.しかし,好きでないのには理由がある.かんかん照りのうだるような真夏の昼すぎ.遮るものとてなにもない草原.すべての生物がうんざりとしながらじっと耐えている中で,全くめげることなく鳴いているのがこの鳥である.その声はどうにも暑苦しい.どうしてもそのイメージが拭えないのである.確かにホーホケキョというその鳴き声は独特の美しさをもったものだし,それを2月,3月ごろ東京で聞くと,ようやく春めいて来たことが感じられ,さわやかな気分になる.それが4月ごろには山に帰り,その後,東京では聞くことができなくなる.だからいいのだ.それを夏の暑い中まで鳥を求めて山の中を歩き回ったりするから,ウグイスに対して偏見を持つようになってしまうのだろう.

一昨年の7月,文京区内でウグイスを見た.さすがに珍しいため,しばらくその鳴き声に聴きほれてしまったが,夏の間,都内のどこでもウグイスが鳴いているということにでもなったらいやだろうな.(たまには毒のない文章で.)

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