last updated:Wednesday, December 21, 2011


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Ⅱ 農業の現状と課題

  日本の人口の3%に満たない約260万人(2010年10月現在)の農民が日本の食料の大半を支える。農業従事者の平均年齢は65.8歳,35歳未満は5%との数字が示すように後継者不足もあって,埼玉県と同じ面積の耕作放棄地が広がっている。さらに農家1戸当たりの農地面積は2007年でEUの9分の1,アメリカの99分の1,オーストラリアの1862分の1と,耕作面積の極端な狭さが,生産性を引き下げている。




 その農家の高齢化と減少など,幾多の難問を抱える日本農業。農業を覆う現状の問題点を追求し,農業を以下に再生産・持続可能なものにしていくか,農業改革の方策を探る。(政府の農業政策




       出典:「2010年世界農林業センサス結果の概要(暫定値)

 日本の国土は狭く,農業には適さない。したがって,日本の農業は競争力に欠ける。農業貿易が自由化されれば,日本の農産物はひとたまりもない。また,農林水産業といった第一次産業は,日本のように労賃が高い国では衰退し続けると広く考えられている。このように日本農業には,“弱者”のイメージと,将来性への危機感がつきまとう。 このため,農業の将来性に確信を持って就業する若者は少ない。

 生産量に応じた補助金を出して農家を保護するというのが,これまでの日本農政の基本的なスタンスであった。その補助金の原資となるのが,輸入農産物にかかる関税である。これまで関税に裏付けられた高い農産物価格で農業を保護してきたが,日本農業の衰退に歯止めがかからなかった。
 1960年から今日までGDPに占める農業の割合は9%から1%に減少した。一方,65歳以上の高齢農業者の比率は1割から6割へ上昇した。専業農家は34.3%から19.5%へ減少し,第2種兼業農家は32.1%から67.1%へと大きく増加した。53年まで国際価格より低かった米は800%の関税で保護されるなど国際競争力は著しく低下した。食料自給率も79%から40%に低下した。

 外国からの安い農産物におされ,兼業農家がつくる農産物のみならず,専業農家がつくるものも,市場から駆逐されるとなると,問題は深刻である。極端な場合,兼業農家は自分たちが食べるだけのものだけを栽培し,専業農家はいなくなるという事態にもなりかねない。 日本の農業はどうなるのか。国際競争にさらされた時,果たして生き残ることができるのか・・・・・。

 小規模な兼業農家の保護策として,①高関税で輸入米の参入を抑える,②販売価格が生産費を恒常的に下回っている作物を対象に,その差額を交付することにより、農業経営の安定と国内生産力の確保を図るという,「農業者戸別所得補償制度」を通じて手厚く助成を行ってきた。
 それが,専業農家の意欲をそぎ,日本農業の衰退を招いた元凶となった。TPPをテコに,海外との輸出競争にも耐えられるぐらいの強い農業を目指すべきである,との意見も出ている。
 

 日本農業は,国際競争力のある農業を育成し農産物輸出を強化,拡大することが重要との意見も根強い。
 恩師・経済学者伊東光晴先生(京大名誉教授)は,TPP参加は誤りであり,日本の米作・畜産は規模拡大政策では存立し得ないとし,“日本農業に大きな打撃を与えない国との間の2国間協定で,TPPにならい,関税をゼロに向けていくべき”である。それのみが現実的であろうと,説いておられる。
 そして,「日本の農業関係者は,日本の政治家には期待できないかもしれないことを覚悟し,自分たちで自らを守る体制を作らなければならない。生産者と消費者を縦につなぐ組織の構築である。」とも言い切っておられる。

  いま,欧州の債務問題に伴う超円高で,輸出メーカーを中心に多くの日本企業の業績が悪化し,工場の海外移転が加速している。TPP参加は,関税撤廃など交易条件を大幅に改善することになり,長期的には,こうした産業空洞化の回避にもつながる。政府は,直ちに交渉参加を決断すべきときにきている,との意見も出ている。
  
  玄葉光一郎外相は10月11日午前の記者会見で,環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の交渉参加問題について「外に目を見開いて打って出ないと,子供,孫に豊かさを引き継げない。ルールメーキングに日本がしっかり関与するのは大切なことだ」と述べ,前向きに検討すべきだとの考えを示した。
 東京大・大学院教授,伊藤元重氏は,TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)は,小手先での政策運営の話ではなく,日本をどういう国にしたいのかという意思の問題であるとし,高い見地からの検討を求めている。

 10月下旬実施の共同通信社の全国の知事を対象とした緊急アンケートによると,条件付きを含め賛成が6人,反対は14人で,岐阜など27人は「どちらとも言えない」などと賛否を留保した。 反対派の知事は,国内農業への打撃や国民の合意がないことを懸念。賛否に踏み込まなかった知事からも,判断材料となる情報や国民的な議論が不足しているなどと政府の対応に批判の声が上がった。
 全国各地の現状を見れば,地域ごとにTPPのメリット,デメリットを考えなくてはいけないのではないか。

 いま政府に求められることは,「TPPへの参加がプラスかマイナスか,国民が判断できるようにTPPに関する情報を細やかに出すことである。
 農水省は「TPPに参加すると農業が壊滅してGDP(国内総生産)が1.6%減少する」という推計している。対して内閣府は日本がTPPに参加した場合,実質国内総生産(GDP)は2兆7000億円押し上げられるとの試算を示した。
 性急な見切り発車の前に,せめて国民に対して政府内での見解統一と,その根拠の開示をしてもらい。

 農林水産省発表の2010年度の食料自給率(カロリーベース)は,09年度に比べて1ポイント低下し,39%である。40%割れは06年度以来4年ぶり。

 コメの消費量は増えたが,昨年の猛暑の影響で小麦やてんさいの生産量が減ったことが響いた。東日本大震災の発生以降,放射性物質による汚染が牛肉やコメで懸念されており,今年度の自給率はさらに下がる可能性がある。

 自給率は国内で消費している食料を国産でどれだけまかなえているかを示す数値。10年度中は猛暑や多雨などの天候不順で小麦やてんさいの生産量が09年度と比べて15%減り,自給率低下の主な要因となった。

 年間1人当たりの平均コメ消費量は59.5キログラムで09年度より1キログラム増えた。農水省では「震災の影響で,消費者の間でコメを買う動きが一時的に広がった」と分析している。


 農水省統計によると,2009(平成21)年の農業総産出額(概算)は8 兆491 億円で,前年に比べ4.9%減少した。これは,乳用牛の産出額は乳価の上昇により増加したものの,米,野菜,果実,豚等の産出額が価格の低下等により減少したことによる。
 主要部門別に構成割合をみると,畜産計は2兆5,096億円で農業総産出額の31.2%を占めており,次いで,野菜が2兆331億円で同25.3%,米が1兆7,950億円で同22.3%を占めている。
 アメリカの200ヘクタールに比べ日本の平均農家規模は1.2ヘクタールにとどまる。食管法が95年廃止された後も,生産調整というカルテルにより米価は維持されてきた。また,民主党が07年の参院選で掲げた農家に対する戸別所得補償などに見られるよう,農家に対する様々な補助金は,収益性の上がらない小規模農家の離農を妨げ,農業の集約・大規模化を遅らせている,とも指摘されている。

 主業農家の生産シェアは,麦74%,野菜83%,牛乳96%に対し,米は37%にすぎない。40年間でGDPに占める農業の割合は9%から1%に,65歳以上の高齢農業者の比率は1割から6割へ上昇した。

  日本の農業就業人口は毎年十数万人ずつ減り続けており2008(平成20)年で298万人。このうち約半数の140万人を70歳以上の高齢者が占め,20年後を担う39歳以下は35万人にとどまる。同様に漁業人口も,漁に出る17万人の男性の5割が60歳以上の高齢者が占める。

 主要先進国の中では最低の39%(2006年)という食料自給率の低下,後継者不足,耕作放棄地の増加,農家人口の長期減少,日本人の米離れ・日本食離れ,グローバル化に伴う輸入農産物の増加による競争力低下,といった深刻な現状が浮かび上がる。日本農業の衰退が止まらない。


出典:関東農政局HP  主要先進国の食料自給率の推移                  
           http://www.maff.go.jp/kanto/nouson/sekkei/no_nippon/01.html

 TOPICS

◇ オーストラリア-小麦や牛肉,関税引き下げに配慮を

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 2011年12月12日,鹿野農林水産水大臣はオーストラリアのラドウィッグ農林水産大臣と会談し,今月中に交渉を再開するEPA=経済連携協定について,小麦や牛肉など関税の引き下げに十分な配慮を求めた。

 これに対してラドウィッグ農林水産大臣は,「対話をしてお互いの共通点を見つけていくことが大事だ」との認識を示した。今月中にも10か月ぶりに再開される日豪EPA交渉でオーストラリア側は小麦や牛肉、乳製品、砂糖などの関税の引き下げを求めてくるとみられていて,日本側との調整が注目されている。



原発事故の農業に及ぼす影響

  東京電力の福島原子力発電所事故に伴う放射性物質拡散被害は,日々深刻の度を増している。高齢化で未来が不安な農業と漁業を東日本大震災は直撃した。
 東日本大震災の被災地である岩手,宮城,福島,茨城4県のコメの年間精算料は156万トンで全国の約2割を占める。今後,この供給量のすべてが失われることはないにせよ,生産規模は相当量落ち込むであろう。今後の食料安定供給が懸念される。
  詳しくは,Ⅰ 農業 原発事故の影響に掲載。

◇福島市大波地区のコシヒカリ放射性セシウを検出

 福島県は11月16日,福島市大波地区産のコシヒカリ(玄米)から国の暫定規制値(1キロ当たり500ベクレル)を超える放射性セシウム630ベクレルを検出したと発表した。コメの暫定規制値超過は全国で初めて。政府は同地区のコメを出荷停止にする検討を始めた。<BR>
 大波地区は東京電力福島第1原発から約60キロ離れた中山間地で,154戸の稲作農家がある。原発事故による放射線量が比較的高く,福島市は10月18日から地区の全世帯を対象に,本格的な除染作業を進めている。

 福島市大波地区のコメから国の暫定規制値を上回る放射性セシウムが検出されたことは,福島県産の農産物の信頼回復に向けた取り組みに深刻な影響を及ぼすことはも間違いない。県産の農産品への風評被害が拡大することも懸念される。


環太平洋連携協定(TPP)への参加問題

 米国主導で進められている自由貿易ルールへと変質しつつあるTPPへの参加の遅れは,今後の日本にとってどのような影響を及ぼすのだろうか。
 TPPに日本が参加しなくても,自由化の流れは止まることはない。

九州各県,農業の規模拡大や企業参入を支援

  九州各県が農業の生産規模拡大や企業の農業参入を促す事業に相次ぎ乗り出している。農林水産省によると,09年の九州・沖縄8県の農業産出額は約1兆7千億円。10年前と比べて5.5%減った。

□福岡県
 福岡県は飼育頭数を増やす畜産農家・法人に対し,畜舎の整備などにかかる費用を一部助成する。
 福岡県は2011年度から3年間,飼育規模を拡大したり,生産性を高めたりする畜産農家・法人の投資負担を軽減する制度を導入する。畜舎の増改築や飼育設備の導入にかかる費用の3分の1を助成する。公募を経て秋にも今年度の支給先を決める。

□鹿児島県
 鹿児島県は,県内の農業参入企業が統計を取り始めた2005年度以降,累計で83社増の151社となる一方,17社が撤退し,10年12月時点で134社となっているとの結果をまとめた。全体では参入企業の約9割が続けている。
 県経営技術課によると,継続企業は管理能力が高いうえ,地域に溶け込んで農地や雇用を確保するなど努力しており,「比較的順調に経営している」としている。
同課によると,統計は05年度から年1回まとめている。参入企業は建設業,食品関連業が多く,撤退した17社のうち,14社は建設業だった。

◆企業向け農業ビジネス参入支援
 鹿児島県は企業向けに無料の「企業等農業参入塾」を開校し,ツマイモなどの栽培技術や農業経営の基礎を教える。経営計画を実際に作成し,費用や利益がどこから発生するかの演習も実施する。同県は07年から研修会を開いている。

県内の市が特区を開設
  鹿児島県では県西部の薩摩川内市,阿久根市,薩摩半島の南さつま市,種子島の西之表市において,遊休農地の解消を目的に市が特区を開設し積極的に企業参入を推進してきた(栽培作物は,サツマイモ,ラッキョウに集中している)。
 このうち薩摩川内市では,地域特産物の「唐浜らっきょう」の生産振興を目的に特区を04年に開設した。市は参入企業が「すぐに栽培を開始できるような状態」を提供することを基本に,圃場整備,農地斡旋,省力化施設の補助,農協を通じた販路の確保等の仕組みを提供した。


宮崎県の企業の農業ビジネス参入を支援事業
1事業の概要
(1) 予算額  5億円(宮崎県農業振興公社に基金として造成)
(2) 事業期間 平成21年度~平成25年度(1つのビジネスモデル計画書に係る事業実施期間は,3年以内)
2事業の特徴 <農業参入に必要な施設,労働者,土地の3つをトータルで支援します。
支援その1 【設備投資に対する支援】
企業等が地域農業との連携のもとに行う農業生産,農産物の加工・流通・販売等に必要な施設・機械の整備等の投資経費に対して補助する。

支援その2 【新規雇用に対する支援】
事業によって創出される新規常用雇用者1名あたり30万円を補助します。

支援その3 【農地集積に対する支援】
企業の農業参入等を受け入れるため,土地(農地)調整・集積等の地元活動に対し,集積面積に応じた支援を行う。


熊本県
企業等農業参入支援事業(地域調和型企業等支援) 
 熊本県も企業を対象にした研修事業を4月から実施している。熊本県立農業大学校の教員らが栽培技術や経営に必要な知識など,実践的な内容について教育する。12月までに実習や視察を含めた受講時間は195時間に上り,百貨店や外食産業など10社・団体が参加している。
(1)作物導入支援
導入作物等の情報収集,先進的な取組事例の調査,消費者ニーズの調査,試験栽培・飼養等,技術習得に係る研修の受講,営農用機械や施設の取得・改修。
(2)加工品開発支援
加工品の情報収集,先進的な取組事例の調査,消費者ニーズの調査,試作品の製造,試験販売,商品化に向けた検討会の実施,加工用機械や施設の取得・改修
(3)販路開拓支援
販路開拓のための検討会の実施,実需者に対する需要調査,販路拡大調査,販売用施設等の取得・改修
(4)簡易な土地基盤整備
企業等が営農する農地で行う,障害物除去,深耕,整地,客土,暗きょ排水,かんがい排水,農道整備,有機物投入等


大分県
  平成19年度から大分県では製造業などの企業誘致の手法を農業にも導入して,経営力や資金力に優れた企業の農業参入を積極的に推進している。
 本県では,初期の参入相談から営農開始後の技術指導,販路の確保まで一貫したサポートを行うため農業参入専任の職員を配置し,ワンストップでの対応を図るとともに,県,市町レベルでそれぞれプロジェクトチームを組織し,関係機関や関係部局が連携し企業の農業参入を支援する体制を整備している。
 企業から相談があればすぐに対応できるよう,あらかじめ全県的に耕作放棄地や遊休農地の状況を調査しておくといった事前準備も行っている。また,農業従事者の確保など人的なサポートに止まらず,地域の遊休施設を農業に再利用する際の改修費やトラクター・運搬器具の整備など,初期投資を抑えるためのきめ細かな助成制度も用意している。これらの取り組みや支援措置によって,平成19年4月から22年9月までの間に81社が農業参入し,経営計画に基づき農業に取り組んでいる。

2012年 南九州各県 米の生産数量目標

     出典:平成24年産米の都道府県別の生産数量目標          http://www.maff.go.jp/j/press/seisan/kokumotu/pdf/111201-01.pdf 

コメ先物,8月 8日に開始 :「汚染米」懸念で注目

 東京穀物商品取引所(東京・日本橋)と関西商品取引所(大阪市)で8月8日,主食用国産米の先物取引がスタートする。東京電力福島第1原発事故による放射能汚染がコメにも波及し,価格に影響するのではないかとの懸念が強まる中,先物市場としての機能が果たせるかが注目される。

○コメ先物取引の復活の背景
 世界最古の先物取引とされる日本のコメの先物市場が1939年に廃止されて以来,72年ぶりの復活である。
  東穀物などが上場を急ぐ背景には経営環境が悪化したことにある。国内の商品先物市場では貴金属や石油・農産物など約200の商品が上場されているが,取引は低迷,1~7円の売買高は前年同期の半分以下と低迷していることにある。
 それだけに主食であり流通量が多い米は,投資家の目を商品市場に向けさせる「大型商品」として期待している。また,日本のコメの品質の高さから,「国内はもとより,海外の投資家を呼び込む絶好の機会」とみる市場関係者もいる。なお,東京電力福島第1原発事故による放射能汚染がコメにも波及していることが,どのように相場に影響するかが,注目されるところである。

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1 問題の前提-自然条件の違い/農業保護の政策

①自然的条件の決定的な違い

 農業は製造業と違って,自然的条件の違いが重要である。100ヘクタールの耕地が5つあり,その1つが5年に1度水田となり,他が休耕したり,牧草がまかれ,放牧され,有機質が土に戻されたりするという恵まれた条件下のオーストラリアの水田耕作と,日本や中国の零細性の農業とは決定的に違う。オーストラリアの水田耕作の拡大を制約しているのは水不足であるが,日本の零細農業とこの種の大規模機械化農業とは,農民の意欲や努力をはるかにこえた自然条件にもとづくコスト差が発生する。アメリカの水田耕作は,このオーストラリアの水田よりも大規模である。

 もちろん,耕作規模の広さだけが競争力ではない。タイの米作がアメリカと競争できるのは労務費の安さである。だが農業所得の向上を政策目標とするならば,所得の向上とともに,やがて競争力は失われてゆくことになる。わが国の葉タバコは戦後も輸出されていた。それが高度成長にともなう農業賃金の上昇によって,その地位を失ったのと同じである。

②経済効果性をこえ,農業の存立をはからなければならない

 もしも,こうした自然条件の違いを無視して,市場競争にゆだねたならば,条件の劣る地域は,産業として成り立たなくなるのが当然である。
 確かに,経済合理性を重視し,現実の国際政治を無視すれば,競争劣位の農業を縮小して,優位の産業に特化するのもひとつの政策である。
 しかし,基本的な食糧を生産していない大国が存在しうるかどうかは--レアアースについての中国の輸出制限の状況やの国際政治の動きを見ると--明白である。現実の国際社会の動きを見据えると,経済効果性をこえ,農業の存立をはからなければならない。

 

③欧米-農業への大幅な資金支援

 アメリカを含め強力な農業基盤を持っている国でも,農業保護の政策が行われている。アメリカの農業補助金は自国の農業者も守り,途上国の農業に多大な影響を与えていると批判されている。綿花の場合,1999~2005年の間に180億ドル(1.62兆円)の補助金が計上されている。補助金に守られたアメリカの綿花が国際市場の価格を下げ,額に汗して働くインド,エジプト,ブラジルといったの途上国の綿花栽培を凌駕しているのである。

 欧州諸国も自国の農業を伸ばすために大きなコストをかけている。EU(欧州連合)の予算の過半は,農家への大幅な補助金である。食糧生産の増加だけでなく,環境保護のためにも,農家への補助金が使われており,ドイツやスイスやフランスの美しい田園風景は,農家への直接の補助金で守られているのである。 

 日本の農業保護の水準はアメリカと同程度,EUの3分の1程度である。それはアメリカやEUのように財政による農家への直接補助ではなく,関税で維持される高い価格によって農業を保護している。このため外国からは関税引下げに最も抵抗する農業保護国との批判を受け,国内では農業のためにWTO・FTA交渉が進まず国益が損なわれていると非難されている。

出典:「TPP参加は誤り 日本の米作・畜産は規模拡大政策では存立し得ない」
伊東光晴著 (毎日新聞2010年12月13日掲載)


巻頭特集 燃料自給 なんでも薪に!



巻頭特集「なんでも燃やすコツのコツ」コーナーより
ロケットストーブ その「ケタ外れな燃焼効率」の秘密

野菜・花「メリハリ加温で暖房代浮き浮き計画」コーナーより
夜温11度のぶっ飛び変温管理でバラの燃料半分以下

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「ヒマワリに除染効果なし」に異議あり!

巻頭特集  ユズVSカキ

巻頭特集『ユズコショウ作りのコツ』コーナーより
香り高き絶品ユズコショウのコツ

私たちは放射能とどう向き合うのか
食べることが責任を取ること

わが家のビックリ菜園
1個800g以上の特大タマネギ
 土肥特集2011 液肥を自分で作る

巻頭特集:
  『高い有機液肥を手作り』コーナーより
堆肥汁を米ヌカに吸わせて極上液肥

薬剤に頼らない 最新・土壌病害克服法
『身近な有機物を使う』コーナーより

くらし・経営・地域
  自慢のおやつ集合【産地レシピ82】
 農家直伝 ヒモ&ロープの結び方

巻頭特集:
  超便利!農業で役立つ3種のヒモと4つのカンタン結び

くらし・経営・地域「あこがれのドライフルーツ作り」コーナーより
 乾燥機と天日干しを組み合わせて乾燥フルーツ販売スタート


くらし・経営・地域
 福島県飯舘村の酪農家・長谷川健一さんの話
 いま,昔の農業をヒントにする

巻頭特集「手作業に学ぶ」コーナーより
 桐島さんが研修生に直伝! 鍬の使い方のコツ

稲作・水田活用
 必死で刈る人の倍速い!? 青木流ラクラク草刈りの極意を見た

くらし・経営・地域「農家の干し野菜最前線」コーナーより
 干し野菜は波トタンで

◆花特集 
  「新しいイベント・物日に対応した花作り」

◆野菜特集
  養液土耕栽培を活用した野菜生産

◆リポート
・特別ルポ:ナシ直売に新品種「彩玉」を加えて安定経営を目指す(埼玉県久喜市SSKナシ研究会 長谷川恭平さん)

・研究紹介:鳥取の地域条件に合った特産野菜の育種・生産技術開発に取り組む(鳥取県農林総合研究所 園芸試験場 野菜研究室)
◆総合特集 
 注目野菜・新野菜作りこなすためのコツ

◆花特集
 秋出荷 トルコギキョウの生産技術

◆特別ルポ
 確かな品質基準とマーケティングが魅せる大輪の花

◆流通・経営
 ・農業にもっとマーケティングの視点を
 ・市場情報-野菜・切り花・鉢物・果実






2 経済における地位低下-衰退止まらない日本農業の現状  

  農業は日本人の主食である米をはじめ野菜や肉の生産と,日本人の生活に欠かせない産業である。また,農業は農業資材産業や農家の家計消費などで波及効果を持ち,経済全体に対しては農業本体の約 4.6倍相当の経済効果を持つ,との試算もある。
 現実には,国内総生産全体に占める農業総生産のシェアは,1960年度の9%から97年度には1.2%へと,経済における農業の地位は低下している。日本農業の抱える弱点としては,経営規模が小さい,繁閑の差が大きく安定した人材採用・育成が難しい。出荷量が安定しないため,価格が大きく変動する……。

  戦後の日本の農業政策の失敗の主因は,農業協同組合(以下,「農協」と表記),官僚,政治家によって形成された農政トライアングルが,兼業農家の戸数の維持を政策形成の目的としてきたことにある。結果として都市労働者と比べても農村の主業農家(農家所得の50%以上が農業所得で,1年間に60日以上自営農業に従事している65歳未満の世帯員がいる農家)と比べても平均的には豊かな兼業農家が,農村に大量に滞留し,政府からの補助金と規制による保護を得ている。
 農業政策の失敗に加えて,高度経済成長に伴う農から工へ,そしてソフト経済の流れが複合して,今日の農業の衰退を加速させた。
 

①65歳未満の男子がいる専業農家は全体の1割。

  日本の農家に占める専業農家 (世帯員のなかに兼業従事者が一人もいない農家) は22・6%である。しかし65歳未満の男子のいる専業農家は日本の全農家の9・5%にすぎない。
 日本の農家に占める第二種 (兼業所得の比重の高い)兼業農家は61・7%である。第二種兼業農家の世帯主の大半は,サラリーマンであり,農業からの収入を期待するよりは将来の転用益を期待するなどの理由で土地を持ち続けるために農業をしているサラリーマンたちである。
 小農・零細農家は本職はサラリーマンの兼業農家なので生産規模を拡大できない主業農家より収入は多い。兼業農家の平均年間所得は792万円であるが主菜農家の平均所得は664万円でありサラリーマン世帯の平均所得は646万円でしかない(いずれも2002年の数値。農林水産省は近年兼業農家の所得を公表していない)。

 零細農家イコール弱者」かというと,そうとも,言い切れない。現実には零細農家は恵まれた面もある。農地の固定資産税が軽減されているうえに,相続税もほとんどかからない。そのうえ,農地を売却すれば大金を手にできる。 「農業に行き詰まり,生活苦のために農家が一家心中した」などという話は聞かない。
 また,日本の零細農家の大半が兼業農家である。兼業農家の全所得に占める農業所得は,15%程度にすぎない。兼業農家の家計収入の大半は,世帯主らの給与所得による。兼業農家は,農業所得に依存していない。

農業の経済規模(右欄に示した様々な産業の規模に匹敵)
農業(9兆9千億円) 石炭・石油製品(9兆4千億円)
耕種農業(6兆9千億円) コンビニエンスストア(6兆7千億円)
米(2兆3千億円) ガス(2兆3千億円)
野菜(2兆1千億円) 衣料その他の繊維(2兆2千億円)
果実(7.9千億円) エアコン(7.4千億円)
畜産業(2兆5千億円) パソコン(2兆7千億円)
酪農(8.2千億円) 雑誌,定期刊行物(8.0千億円)
養鶏(6.5千億円) ビデオカメラ(6.9千億円)
肉豚(5.0千億円) テレビ(5.6千億円)
肉牛(4.6千億円) 乗用車用タイヤ(4.3千億円)
出典:「H17年農林白書」p105
・農業分野については農水省「農業・食料関連の経済計算(13年度)
・コンビニエンスストア-経済産業省「商業統計」14年速報値,ガスについては,矢野経済研究所「日本マーケットシェア事典2003」,その他は経済産業省「工業統計」13年出荷額。

         都道府県別の農業産出額(地図グラフ)
         平成18年農業産出額(都道府県,市町村別)
         2008(平成20)年 農業総産出額



農業人口,5年で22%減=減少率最大,高齢化が要因―

 農林水産省発表の「2010年農林業センサス調査の速報」によると,2月1日現在の,就業人口は260万人で,前回調査(05年)に比べ22.4%減少した。減少率は比較可能な1985年以降で最大を記録した。

 就業者の平均年齢は63.2歳から65.8歳に上昇した。同省は就業人口減少について「高齢により,農業をやめた人が増えたのが大きな要因」(統計部)とみている。
 就業者を男女別にみると,男性が16.6%減なのに対し,女性が27.5%減と落ち込みが際立った。これについては「補助的な仕事をしていた女性がパートなどに出て行った可能性がある」(同)としている。





 農業人口の減少,高齢化の進む中,全国第3位の農業県鹿児島県の新規就農者が10年連続で300人超えという数字は,一筋の光明と言えよう。

◆2010年度の鹿児島県新規就農者320人 10年連続で300人超え
 鹿児島県経営技術課によると,2010年度の新規就農者数は320人となり,01年から10年連続で300人を超えた。農家出身者でない新規参入者も64人で,6年ぶりに60人台に達した。

(新規参入者数の推移)
  1998年 238人
  1999  260
  2000  278
  2001  303
  2002  319
  2003  323
  2004  343
  2005  343
  2006  335
  2007  312
  2008  314
  2009  337
  2010  320


◆九州の新規就農の状況
 2007年8月の九州農政局発表の「九州の新規就農の状況について」によると,九州における2006年度の新規就農者数は,1,308人であった。県別では,鹿児島県が335人と最も多く,次いで宮崎県が243人,熊本県が220人と200人を超えており,この3県で約6割を占めている。



②狭い耕地面積

 日本の農業政策は戦後一貫して「大きいことはいいことだ」と,大規模化を目指してきた。 だが,日本の農家1戸当たりの農地面積は2007年でもEUの9分の1,アメリカの99分の1,オーストラリアの1862分の1にすぎない。
 このような日本の耕作面積の極端な狭さの背景には,兼業農家の多さがある。この狭さが(兼業農家の多い) 米の生産性を引き下げ,日本のコメの単収(単位面積あたりの収穫量)を低くしている。(カリフォルニアと比べて3割程低い)
 同様に1戸当たり農地面積の比較から,アメリカ,オーストラリアが土地集約的な農産物である穀物の生産で,圧倒的な比較優位を持つことを読み取れる。

    国 農家1戸あたり農地面積(ha) 日本との比較
日本(2007年)              1.8      -
米国(2007年)             181.7     99倍
EU(2006年)              16.9      9倍
豪州(2006年)            34.7.9  1,862倍

    出典:平成20年度「食料・農村白書」 



農地改革---耕作面積の極端な狭さと,兼業農家の多さの起因
 第2次世界大戦後,日本の民主化には農地改革が不可欠として,小作農中心だった農業を自作農に切り替えることを目的に連合国軍総司令部 G H Q ( General Head Quarters ) の指令に基づき, 昭和22年 ( 1947年 )から昭和25年 ( 1950年 )まで ,3年間かけて, 農地改革 が行われた。

 農地改革によって地主の貸付地は1町歩までに制限され,それ以外の土地を政府が買い上げて小作農家に売り,小作農家から自作農家への転換をはかった。なお1町歩とは3000坪であり,およそ9,900平方メートルのこと。この結果176万戸の地主から475万戸の農家に耕作地が売られ,小作地は全体の10%にまで縮小した。

 この農地改革が,農家一戸あたりの耕作面積の極端な狭さと,兼業農家の多さの起因となった。




3 農業が社会に果たす役割

 農業が果たす役割は,食の供給ばかりではなく,田畑の景観がもたらす癒し効果,水源の涵養など環境保全も担っている。温暖湿潤で急峻な地形の日本では,土壌流出や洪水といった災害の危険があることから,どこにでも田畑をというわけにはいかない。そこで,災害防止のため斜面に小規模ながら貯水機能を持つダムを築く必要がある。こうしたダム機能を備える農地が水田である。このように,水田は日本では農地であるとともに,国土保全の手段でもあり,その価値は年間約8兆円とも試算されている。

 日本の祭りの多くは農耕儀礼でもある。これを失うことは,遠く律令の昔から積み上げてきた日本文化の脆弱化を招く。日本の原風景が軽んじられ,やがては消失の危機にもつながってゆく。日本固有の文化を失くすということは,日本の良き伝統の消滅を意味するものである。

 農業工学研究所は04年7月,農林業の多面的機能に関し,洪水防止などの経済的な効果を約37兆円,水田の窒素浄化機能が700億円と試算・評価している。
 生態系や水質の保全,景観形成といった環境との調和を目指して,農業生産や農村整備の動きが全国各地で見られる。05年策定の経営所得安定対策等大綱では,農道や水路などの保全活動への支援策が盛り込まれている。
 新たな「農地・水・環境保全向上対策」では,農地農業用水といった農業・農村資源を社会共通資本と位置づけ,保全活動の推進を促している。その内容は,農道の整備や草刈り,用水路の清掃,生き物調査と広範・多彩に及ぶ。2006年度に全国約600の地域でモデル的な支援を行い,07年度から全国展開を目指す。
 こうした国の施策に同調した動きも各地で見られる。宮城県の田尻町の北小塩地区は,圃場(ほじょう)整備事業をきっかけに,住民活動が芽生えたという。同地区では,全面的にコンクリート水路を新設するのではなく,生き物専用に土の水路を残し,魚が水田と行き来できる魚道も設けた。
 「豊かな生態系が残る環境は地域の宝。次代の子供達に引き継がなければ」という60戸の思いが結集した活動だという。 


 


4 減反政策 見直しの動き

  日本の耕地面積や農業就業人口は,減少の一途をたどっている。1950(昭和30)年代に比べ,現在の耕地面積は約8割に減少,農業就業者数は,約4分の1である。日本は農業国であったが,その農業を守ろうと政府が保護や規制をしてきた結果,生産能力が落ちたとも言える。

 (2005年農林業センサス(農林水産省)によると,全国の耕作放棄地は22万ヘクタール(総農家)で,耕地面積に占める割合(耕作放棄地率)は5.8%となっている。これに土地持ち非農家分を加えると38.6万ヘクタールになる。地域別に見ると,中山間地域の多い中国・四国地域や都市化の進んでいる関東地域が高く,経営規模の大きい北海道,東北,北陸地域が低くなっている。

 減反政策は,国が約40年前からコメの価格が下がらないように,生産量を強制的に管理したのが始まりである。現在では強制的な減反政策ではないが,コメの価格維持を目的に生産調整が行われている。

 減反のコメ価格維持の効果について,東京大学の生源寺真一教授は「コメは多様な銘柄と産地によって価格が異なる。コメの生産量の総量(を制限する)目標を達成しても価格を維持できる保証はない」と指摘する。九州大学の伊東正一教授も「減反で(コメの生産量が減るため)農家が生産性を高めることが難しい」と,問題点を指摘している。
 
                             「参考:河北新報 09/01/07」


5 農業人口の推移

 日本の農村においては,農業就業人口は,高度経済成長に伴う農業外部からの労働力需要が強かったこと,農工間の所得格差が大きかったことから急速に減少した。
 「農業構造動態調査」によると,総人口に対する農家人口の割合は,著しく低下している。
1980年 総人口に対する農家人口 18.4%
1985年 総人口に対する農家人口 16.5%
2000年 総人口に対する農家人口  8.3%
2009年 総人口に対する農家人口  5.5%
   
農 家 数 と 農 家 人 口

 年 次 農家人口 農業就業
人口
60歳以上 総人口に対する
農家人口の割合(%)
昭和 55 21,366 6,973 1,356 18.4
60 19,839 6,363 1,515 16.5
平成 2 17,296 4,819 1,307 14.0
7 12,037 4,140 1,320 9.6
12 10,467 3,891 1,378 8.3
17 8,370 3,353 1,216 6.6
18 7,931 3,205 1,143 6.2
19 7,640 3,119 1,127 6.0
20 7,295 2,986 1,103 5.7
21 6,979 2,895 1,095 5.5

                         単位:1,000人
(「農業構造動態調査」(1月1日現在。ただし,平成18年以降は2月1日現在)による。平成17年以前は「農林業センサス」(2月1日現在。ただし,沖縄県は12月1日現在)による。)
 「農家」とは,調査期日現在で経営耕地面積が10a以上(昭和60年までは東日本10a以上,西日本5a以上)の農業を営む世帯又は経営耕地面積がこれに満たないものであっても1年間の農産物の販売額が15万円以上あった世帯(例外規定農家)をいう。


 出典:統計局 15 農業就業人口
   http://www.stat.go.jp/data/nihon/g1507.htm

 日本農業が抱える問題の一つに,農業就業者の高齢化と後継者不足があげられる。地方農村部は,2~3人に1人が75歳以上という超高齢化社会になるとの悲観論も出ている。
 実際,データがその深刻さを物語っている。2000年世界農林業センサスによると,日本の2004年の農家戸数,農家人口,農業就業人口は95年に比べ大きく減少した。その一方,70歳以上の高齢者は農家人口だけでなく,農業就労人口は増加しており,高齢農業者が日本農業を支えている状況が示されている。
 農業労働力の高齢化日本農業を支えてきた昭和一けた世代は,2000年以降すべて65歳以上の高齢者層となった。 こうした農業就業者が高齢化した背景としては,次の点があげられる。

 ・農家後継者の他産業,他都市への流出(子は,親の後を継がない)
 ・農業機械の普及による高齢農作業の可能化
 ・少子化の進行
 ・農村の過疎化
 農家人口の減少が続く一方で,高齢者比率が更に高まるとみられる。また農業従事者も昭和一けた世代がリタイアした後も,高齢者中心のままで一定程度推移すると予想される。

1) 基幹的農業従事者
 自営農業に主として従事した世帯員(農業就業人口)のうち,普段の主な状態が「主に仕事(農業)」である者
2) 農業就業人口
 自営農業のみに従事した者または自営農業以外の仕事に従事していても年間労働日数でみて自営農業が多い者
3)農業従事者
 15歳以上の世帯員で年間1日以上自営農業に従事した農業専従者農業従事者のうち,自営農業に従事した日数が150日以上の者

       参考HP:わが国農家人口と農業労働力の将来推計
        農業総合研究所が日本の農家人口をコーホト分析で予測。

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6 日本の食料自給率(food self-sufficiency rate)

日本の食料自給率は,1965(昭和32年)年度には70%を超えていたが,年々低下。98年度から07年度まで10年連続で40%台を推移している。2007(平成19)年度の食料自給率(カロリーベース)は40%。前年に比べ1ポイントアップしたとはいえ,米国128%,カナダ145%,フランス122%,英国70%といった欧米諸国と比べ著しく低い状態にある。
 日本の食料自給率が低くなったのは,度重なる減反政策とともに,米食中心からパン,麺類を取り入れた食生活の変化が関係していると考えられる。

7 農作物の輸出

 福島第1原子力発電所の事故で,海外各国が日本産の農水産物に輸入規制を相次ぎ導入している。その対策として,農林水産省,宮城県などの自治体は農水産物について放射性物質の検査の強化を図る。検査の強化で風評被害を抑え,農水産物の輸出をできるだけ早く拡大したいとしている。

           出典:日本経済新聞 2011/06/04

 福島県の近隣地域にとどまらず,クエート,コンゴ,モロッコでは日本産すべてを輸入停止にしている。こうした状況から,風評被害を防ぎ輸出を増やすには,検査の強化が急務である。

コメ輸出量,5月は前月比43%増 震災後の減少から回復

 東日本大震災後に急減したコメの輸出が回復している。貿易統計によると2011年5月の輸出量は162トンで,4月に比べて49トン(43%)増えた。原発事故に伴う風評被害がやや緩和しているほか,各種証明書発行など日本側の輸出体制が整ってきたことが背景にある。

 4月の輸出量は113トンで3月比で半減した。だが,5月は前月にゼロだったドイツやフランスなど欧州向けの輸出が再開し,20トンを超えた。豪州は3トンから29トンに増加。震災後も落ち込み幅が小さかった香港は約2割増えた。

 産地や輸出業者の意欲が衰えていないこともある。JA秋田おばこ(大仙市)は6月22日に輸出用米の生産を促す協議会を設立した。各産地のコメ輸出を手掛ける卸最大手の神明は,2010年産米で1100トンの輸出を11年産も上積みする。

 10年度の輸出が300トンを超えた全国農業協同組合連合会は,11年度の輸出目標を500トンに設定している。全農は大消費地の中国市場の開拓に力を入れている。同市場への輸出は現在ほぼ止まっているが,「中秋節などで需要が増える年後半に向け準備を進める」としている。農林水産省によると,10年のコメ輸出量は09年比45%増の1898トン(援助用米など除く)。


8 農産物の輸入  野菜輸入100万トン時代の到来

 財務省の貿易統計によると,2005年の生鮮野菜の輸入量は,100万トンを超える。天候不順による国産の品薄もあったが,業務・加工需要が恒常的の増加していることがその主因である。
 生鮮野菜の輸入が最も多かったのは2001年である。この年は4月からネギ,生シイタケなどを対象に一般セーフガード(緊急輸入制限措置)が初めて発動された。それにもかかわらず国内生産量の8%になる96万8000トンが輸入されている。特に,安い中国産が全体の約5割を占める。
 輸入,一般家庭での輸入野菜の消費は増えているが,圧倒的に多いのは業務・加工需要である。農林水産政策研究所の調べによると,主要野菜の全体消費量のうち輸入の占める割合は家庭が2%,業務・加工が26%とある。
6 強い農業の確立と農産物を戦略物資とする施策の展開を今,中国製ギョウザ事件もあって,食品流通・日本農業に対する関心も高まっているこの機会に,眼先に追われることなく中期的視点に立ち,日本の農業と食糧自給率の在り方を考え,確認すべき時である。

  

8 企業の農業分野参入の動き

 地産地消とは「地域生産地域消費」の略語で,地域で生産された農産物や水産物を,その地域の中で消費することを意味している。全国各地の農産物直売所や道の駅などには地域で生産された農水産物が数多く並び,人気を博すようになっている。地産地消を推進するメリットとしては,①旬の食べ物を新鮮な状態で食べることができる,②農家の収入収益の向上につながる,③地域農業と地域経済の活性化につながる,④地場野菜や各地の食文化の保全につながる,⑤輸送による二酸化炭素(CO2)やエネルギーの削減効果がある,などが挙げられる。

   ところが,地域内の消費だけに終始してしまうと,人口減少や高齢化などによる需要(消費)先細りの影響で,地域農業や経済にとってはマイナスとなりうる。それゆえに地産地消と並行して大消費地や海外への販路拡大に取り組む必要性も高まってきている。

  企業の農業参入も,危機を食い止める受け皿の1つとして注目されている。大企業がやれば農業はもっと効率化するはずだという,漠然とした期待も根強い。帝国データバンクが10年6月に発表した調査によると,すでに農業や農業関連ビジネスに参入した企業が6.8%で,参入予定も2.8%あった。だが今のところ,期待に応える成功例は聞こえてこない。

  そんな状況の下,小売業界の両雄,イトーヨーカ堂とイオンの農業への取り組みは,両者の企業風土や文化,経営戦略の違いを反映しており,興味深いものがある。

 両者のアプローチの最大の違いは参入方法にある。イトーヨーカ堂は2008年8月,地元の富里市農業協同組合(千葉県富里市)との共同出資でセブン&アイグループとして初の農業生産法人となる「株式会社セブンファーム富里」を千葉県富里市内に設立し,直営農業「セブンファーム富里」で,環境に配慮した「完全循環型農業」を開始した。
 ヨーカ堂は直接生産には関わらず,栽培は農家に任せている。農業生産法人では,企業が経営の主導権を握るのは難しいが,この方式のメリットは,地元農協の協力を得て耕作できるのが利点。既存農家の技術や情報をいかせるので,品質の安定した農作物を生産できる。
 対してイオンは,2009年7月,100%子会社のイオンアプリ創造を設立して農業に参入した。農作物を自社で作り,自らの店で売ると言う食のSPA(製造型小売業)化への取り組みである。自らが農業を営むことで生産・流通が直結し,安心・安全で新鮮な農産物を「より安く」販売できるという目論みである。
 イオンは09年7月の牛久農場(茨城県)に始まり,10年10月には宇都宮(栃木県),柏(千葉県)に,11月には羽生(埼玉県)と松伏(埼玉県)に,11年9月には大分県にも農場を開く計画である。
 だが,農家に栽培を任せることから,条件の良い農地ですぐに栽培を開始できるヨーカ堂と異なり,「休耕地を自ら耕さなければならない。イオンの場合は,土壌作りを始める必要があることから,困難は尽きない」。
 大きなリスクを負ってのイオンの取り組みであるが,コスト構造の把握,東大の植物病院と連携して植物病理の解明など,農業の近代化により,農業の儲かる仕組みの構築を目指している。
 これまで農家の勘や経験に頼っていた部分を科学的に解明することで,農業革新を図るものである。また,イオンは「生鮮・デリカのバリューチェーン改革」にも着手。これは農業の6次産業化,すなわち農家が農産物を生産するだけでなく,それを加工販売するまでの一連の事業展開により,農家がより多くの利益を得ると言う目論みでもある。
 6月からはイオンアグリの直営農場と契約農家で栽培したキャベツ,白菜を使って餃子を作り,それをPB「トップバリュ焼き餃子」として,デリカコーナーで販売している。
 このようにイオンが「儲かる農業」を目指しているのに対し,ヨーカ堂は「農業単体での収益,規模は追わない」との姿勢を明確にしている。農業参入の主目的は,改正食品リサイクル法で示されたリサイクル率45%の達成にある。店舗から出る食品残渣を堆肥化し,直営農場で再利用する循環型農業の推進である。

 イオンが「休耕地を自社で耕す」という,自社丸抱え方式のハイリスク・ハイリターン型。対してヨーカ堂は,自社の主体制を維持しながら,農家のノウハウを生かし,最小限のコストで最大の効果を生み出そうとする。まさに,農業参入にも両社の企業風土・体質の違いが持ちこまれた格好である。

企業の農業分野参入の動きも活発化している。詳しくは,「農業の農業分野参入」を参照ください。

特集 食品をめぐる人・産業の結びつき 特集 どうする?JAの制度改革 特集 注目野菜・新野菜作りこなすための
コツ
特集 スワルスキーカブリダニ利用の防除技術注目


 

9 金融機関は農業向け融資を本格化

①銀行の農業向け事業参入に対する障壁

 銀行・信用金庫・信用組合の市中金融機関は,一般農家への貸出に関して農協に比べて不利な状況にある。農協は農村のいたるところに深く根を張っている。しかも銀行などと異なり金融事業と経済事業等の兼業が認められているという強みを持つ。
 勤めの片手間に農業をしている兼業農家にとっては,経済事業等と金融事業の両面で農協に依存しがちである。
 必要な資金は農協が貸してくれるし資材の購入や農産物の販売もすべて信用事業の口で決済できる。したがってサラリーマンでもある兼業農家は農協に頼り農協任せとなりがちである。このため農協は地元の農民の資産状況家族構成家族の職業等について詳しい情報を持ち,農家への貸付に関して圧倒的な優位を保っている。

②大手行の本格参入

 2005年に三井住友銀行が農業生産法人向けに無担保融資を開始,メガバンクなど銀行の農業分野向けの融資が本格化した。農地のリース方式による株式会社の農業参入が全国で解禁されるなど農政改革が進展,ビジネスチャンスが広がるとみているためだ。
 20兆円に上る農業向け投融資の多くは,農林中央金庫(農林中金)など農協系が占めてきたが,大手行の本格参入で農業を巡る競争は激化している。  

 メガバンクの動きを見据えて,地方銀行も農業支援ビジネスを拡大している。地銀の法人向け貸し出しが伸び悩む中,新たな収益源につなげようと金利を優遇した農家向けローンや農産物を担保にした融資などに力を入れている。“地元産業”である農業支援を通じて,地域経済の活性化につなげる狙いもある。
 鹿児島県を地盤とする鹿児島銀行の場合は,2009年3月末基準で,国内の総貸出金残高20,755億円のうち,農業・林業・ 漁業の貸出額は397.1億円で, 農業貸出比率は1.91%を占めており, 農業向け貸出残高では鹿児島銀行が全国1位である。
 また,熊本県の地銀・肥後銀行は,鹿児島銀行とともに馬肉生産事業者を対象に生きた馬を担保にした協調融資を実施した。融資は総額60億円で,運転資金などに充てられる。

 なお,多くの地銀が取り扱っているのが,原則として担保を取らない農家向けローンである。山形銀行は,県内の農家向けに運転資金や設備資金を500万円まで貸し出す農家向けローン「いぶき」の取り扱いを開始した。融資期間は最長5年。市町村が認める認定農業者であれば,金利を最大0.4%優遇する。
 常陽銀行も,融資額が最大で500万円の農家向けローン「大地」を取り扱っており,今年10月末で残高は約8億円に達した。認定農業者に加え,農業関連事業者の交流を目的に独自に作った会員組織に入会すれば,金利を最大で1%優遇する。
 北洋銀行は,商工中金とともに北海道恵庭市の農園を対象に,小松菜などの野菜を担保にした協調融資を実施。
 
 国内で初めてとなる農業ファンド「えひめガイヤファンド」を立ち上げたのは愛媛銀行だ。
 「四国の中核産業である農林水産業の支援と育成を目的にした」(愛媛銀行)ファンドで,規模は5億円。投資第1号として今年2月,愛媛県内のアナゴ養殖業者と果樹栽培業者に合計4100万円を投資。今年8月には3件目の案件として,農産物販売会社に3000万円を投資している。


J Aバンクグループ

 JAバンクグループは, 農業等の従事者を会員とする協同組合組織で, 強固な組織力により農業金融, 地域金融の一翼を担う金融グループといえる。 全国規模の金融機関である農林中央金庫 (農林中金), 都道府県レベルの信用農業協同組合連合会 (信連), 市町村レベルで展開する農協 (JA) の三段階からなる連合体「JAバンク」で構成されている。  JAバンクグループは,①経営・生産技術等について指導事業, ②生産資材の仕入や農産物の販売を行う購買・販売事業(経済事業), ③災害により生じた損害や遺族の生活保障等を行う共済事業, ④預金や農業経営資金等の融資を行う信用事業 (JAバンク), などの各種サービスを総合的に提供し, 食料の安定供給や農業の持続的発展, 農村の振興に大きな役割を果たし, このような事業は, 特に兼業農家や小規模農家にとって魅力的な存在である。
  JAバンクの総貯金高は83.3兆円 (2009年3月来現在) とメガバンクに匹敵しており, 店舗数は全国に約9,700店舗, 営業エリアも郵使局と遜色ない地域までカバーしている。
従来の農業関連貸出には,実際,図1のように,農業関係資金(貸出金)2兆5,261億円(2008年3月末) のうち, JAバンクグループが全体の74%を占めている。 これとは別に, 政府系金融機関による農業関係資金(貸出金)が1兆5,022億円存在している。 しかし, 2005年の農地法改正や規制緩和で, 株式会社など異業種の農業参入や農業経営の近代化に道が開かれ, 銀行や信金一信組にも金融機会を求め,この分野に参入する余地が生まれてきているといえよう。

日本政策金融公庫

 2007年5月, 5つの政府系金融機関を統合して一体化する 「日本政策金融公庫法」 が公布され, 国民生活金融公庫,農林漁業金融公庫,中小企業金融公庫及び国際協力銀行(国際金融等業務)は統合し,2008年10月に株式会社日本政策金融公庫 (日本公庫) が誕生した。 日本政策金融公庫は, 株式会社のガバナンスの仕組みを活用して透明性の高い効率的な事業運営を行いつつ, 政府が株式の100%を常時保有することが法律で定められていることから, 公共性の高い政策金融を担うという組織の性格は従来と変わっていない。今後も民間金融機関では対応できない 統合前に各機関が担ってきた業務の専門性を維持・強化を図る。
 「日本政策金融公庫が 地域銀行など民間金融機関と農林漁業向け融資などで業務提携する動きも広がっている。 業務協力協定の主な内容は, 地域内の農林水産業等の情報交換, 協調融資等の推進, 農林水産業者及び関連産業者への訪問活動,販路支援等が挙げられる。農家は売上規模に比べて設備投資額が大きく,設備の平均償却期間も長いため, 長期の設備資金を日本政策金公庫などが融資し, 短期運転資金を民間金融機関などが貸し出せば, うまく役割分担ができる」。 民間金融機関は, 日本政策金融公庫と業務協力をすることで, 日本政策金融 公庫の様々な制度やノウハウ, 信用力などを活用することができ, より大きなビジネスチャンスが生まれる可能性を持つ。

千葉県内の銀行 農業参入支援を本格化

 千葉銀行など千葉県内の地銀3行がそろって異業種からの農業参入支援を相次いで積極化している。農業産出額で全国第3位を占める県の優位性を生かした地域経済活性化の取り組みで,各行とも専門部署や専任者を置き,企業による農業法人型化を促す。国も「六次産業化法」の制定などで支援に本腰を入れていることから,3行が競って農商工の橋渡し役を担う。

 株式会社が農業法人を設立する場合,イメージ先行で目的が明確化していない場合もある。そこで各行は専門知識を持った担当者が企業と密接な関係を作りつつ〝オーダーメード″で支援するようにしている。

 千葉銀行は法人営業部成長ビジネスサポート室に農業分野専門の担当者を配置。全国の地銀でもトップクラスの店舗網を生かし,「商流と市場を確保した上で参入を支援している」。京葉銀行は09年にアグリビジネス支援室を設置。現在,複数の案件が進行している。千葉興業銀行も農業の専門担当者として県庁OBを招き,同行の各部署と協同して農業への参入を支援する体制を整えている。

 千葉県内3行が農業法人の設立支援を強化している背景には,農業従事者の高齢化に伴う有休農地や耕作放棄地が増加という問題がある。千葉県は東京という大消費地に近接し,販売先に困らない農家が多いが,従来通りの経営で今後も勝ち残れる保証はない。さらに,09年の農地法改正で農地の貸借規制が穣和され一般法人などの農業参入が容易になったことで,資金力を持つ企業の参入で農業活性化,県経済全体の活性化を狙う機運が高まったことによる。

 ただ,「農業への新規参入後,数年は黒字化できない」とし,各行とも長期的な視点に立ち,地道な取り組みを続けるとしている。

10 農業の「6次産業化」

 農業を単に作物生産に限定するのではなく,環境,観光,福祉・健康など広く複合的な視点からとらえるのが,6次産業化(農商工連携,アグリビジネス化等言い方はさまざまであるが)である。
 「農業の6次産業化」は,農産物の生産(1次産業)だけでなく,加工(2次産業)や販売(3次産業)までを手がけて付加価値を高めようとするもので,1×2×3=6次産業と称している。
 従来,農家は農業生産,食料原料生産のみを行っていた。農産物加工や食品加工は食料製造の企業が行い,3次産業分野である農産物の流通や販売,さらには農業にかかわる情報サービス、観光なども,その大半は卸・小売業や情報サービス産業、観光業に
取り込まれている。これらを農業・農村で農家自身が行う,という考え方である。

農林水産省のみならず,経済産業省も農商工連携というかけ声の下で展開しており,民主党もマニフェスト(政権公約)でうたっている。

農業の6次産業化
生産の1次産業,加工の2次産業,流通の3次産業を融合させ,農業を「6次産業化」して付加価値の向上を目指す。
 
参考資料
農業の 6 次産業化の理論と実践


    出典:「6次産業化」 農林水産省 http://www.maff.go.jp/j/soushoku/sanki/pdf/pamf.pdf


 東北は経済に占める農漁業の割合が高い地域であるが,少子高齢化に伴い慢性的な担い手不足に陥り,農漁業はジリ貧である。
 農地や漁港の復旧ももちろん重要であるが,農漁業を第1次産業にとどめるのでなく,食品加工(第2次産業),流通・販売(第3次産業)にも主体的に取り組む“6次産業化”の推進は,地域社会を作り直す方策としてあげられる。



















11 日本の農業は弱くない

 『日本は世界5位の農業大国 大嘘だらけの食料自給率 (講談社プラスアルファ新書』の著者で月刊『農業経営者』副編集長の浅川芳裕氏 は,日本の農業生産額は,中国やアメリカ,インド,ブラジルに次いで,日本は世界で5位の農業生産額であるとし,「日本は世界でも屈指の農業大国」と断言する。その論拠を要約すると,

◇南北に長く高低差に富んだ気候条件
 ヨーロッパ諸国,たとえばドイツやイギリスなどは北海道よりも高緯度に位置していて,栽培できる作物に制限があり,自国で生産できない作物は輸入に頼っている。だが,日本は気候条件が豊かで,バラエティに富んだ農産物を1年を通じて作ることができる。

◇日本が有数の先進国であること
 日本は国情が安定した法治国家であり,水路や灌漑などの農地基盤から消費地までの物流などインフラ整備も十分に整っている。これが,効率のいい農業生産・農産物流通にもつながっている。鮮度を保てるクール宅配便などの物流体制も重要なインフラである。

◇農業技術が進んでいる
日本には最新の機械工学からバイオテクノロジー,環境制御技術までまんべんなく揃っている。品種改良技術は世界でもトップクラスで,たとえばイチゴの品種は世界に300品種のうち日本だけで180種類以上保有しており,世界一。豊富な農業商品に支えられ,全国津々浦々まで,種屋さん,肥料屋さん,農器具屋さんなどのサプライチェーンが構築されているのは,世界に類を見ない。

◇国民の所得が高い
 日本の農業GDPは,ほとんどが内需に支えられている。世界の水準に比べて国民の所得が高く,食文化が豊かで,付加価値の高い農産物への需要が高いのである。日本の生産量が世界的に多い作物をみると,上位にくるのはイチゴ,メロン,モモなど単価の高い嗜好品がウエイトを占めています。食文化が豊かなことも重要です。コメに対するこだわりはその象徴的な事例である。

◇農家の意識が高い
 日本の農家は,同じ面積の畑や田んぼから,少しでも多く質の良い作物を収穫するための絶えず工夫,改善にとりくんでいる。モチベーションの高く意欲的な農家が,日本の農家を強くしているのである。

 農林水産省は日本の食料自給率が低いと危機意識を煽り,政治家やマスコミの多くが日本農業は崩壊寸前であるかのよう論じている。「日本の食料自給率が低い」ということさえも,農水省の利権を守るために利用されているインチキ指標なのである。

 国内農業はTPPに参加するかどうかにかかわらず担い手不足や農家の高齢化,所得の大幅な減少など深刻な構造問題を抱えている。だが農業界からはTPPを好機に抜本的な体質強化を進めようという声は聞こえてこない。



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