自走ができる?
トップにも書いたが、車椅子を押した事がない人は、意外と多いかもしれない。
しかし押す機会があるならば、乗る人の確認を得て、とにかく車椅子を押してみよう。
まずやってみる、体験してみるのは、とても役に立つ事だと思うからである。
まず車椅子を押す場合、
それを最初に確認しておく事が大事である。
乗っている人が自走もできるかどうか?
車椅子操作ができるかどうか?
自走できない場合、ちょっとした段差や、障害物があった場合のブレーキ、
方向転換等の動作も、すべて押す人にかかってくるからである。
しかしそれも、これからあげる操作の仕方を参考にしていけば、それ程難しいものではないと思う。
ブレーキの確認
さて、車椅子はいろんなタイプのものがあるが、私の使っているものは割合と一般的なので、
それを例にあげながら、ここに記していきたいと思う。
一番最初に車椅子のブレーキの存在を良く知っておく。
車椅子の場合は、回る車輪で地面に接しているため、
停止する時には、危険防止のため、こまめにブレーキをかける必要がある。
ハンドグリップに、自転車に付いているようなブレーキレバー付きのタイプもあるが、
そのブレーキは一時ストップ的なものなので、車輪そのものをロックした方が安全だ。
乗っている本人が操作・自走できる場合は、ブレーキのロック・解除をしてもらうようにし、
大抵の場合は、車輪を固定してしまうブレーキが、
大きな車輪のわきについているので、それを良く確認しておくとよい。
車椅子操作ができない人の場合は、押す人がその役割をすると良い。
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ブレーキ解除![]()
ブレーキロック
スタート、スピード
ブレーキの確認ができれば、あとは車椅子のハンドグリップをもってゆっくりと押し出す。
この時に、
車でも電車でも飛行機?でも、いきなり突然スタートするとビックリするでしょ?
「行くよ」とか「進むよ」とか声をかけてスタートしてくれると乗っている人は有り難い。
押す時のスピードは、普通に歩く感覚、そのスピードが乗る人も楽であると思う。
また、わずかな振動でも、障害によっては苦手な人もいるので、
(乗ってみると感じるが車椅子は意外と振動するものである)
地面をよく見て、なるべく振動がないように車椅子を押す注意が必要だ。
そして、乗っている人と押している人が、話ができるぐらいのスピードがよいと思う。
わずかといえば、平坦に見える道でも、わずかに左右に傾斜している事がある。
知らず知らずに、右端、左端に車椅子が向かってしまう事があるので、
進む方向にも気を配っていった方が良い。
そして、やはり短時間でもハンドグリップを離して車椅子を止めるときは、
ブレーキをかけるようにする。
坂道
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上り坂は、やはりきついものだ。
一気に上がってしまった方がいい場合もある。
自走できる人が乗っている場合は、強力しあい上っていく事も必要であるが、
自走できない人が乗っている場合は、押す人が他の人にも協力してもらい、
複数で一緒に押していく事も大事である。
もしそういう協力の状況がない場合、きつい上り坂は避け、他の道を選ぶのも賢明である。
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下り坂、実はこの方が危険が伴う。
どうしても思わぬスピードが出てしまうからだ。
そして下り坂の時は、乗っている人も、姿勢が前方に、前屈みになりやすく、
小石や道のくぼみ等で起きるちょっとした振動で、
乗っている人が、一気に前に投げ出されてしまう事もよくある。
この対策としてはやはりブレーキで、車輪を固定するブレーキも、
何段階かに設定できるものがある。
完全固定でない段階のブレーキをかけ、
またハンドブレーキのあるものはそれを活用しながら、
ゆっくりと下りる工夫が必要だ。
なおくれぐれも、きつい傾斜のある通路や坂道のところでは、決して車椅子を止めないように。
車椅子が勝手に坂を転がってしまう危険があるからだ。
段差
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段差の上りの時は前輪、つまりキャスターを上げる。いわゆるウィリーの状態にする。
(後輪にキャスターが付いている場合もあるが、前輪の場合を例にする)
キャスターを上げるとき、本人が車椅子のシートに深く腰掛けているかを確認する。
車椅子で移動中に座る姿勢が前のほうへずれていることがあるからだ。
重心が前の方にある場合、これがなかなかキャスターが持ち上がらない。
しかしこの時、高齢者や車椅子に慣れていない人、
乗っている人が深めに腰掛け、後ろに重心があるようにするとキャスターは持ち上がりやすい。
上肢にも障害がある人には、この重心移動には細心の注意が必要だ。
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段差を越えるときは、
(最近、ステッピングバーがない車椅子が増えてきている。
車椅子の足元にあるステッピングバーをふみこんで、ハンドグリップを両手で下げる。
キャスターが上がった状態になったら、前の車輪を段に乗せ、
後輪を段差に押しつけ、後輪を無理に上げずに押し上げる。
ない場合には手首のスナップをきかせてキャスターをもち上げるが、コツが必要である)。
段差を下りる時は、車椅子を後ろ向きにした方が安全だ。
後ろ向きで段差を下りるときは、
後輪を段にそって下ろし、キャスターを上げ、車椅子を後ろにひき、
後輪を段にそって下ろし、キャスターを上げ、車椅子を後ろにひき、
段を越えたらキャスターを下げるといった具合である。
段を越えたらキャスターを下げるといった具合である。
溝・砂利道
道には段差と共に意外と溝がある。
溝をを越えるときは、前輪のキャスターがはまりやすいので、
「キャスター上げ」の状態で越えるようにする。
キャスターを下ろすときはステッピングバーを踏みながら、ゆっくり静かに下ろす。
砂利道もやはりキャスターがはまりやすく、時にはめり込んでしまう。
細かく深みのない砂利道や、
キャスター上げの状態で行ける短い距離なら良いが、大きめの砂利や深みのあるところは、
その道を選ばない方が賢明だ。
それと、細かい砂であっても砂浜のような場合は、
キャスターどころか、大きな車輪も埋没してしまうので、やはりその道を選ばない方がよい。
前に人がいたら
車椅子でも車と同じように車間?距離が必要となる。
なぜならば車椅子の前方には、少々危ないものが付いているからである。
それは、乗る人の足を乗せるために平べったいステップである。
このこのステップは、プラスチックでできてはいるが、ちょうど立っている人の・・・
正面ならば弁慶の泣き所である向こうずね、
後ろ向きならばアキレス腱からふくらはぎくらいの高さになっている。
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正面ならば、車椅子の存在が分かり、簡単に避けられ滅多に当たる事はないが、
後ろ向きならば、車椅子の存在も分からない事が結構多い。
何も気にしないで歩く人は、その歩き方も千差万別である。
突如立ち止まったり、歩みがゆっくりになったり、向きを変えたり、後ずさりしたり・・・、
注意や予測も大事であるが、やはり最低限の車間距離が必要だ。
他に横の部分など、金属でできた場所の多い車椅子は、 できるだけ人混みを避けるべきであるだが、
必要な場合は、特に前方の車間距離は細心の注意をはらう事が大切だ。
雨の日
車椅子は、乗る人も押す人も両手がふさがれるため、傘がさせない。
たとえさせたとしても、傘の骨はかなり危険なものとなる。
よって雨の日の車椅子での外出は避けるべきであろうが、
どうしてもという時は、雨合羽などの雨具を着るといいだろう。
しかしどちらにしても、道も滑りやすいし、ハンドグリップも滑りやすい。
合羽を着ると周りの状況も見にくいので、そういう工夫をしたとしても、
外に出る時には細心の注意をし、
「どうしても・・・」という以外は、雨の中の車椅子の走行は避けた方がよい。
鞄やバック
雨のところにも書いたが、乗る人も押す人も、両手がふさがってしまうので、
持ち物、荷物を持ち歩くのにも工夫がいる。
ついハンドグリップの片方に、袋等をかけてしまう事もあるが、
こうすると大きなタイヤにひっかかる事になる。
タイヤの動きの妨げになったり、袋を汚してしまう事、破損してしまう事にもなりかねない。
工夫としては、両側のハンドグリップにひっかけられて、
左右のタイヤの間に治まるような、
ディパックやナップザックのようなものだといいのではないかと思う。
とにかく荷物ができたら、サッと入れてられるバックが良い。
なお、後日分かりやすいように写真も付けたいと思います。2005.6.4.記
2005.7.22.写真追加