4.繁  殖
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雌雄の外見の違い
 メダ力の外見の特徴は背びれが尾びれのすぐそばにあること、また尻びれが長くて大きいことです。メダ カの雌雄(おす・めす)はこの背びれと尻びれの違いで見分けます。雄の尻びれは雌に比べて大きく、背びれ には雌にない切れ込みがあります。また産卵期になって、発情の進んだ雄の腹びれは黒くなることがありま す。
 また産卵期には雌はお腹の中に卵を持ちますので、明らかにふっくらして、全体に大きく感じるようにな ります。メダカの飼育に慣れてくると、水面から見ただけで簡単に見分けることができるといいます。

求愛行動
 メダカの産卵はまだ周囲がうすぐらい日の出前から始まり、午前8時頃には終わってしまいます。皆さん が産卵行動を最初から見てみたいとお考えでしたら、水槽に黒い布やビニール袋などをかけて真っ暗にし、 夜中の状態にしておく必要があります。覆いはずすと朝が来たと思ったメダカは皆さんの目の前で求愛行動 を始めます。
 雄は雌を見つけると、その後を追うように泳ぎます。雌がゆっくり泳いだりとまったりすると雄は雌の真 下に近づき、くるりと円を描くように回り、自分の存在を雌に示します。これが雄の求愛行動です。この時 、産卵の意志がない雌は頭を少しななめ上に上げます。これは雌が雄の求愛を拒む姿勢です。発情の進んだ 雄はこのポーズにもめげずに何度も何度も雌の下で回転を繰り返します。雌が頭を上げずにじっとしていま すと、雄は雌の横に並びかけ、背びれと尻びれを雌の方に傾けます。雌にその気がなければこの時にも頭を もち上げますが、そのしぐさがないときは雄は背びれと尻びれで雌のお腹からうしろをしっかりと抱きかか え、産卵を促します。

産卵
 雌の同意を得た雄は背ぴれと尻びれで雌の下半身を包み込むようにしっかり抱きかかえます。雌雄は体を ふるわせながら沈んでいきます。産卵は雄が精子を水中に放出することから始まり、その後雌が卵を産み出 します。ごくまれに雄雌2匹が産卵している最中に他の雄がそれに加わることがあります。雌に同意を得ら れなかった「もてない」雄の窮余の一策なのでしょう。産卵時におけるこのような雄の行動は他の魚種にも 見られることがあります。卵を産み始めた雌は体を「く」の字に曲げたり、伸ばしたりしながら少しずつ卵を 押し出します。やがて産卵が終わった雌雄はそっと離れていきますが、それまでに要する時間は短いもので は 15秒くらい、長いものでは1分近く掛かります。過密な水槽では他の雄がじゃまになったり、産んだばか りの卵を食べられたりする事が多く、じっくりと産卵できない光景を目にすることがあります。適正な飼育 密度を守ることや、他の魚から隠れることのできる水草の陰を作るなどの工夫が必要です。

積算温度
 産み出された卵が、子メダカになって卵から出てくるのにはどれくらいの時間がかかるのでしょうか。卵 の中の変化は水温に大きく左右されます。水温が高ければ早く、低ければ遅いといった関係があるのです。 積算温度という、ふ化に要する日数のおおまかな計算方法があります。積算温度は魚によってそれぞれ異な り、メダカの場合は約 250℃日とされています。これはどういう意味かといいますと、 水温(℃)×日数 (日)=250℃日(積算温度)
 たとえば25℃の水温であれば、10日、30℃であれば8日から9日ということになります。水温が高ければふ 化が早くなる理屈ですが、40℃を超えると、卵そのものが死んでしまったり、奇形の子メダカが生まれるよ うなことになります。

卵の産み付け
 産み出した卵を雌はしばらくの間おなかにつけています。卵は他の魚や仲間のメダカにとっては栄養価に 富んだおいしいもののようです。産卵中であっても、それをねらって食べに来る仲間もあるくらいです。雌 のメダカは安全な場所をさがして、おなかをこすりつけて卵をくっつけていきます。普通は水草に数個ずつ 付けていくことが多いのですが、中には水の底へ振り落とす魚もいます。親メダ力がいっぱい入った水槽か らは子メダカがたくさん生まれそうですが、実はなかなかそううまくいきません。なぜなら卵や、ふ化した 稚魚が他のメダカに食べられてしまうからです。それでは子メダカをたくさん増やすにはどうしたらよいの でしょう。
 メダカが産む卵の数は飼育密度に左右されます。特に水面の面積と関連があるようです。過密になってく ると、産卵数が減ってしまいます。逆に他の魚に食べられる卵の数は当然増えてきます。まず、産卵数を多 くすること、産んだ卵を食べられないようにすること。 それが一つ目のポイントです。

卵の変化
 受精した卵は1時間くらいたちますと、内部に変化が現れます。卵の一部が盛り上がり、その部分が2列に 分かれます。さらに4個、8個と倍々に分裂を繰り返し、細胞の数が増えていきます。このように卵の一部が 細胞分裂を繰り返すことを卵割(らんかつ)といいます。また、卵の中にたくさんあった粒(油滴)はそれぞれ がくっつきあって、油球と呼ばれるいくつかの球になります。卵割が進むと、体になる細長い棒のような部 分が油球と反対側の卵の表面に沿ってできあがります。半日ほどで、その先端に目になる部分が盛り上がり 、心臓ができはじめます。

 2日目には心臓が動き始め、しばらくすると、3本の血管ができ、中を血(赤血球)が流れる様子見えてき ます。
 3日目には目の黒さが際だってきて、卵の広い部分に黒い色素がはっきりと見えるようになります。
 5日目には尾の先端が目に届き、卵の中で体が1回転した形になります。胸びれがはっきりと見えるよう になり、時々体をくるりと動かすようになります。
 8日目には体の大部分ができあがり、ふ化を待つだけになります。

ふ化
 受精したメダカの卵は外側の膜が丈夫になり、指先でころころと転がしても破れるようなことはありませ ん。この丈夫な膜の中で、メダカは卵から子メダカへと変化(発生)をして行きます。水温25℃では10日目く らいにふ化が始まりますが、この丈夫な膜を子メダカはどのように破るのでしょうか。卵の中の子メダカは のどの周辺の細胞から「ふ化酵素」と呼ばれる、膜を内側から溶かす酵素を少しずつ分泌して膜を破ります。 ふ化間近の子メダカは卵の中でひんぱんに体を回転させます。そのうち、くるっと動いた拍子に膜が破れ、 水中に泳ぎ出てくるのです。ふ化酵素は水流などの物理的刺激や、光のようなメダカの中枢神経を経由する 刺激によって分泌が促されます。これらの刺激によって、顕微鏡の下などでは、ふ化予定日より早くふ化し てしまうものをしばしば見ることがあります。

ふ化幼魚
 卵からふ化したばかりの子メダカの時代を「第1幼魚期」と呼びます。この段階ではメダカ独特のひれの特 徴もはっきりとわかりません。まるで細いオタマジャクシのように胴体だけが目立ちます。普通、ひれは内 部に軟条という骨組みがあるのですが、第1幼魚期にはまだ軟条ができておらず、膜ひれと呼ばれるものが あるだけです。おなかには卵黄というお弁当を持っていて、これだけで3〜5日位は何も食べずに成長しま す。遊泳能力が完全に備わっていませんので、水面付近に浮上し、じっとしています。これは他の魚にとっ ては絶好の獲物となりますので、この時別に食べられてしまうことが多いようです。

 ホテイアオイなどの浮き草はたくさんの根がしっかりとついていますので、水面付近に他の魚が入れない ような空間を作ります。この空間は子メダカが安心して浮かんでいられるゆりかごのような役割を果たしま すので、屋外でメダカを繁殖させるのに大変重宝します。メダカはその後、第2幼魚期を経て第3幼魚期に いたりますが、その頃にはすべてのひれに軟条が現れ、遊泳力も備わります。

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