イラストレーターになるには


 良くこの手のご質問を頂きます。一人一人にお返事することは出来ないので、何時も答えている様な事をまとめて書き出してみました。 

 イラストレータになるのに魔法の様な上手い方法はありません。とかく情報収集にばかり時間を費やす人が多いですが、行動あるのみです。「チャンスがあったらやってみたい……」と言ったような人だと、どんどん置いていかれてしまいます。本当にプロのイラストレーターになりたいと思っている方は、まずはがんばって、「自力で行動」を起こして見て下さい


イラストレーターのなるための道(?)

 この辺は本当にケースバイケースです。
 イラストレーターになるためには学校等はさほど関係ありません、独学の人も沢山居ます。ただこれから学校を選ぶ若い人はやはり行っておいてそんはありません。特に業界の事など何も知らない方は行った方が良いと思います。(そして行ったら、どんどん積極的に先生に色々聞いて下さい)
  社会人の方でも、カルチャーや、スクールでイラストを教えてくれる所もあります。

 時々「鉛筆でしか描いたことがない、色も塗ったことないが、(直ぐに)プロになりたい」と言ったような方がいますが、イラストレーターとはビジネスです。冷静に考えて、クライアントがそう言う絵にお金を払いますか? 他の職業だって経験のない人は採用されませんよね? 英語が出来ない人が通訳にはなれないのと同じです。
「絵」というものは、大抵の人は趣味でそれなりに描いているので、「長い間描いて来たんだから、自分のスキルはもう完璧」と思いがちです。でも趣味で好きなように描いて来たのと、それが商業として通用するだけのスキルなのかと言うのは別問題で、大抵の場合、アマチュアの時に自分自身ではその判断は付かないものです。実際に見た目は綺麗に仕上げていても、商業的に使えない絵というのは多いのです。

 自分の目指している物に近いコンクールがあれば、投稿も良いですが、なかなかコンクールだけで仕事に結びつけるのは難しいと思います。出来れば持ち込みと平行してやった方が良いです。後展覧会などを開くのも一つの手です。


持ち込みのこと

 それでこの「持ち込み」についてのご質問が一番多いのですが、大抵の会社は持ち込みは受けつています。はっきり言って簡単なことです。代表なり直通なり電話をして「作品を見て下さい」と、言うだけです。
例として
「お忙しいところ失礼致します。イラストを描いております**と申しますが、そちらの編集部(代表の場合は**編集部)で作品を見て頂きたいのですが」と言えば大抵担当の方に代わって頂けますので、先方から「ではいついつ来て頂けますか?」「郵送して下さい」等指示して頂けます。
後は直接会って作品を見てもらうと言うことです。(郵送の所もあります。又地方の方は郵送でも大丈夫です。でもその際もちゃんと「作品を送らせて頂いて宜しいですか?」とご確認を。それと最近はイラストレーター志望の人が増えた関係で、じかに会ってもらえないケースも多いようです。)

 どこに行ったら良いのかと言うのは誰でも一番分からないことです。これは私の経験から言えば人に聞いてもほとんど的確な答えは出ません。
よほど近い画風の人なら別ですが、大抵は使う側が求めている作品が外からでは分からない事が多いです。私は出版関係が主ですのでそれに関して言えば本屋に行って自分の近い(憧れる)画風の人が描いている、自分の好きな小説家が書いている、興味の有る本を出している所にともかくTELする、これしかありません。百の情報より、一回の持ち込み(笑) 色々行くのが良いと思いますが、礼儀として、ちゃんと先方の作っている本などは研究して、傾向の合うところ、ここで仕事をして見たいと思うところに行くようにはしましょう。(会社訪問と同じ事です)

 私はこの手のご質問が来るとき、ともかくある程度の作品数が出来たら持ち込みに行くことをお薦めしています。それというのもイラストは、上手ければ仕事になるという訳ではありません。現在活躍中のプロの人の代わりに採用されるにはやはり相当な根気がいります。

イラストレーターと言う仕事は営業力もなければなかなかやっていけないと思います。(と言うより営業力60%です)「気が弱いから、自分のせっかく描いた作品が否定されるのが怖いから」ではやっていけません。




営業ファイル

 作品ファイル(A4〜A3)にまとめた作品を持っていきます。初めは色々な物を持っていて(モノクロも)見てもらうのが良いと思いますが、編集者によっては色々な物を見せられるよりも今自分がやりたい物を見せてくれと言う人もいますので、ケースバイケースで変わります。
 その辺どんな所にどんな作品を持っていくかは自分の経験で身につけていって下さい。ファイルと言われるとそればかりにこだわってしまう人がいるようですがようは作品の中身ですので、少しずつ体裁を整えて行けば良いと思います点数は少なすぎるのも何ですが、そんなに多い必要もないと思います。(でも最低でもカラー10数点、モノクロ5点以上は必要です)
 見せるファイルの他に置いてくるファイル(A4サイズ。編集部が回覧や仕事依頼の際に参考にするために、置いて貰うファイルのことです))も用意していって下さい。この辺はイラストレーション紙等にも詳しく書いてありますがこれ又最初はあまり難しく考える事ではないと思います。良い作品ならファイルの体裁など関係なく採用されますので。

イラストレーションエージェント
 
 イラストのエージェントをしてくれる会社もあります。私が登録しているのは下記です。

◆Sugar





 最後に

 今まで講師という仕事をしている事もあり、何人か「プロ志望」の人を見て来ましたが、大抵の方は絵を仕事にすることに対する認識が甘いようです。
アマチュアのうちは、「社交辞令」を言われると、それが全部本当だと思いがちです。でも、プロを目指したい方は実際に依頼を取らなければならないので、社交辞令は仕事の評価ではありません。もちろん、褒めてもらうことは誰でも嬉しいと思いますが、自分の実力に客観性を持てるのもプロとしての条件の一つです。自分がこれで良いと思ってしまったら、上達するための修練は出来ないのです。
間違っても批評されて、「この人は見る目がない」とか「意地悪で言っているんだ」とか思わない様に注意して、(現にそう言う人がいるので) 批評された事は「一理ある」と思って下さい。(ただ全部を受け入れる必要はありませんが、否定感想は無視して、誉められた事だけ聞くのもちょっと違うと思います)

好きなことを仕事に出来れば確かに楽しいですが、それにはそれ相応の苦労が伴います。
絵を大好きで、何が何でもプロとしてやって行きたいという情熱と実力を持った人が山の様にいる、競争の大変厳しい世界です。
普通の仕事が面白くないから、ちょっと絵でも描いて生活出来たら、絵の仕事って好きなこと出来て簡単にもうかりそう、と言った様な方には勤まりません。基礎力、発想力、技術力、そして情熱、どれも人並みではプロにはなれないのです。自分くらい描ける人、努力している人など五万といると思って下さい。さらにその上に活躍中のプロがいます。
自分が不採用だった時にも、それは何故なのか、冷静に分析する目も大切です。例えば絵としては上手いけれど、商業的には使いづらい、利用用途がない、絵柄が古い、などという事は良くあります。それと、イラストレーターとして仕事をしていくのは、必ずしも、自分が好きな絵柄だけを描けると言うわけではありません(もちろん、好きな仕事が巡って来ることも多々あります)。


 しかし結局は、凄く絵を描くことが好き!最後まであきらめないで描き続けられる、この情熱に限ります。
 私が仕事を始めた当初はネットなどもなく、こういう情報すら自分の実戦で身につけて行ったものです。ですので余り深く考えず、ある程度の作品数が溜まったら、まずは作品をどんどん売り込んで見て下さい。
たいていの場合、最初の持込では玉砕します。でもそこから粘れる人が、ほんとにプロになれます。
実際私も幾度も悔し涙を流し、、実力のなさに悶絶し、勉強を重ね、今までやって来ました。(笑)

プロを目指す方は行動が何よりですので、がんばって下さい。





(追伸:最近ではmixiのイラストレーターコミュニティに溢れるほどの情報があります)