2000年8月分



8/31
ちょっと調べた砕氷艦……
なぜ砕氷艦は電動推進が多いのかを調べてみましたが、アイストルクへの耐性などの他に「迅速な前進後進の切り替え」があったんですけど、ディーゼル艦は1〜2分ほどかかることに対して、電動は10秒以内というデータもありました。
これは起動時から最大トルクを発揮できる電動推進の利点と言うことにもなりますが、こう表されると
なお、通常動力砕氷艦で最大(CODLAG:60000馬力、3軸)の出力を持つ米コースト・ガードの「ポーラ・スター」級は可変ピッチプロペラで推力方向を迅速に変換しているようです。
世界で唯一ロシアは原子力砕氷艦を保有していますが、こちらの方は原子力故の蒸気タービン推進ですけど、こちらの方は反応速度を上げる努力はしていますけど、原子力による大パワーと持続性の方に重点を置かれているように思えます。

しかし……「しらせ」もそろそろ就役から20年。
「ふじ」の時は予想以上の疲労があったのか、このくらいで退役しましたが、
コンピュータ支援による設計と余裕を持った設計のためか、まだ退役の話どころか代艦の話すら出てきませんね。
でも、秋田県(「しらせ」の名前の元となった南極の「白瀬雪原」を発見した白瀬中尉の故郷)が秋田港に退役後に引き取って係留したいともう言っているそうです(^^;


8/27
クルスク……
事故からしばらく経って、下の日記を読み返してみると、情報が少なかったとはいえ結構無茶書いちゃってますね(汗)そもそも、傾斜に寄りかかるように沈んだという情報は後になって出てきましたし。
……もとい、いくつかの情報を整理して考えてみますと、ノルウェーの地震計などには小規模な爆発振動の後に大きな爆発振動……
二回目のはTNT換算1〜2トンの大きな爆発だったので、これは右舷前方も破壊されているあたりおそらく魚雷の誘爆によるものでしょう。しかし、その前に一度発生した小爆発が何を指すかで議論が分かれるでしょう。
ロシア側は衝突説をとっていますが、耐圧殻脇にミサイル発射筒を持ったオスカー型ですから、衝突にはそれなりの強度がありますし、水中排水量18000トンを一気に沈没に持っていくようものとしてロシア側は同じくらいの潜水艦、もしくは水上艦といってますが、潜水艦でそんな大きさをもったのは東側はもとより、西側では戦略原潜以外にないですし、水上艦に至っては自国の艦艇が衝突する以外に原因はないでしょう。そして、クルクスがこのような状態になったのなら、衝突した側も少なからぬダメージを受けたはずです。
その上、数年前に発生したロシアタンカー「ナホトカ号」の事故。あの時の原因もロシア側は「何かと衝突したんだ」と強硬にいっていましたから、信頼性が薄れてしまいます。
そして、ノルウェー側からの「嘘のデータ渡されて危険な目にあった」という苦情……。
まるで冷戦期のソ連のようなロシア海軍の振るまい……この分では、艦内に生存者がいたという証拠である水中からのモールス信号でさえ、ロシア側のでっち上げではないかという疑惑が浮上してしまいますね。
このことについては近くに米原潜でもいたらその信号を拾っているでしょうから、米側からの発表は……


8/16
ロシア原潜沈没状態。
今回着底した潜水艦はNATOコードで言う原子力ミサイル潜水艦「オスカー2型」で、水中排水量18300トンと、水中排水量が26500トンに及ぶタイフーン型を別にするとオハイオ級原子力弾道ミサイル潜水艦と並ぶ世界最大級の潜水艦で、米空母機動艦隊へのミサイル攻撃のために建造されたオスカー型を多少延長させたもので、耐圧殻外に24発の対艦ミサイルを配しているために魚雷攻撃に強いと言われている艦です。

沈没状況を見ると、どうも50度近く左舷に傾き、DSRVもメインティングをドッキングさせるのにはその海中状況とあわせてかなりの技術が要されるような極めて難しい状況ですが、なぜそのような状態で着底したかと考えると、着底に至る過程はかなり急激に進行していったように思われ、何かの衝撃で魚雷発射管室から浸水が発生し、左右も前後もトリムが一気に崩れたために急速に着底してしまったのでしょう。
耐圧殻自体への被害は幅広の外殻と深度差200〜300m分の強度によって最小限に押さえられたように思われます。

報道はTVについてはみる暇がなかったので正確には確認していませんが「O型潜水艦」とオスカー級自体でかいので「大型潜水艦」と聞き間違えたのが多いのかもしれませんね(笑)
なお、新聞については……大きさをトン数で表すのまではいいんですけど、13000トンと18000トンとの違いが……これは「水上排水量」と「水中排水量」の違いですけど、普通の人はすぐにはわからないので見た新聞によって5000トンの開きが存在してるでしょう。
また、兵装も「巡航ミサイル24本、魚雷4本」……巡航ミサイルに関してはSS−N−19USMが耐圧殻外の舷側に装備されていますから間違いじゃないですけど、魚雷の方は発射管の数をそのまま魚雷数にカウントしたようです(笑)

「欧米、日本への救援要請はないのか」という報道もありましたが、要請されても出せるのはダイバーと医療スタッフだけではないでしょうか。
DSRVとかになると出すかどうかでもめているうちに終わる恐れもありますし、DSRV自体空輸が出来るのかどうかも実験しているかが問題です。もっとも、母船(ちよだ、ちはや)に乗せていくのは問題外でしょうけど(笑)。


8/14
本日購入の本
ステルス艦カニンガムシリーズの二巻「ストームドラゴン作戦」
現代考えられる軍事技術を元に2006年という舞台で活躍させるために作られたステルス駆逐艦「カニンガム」。これは実世界で言うと現在計画が進められているズムワルド級打撃駆逐艦(旧名称DD−21)をイメージしていると思われます。
ただ、ステルス技術はカニンガムの方が上のようですが。

一巻は南氷洋でアルゼンチン海軍を相手に孤軍奮闘でしたが、二巻は部隊を東シナ海……というか中国沿岸に移します。
この時代の中国は内戦状態に入り、なんと台湾が逆上陸してきます(爆)
数は多いものの、質と時代で劣る中国軍は苦戦というか敗北寸前に陥り、それを潔しとしない上層部は夏型戦略原潜のSLBMを使って逆転を図ろうと……しかし、イスラエルからのミサイル供与で台湾も核ミサイルを持っている始末。
このまま撃ち合いが起これば、風下の太平洋沿岸諸国はもとより米国まで放射能を含んだチリが降って来るというとんでもない状態になり、米第7艦隊と共にカニンガムも中国へと向かう……。
こんなシナリオですが、前回はそのステルス能力とハイテク装備をフルに使用してアルゼンチン艦隊と一艦で対等に艦隊戦を演じたのですが、今回は相手が悪かったようで、
そして、あとの方では「照明弾による光学照準」で被弾したりも……
全般的にはよくまとまっているようで、中国軍もしっかりと活躍してカニンガムを苦しめたりもしました。よくある「無茶苦茶」架空戦記のような「間抜けでとんまな」敵役にはならなかったあたりがポイント少し高いです。
来るべきステルス艦の時代においての艦の行動や戦闘群における役割を書いたという点では評価に値するでしょう。
そして、この艦は主人公である艦長をはじめとして女性乗員もかなり多く、艦はもとよりこれらの乗員達も個性豊かに書かれています。

なお、舞台が舞台だったために自衛隊も出てきましたが作者も訳者も海自についての知識についてには不足していたようです。
「『ミサイル護衛艦』しらね」や「ゆうしお型」潜水艦「はやしお」(これは原著ではHaradoで、訳者が書き換え)ですけど、該当艦は「はるしお」型。せめて「はましお」くらいにしてもらいたかったですけど……そもそも舞台である2006年に置いて現役にあると思われる「ゆうしお」型は最終艦の「さちしお」だけだったりします(笑)
ついでに、これが日本人が書いたものであれば、その前に防衛出動を巡っての国会での馬鹿騒ぎがついてくるでしょう(笑)


戻ります。