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UPDATE.1998.5/4
第9回 カウンターをはさんで(後編)
タンカレー氏 登場
前回はお酒というアイテムを小道具、カウンターを舞台、そこに居合わす
お客さん・バーテンダーをキャストと見立てる話しをいたしました。
そしてそのとき、小道具であるお酒のことを知らなくたって素敵な舞台を成功 させる事は出来る、それなればこそ という内容でしたね。そしてこの後編に 続けたわけです。当然この後編に委ねたモノは(小道具を知っていて繰り広げ られた素敵な舞台)です。「お酒の世界を知っていると、こんなにもカッコイイ ことができるのかー」というような話しをご紹介いたしましょう。もちろん 舞台はNumberです。
さり気なく 何気なく
今までにも何度か語ったことがあります前置きですが、酒飲みは酒に対して
節操がなく、飲んで美味いと感じるものが真実、そしてその日の気分でどう飲んでも
それは自由。お酒を飲む手順に正しいも間違いも無いでしょう。しかしそれでも、
「こんな飲み方をされると唸ってしまう」というものがあります。さていよいよ
舞台の幕が上がります
N:「いらっしゃいませ」 T:「どうもこんばんは」 N:「こんな時間になるなんて、だいぶ忙しかったんですか?」 T:「めちゃめちゃ忙しかったですよ。飲まなきゃやってられないって感じです。タンカレーください。」 N:「はい、かしこまりました。・・・・・お待たせいたしました。タンカレーです。」 T:「この間筑波に行ったとき その街のバーに入ったんですよ。そしたら・・・」 以下略。時は暫し流れて・・・ T:「えーと、次はマークをください。」 好きなお酒が進んで、仕事の話し、趣味の話し、友人や幼い頃、つまり我々が出会っていない 頃のお互いの話しが飛び出したりして、カウンターはとても和やかな雰囲気を醸し出す。すると いつもの仲間が現れる。会話は輪を広げてとどまるところを知らない。そしてまた一人あらわれて・・・ H:「こんばんはー」 N:「いらっしゃいませ。この時間に来るってことは・・・野球、どうでした?」 H:「広島勝ちました。ハイネケンください。」 「かしこまりました。それで、阪神は?」 なんて会話で時が流れて行く・・・それでもひとり一人は各々のスタンス、ポリシーを崩さない。 今日、今こうして集まっているメンバーは飲み手としても超Aクラスだ。今回は最初のタンカレー氏に 注目していてくださいね。 H:「何を飲んでるんですか?」ハイネケン氏が聞く。 T:「マークです」とタンカレー氏。 H:「あっ,そうかー(この言葉には、私にもそういう選択があったなーっていう気持ちが読みとれました)。てことはまだ来て間がないんですね」 T:「ええ、でももう空いちゃうから。今日は忙しかったんですよー。飲まなきゃやってられないーっ! て思って。まあ暇でも飲んでますけど。次何にしようかな、うーん、AAください。」 N:「かしこまりました。」 舞台に登場して顔見せが終わり、最初に手にするアイテムが決まったハイネケン氏が切り出す・・・・ H:「今日ウェブ見てたら面白いのみつけたんですよー。」 パソコンの話しらしい・・・好きなことの話しはイイモノで、緩やかに、だけど確実に時間が過ぎてゆく。 その話しをここでしようと打ち合わせたように、また一人仲間が現れる。舞台の上手に暖かいまなざしを 向ける登場人物たち。言葉のサークルは広がってゆく。ここで上手から登場の彼が手にしたアイテムは ・・・ロンリコ151プルーフ。どうやらロンリコ氏も仕事が忙しかったらしい・・・ 本日の主人公、タンカレー氏が次のオーダーを口にする T:「じゃあ、AAAを。」 時は流れていく。まだまだ夜は始まったばかりです・・・・
お酒の一貫性
さて、今回主人公になって頂きましたタンカレー氏。なにが「唸ってしまう」
ところなんでしょうか。
お酒には特性があるというのは今まで何度も触れてきました。総じて、ジンはこんなお酒・ラムは
こんな感じ、なんていう風に。勿論一つのカテゴリーの酒が総て同じ特性というわけではなくて、
いろいろなタイプがあるものです。
今回の主人公はまずタンカレーをオーダーなさいました。人気のこのジンは非常にシャープですっきりした 酒質ですよね。そのあとバーボンに移ってメーカーズ・マーク。こちらも決して重厚な酒質ではなく、 メローなタイプのバーボンの一品。繊細な構築感を楽しむことができますよね。そしてAAこちらも バーボンの中ではシャープな切れ味、そしてAAAへと流れることからAAの時点でアルコールに 身体が慣れてきたのでしょうか?AAAに比べれば力強さはありますから。そしてやわらかいAAAへ。 ジン、バーボンとカテゴリーは変わっても、お好みの酒の質が一貫しているのが理解できて、さすが 自分の好み、そして酒というアイテムを知っているな、となるわけです。 ここでタンカレー氏はお酒の知識をとうとうと説いてはいません。それでもお酒と対峙する姿勢が 「酒を知っているな」と思わせるわけですね。すごいのは単に好きなお酒をオーダーしているだけ ということでしょうか。もちろんこの日のタンカレー氏のオーダーの順序には、かなりの意味がある ものだと私は考えますが、全国の道具係の皆さん、どう思われますか? ところで、「小道具を知ることですばらしい舞台になる」という典型的な話しは 第5回 カッコイイ男の酒 女の酒(NOZOMIの 夜はこれから)がぴったりでしょう。読んでない人は もちろん、読んだことのある方も改めてどうぞ。
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