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UP DATE .1998.9/30
第13回 おかえりなさい
NOZOMIの一時帰国
バーという所はお酒を飲む所ですね。同時に色々な人が行き交う場所です。Numberに
おいても毎晩のように集う、日常にしてくれる仲間もいれば 遠く離れていたりしてある周期で現れる
仲間もいます。みなそれぞれに大切な夜を過ごしてきました。掛け替えのない宝物です。
ところで、バーである以上ある種のイメージってありますよね?「カッコよくお酒を飲む」 「酒を知っている者が飲む」。バーやカクテルが格好いいモノだと思って頂くのは大変嬉しいことです。 それは時にオシャレであったりセンチメンタルであったり。どんな人でも、どんな人の人生でもステキに 表現出来る、あるいはそれらを増幅する力があると思います。難しい話はみんな好きだし、自分にこだわり を持つのは素敵なことですよね。 そんなバーだから楽しめるし、やすらぐし、色々な意味で力が湧いてくるのです。でも、個人で描いた イメージってやつが邪魔をして、かえって疲れてしまうんじゃないか?なんて人もいます。前フリが長く なりましたが、今回はそんなお話を絡めた、カウンターを挟んでのトークショー。Numberの日常なんですけ どね(^^)
NOZOMIの一時帰国
N:いらっしゃいませ」
の:「こんばんはマスター」 N:「あれ?ノンちゃん!お帰りなさい。いつこちらへ?」 の:「えへっ、本当は月曜の夜成田に着く予定を組んでたんだけど、そうするとマスターのとこの休みにかち合っ ちゃうでしょ。だから予定をずらして来たの。おかげで明日帰らなきゃ」 N:「店が休みでも一緒に飲むことはできるじゃない。まあ、つもる話もあることだしゆっくりやりますか。 どう?向こうでの生活は?」 の:「ええ、仕事自体は慣れたモノだし、自分でやってることですからね。なんとかやってますよ。」 N:「こっちじゃ不景気で本当に大変なことになってるよ。挨拶代わりに あきまへん、なんて言ってたのも 軽く言える言葉じゃなくなったよ」 の:「日本の情勢は向こうでも伝えられてますよ。ただ、イギリスは失業率が高かったりするし不況ではある けど、服飾は豊かな層の人たちが対象になってるから。私は恵まれてますね」 N:「いやいや、ノンちゃんがうまくいってれば私は結構ですよ。日本についてひとつ言えば・・・ ブランデーが千円で買える時代になった、ってことかな」 の:「なに、それ?」 N:「うん、STのVOなんだけどね、CMで浜ちゃんが出演していて VOを飲んでるの。それをロックでやってるんだけど、 スニフターを持ってるんだ。大人の雰囲気のバリジェンヌと会話しながら。よく考えて。VOクラスの ブランデーでロックでスニフターだからね。」 の:「う〜ん、つまってますねぇ それ。で、マスターの方は?」 N:「相変わらず暇ですが(笑)でも、最近素敵な仲間ができたよ。ホームページのおかげもあってね」 の:「ああ、表のボードにURLとかありましたね。今度見てみます。」 N:「アカウントは取ってるんでしょ?コンピュータはノンちゃんの方が早かったのに」 の:「インターネットは普段やってないなぁ。日本の友達とかとほら・・・色々ね・・・」 N:「そうだったね。まあいいや。さて、帰国第一杯目は何にしますか?」 の:「そうねぇ。PINK ELEPHANTください」
「テーマを決めて」
の:「マスター、さっき言ってた素敵な仲間ってどういう人?木村くんたちじゃなくて?」
N:「うん、彼らもたまに来てくれるんだけど、ノンちゃんの知らない人達だね。でも彼らはノンちゃんのこと 知ってるよ、全部じゃないけど。でも大切なところは確実に!」 の:「何ですか、その大切なところっていうのは(笑)?」 N:「ほらホームページ作ったって言ったじゃない?だからそこでコソコソっとね・・・」 の:「相変わらずだなぁ。今日は会えないかな?」 N:「大抵毎日のように来てくれるからね。会えるんじゃない?でも不思議なもんで、そういう時に限って 来ないんだよね。そりゃあもう不思議なくらい」 の:「まあ、いつかここで会えるでしょう。じゃあマスター、久々に話のテーマなんだけど・・・」 N:「おっ!懐かしいなぁ」 の:「マスターは良い人の話しかしないけど、今日は変な人の話しをしてくれる?」 N:「変な人の話?うちは多分この街でも1,2を争うくらい客層が良い店だよ」 の:「でも、ことお酒に関しては妥協しないマスターなんだから、そのめがねに適わない飲み方のひと とかもいるわけでしょう?そういうお話。私が、「なぜそれが変なのか」解るかどうかを試すつもりで してくれればいいですから。私のレベルアップになるんだから」 N:「そう言われたら語らないわけにいかないね。じゃあいきますか。変な人の話」
変な人の話
N:「じゃあ私が通り一遍話をするね。何処がおかしいか気になったら答えてよ」
の:「はい、いつでもどうぞ」 N:「では、23歳の女性2人組。一方の女性と私の会話です。メニューを眺めてから彼女が言います」 女:「classicはありますか?」 N:「すいません、マラスキーノが無いんで・・・。もしよろしければチェリーブロッサムなんてどうですか?」 女:「いやーっ!(と、首を横に振る)じゃぁ、シンガポールスリングはできますか?」 N:「ラッフルズのスタイルでなければできますけど?」 女:「じゃあそれでいいです」 N:「かしこまりました」 N:「っていうんだけど、解る?」 の:「変ですねぇ、解りますよ。クラシックを指定するところは何処かで飲んだことがあるんだなって思える けどレシピ知らないんですね。ただ、すかさずチェリーブロッサムって提案するところがさすがマスター。」 N:「いやいや、私はね、バーっていうところはオシャレだと思うし、ちょっと背伸びしてみるのも大いに 賛成なわけですよ。カッコつけてくれれば嬉しい。だってバーがカッコイイ所だと思ってくれてるんですか らね。でも、そのチェリーブロッサムって私が提案したときに凄く怪訝な顔をなさったんです。 その時点ではクラシックは好きだけど、そこからチェリーブロッサムは無いだろう?って思ったのなら 私がいたらなかったんでしょう。私のミスです。でもそのあとシンガポールスリングっていうんじゃあ あの怪訝な顔は・・・・ねぇ?失礼でしょう?(苦笑)」 の:「あぁマスター、今このカウンターの隣にマスターご自慢の仲間達がいて、なぜ?っていう質問でもしてく れたなら 私が颯爽と答えるのになぁ」 N:「だめだめ、ここではNOZOMIさんはいい女で通っているんだから。NOZOMIさんは決して出しゃばらない 女性なのです(笑)」 の:「そんな設定にしちゃって、もし今日 会ったら皆さん首をかしげますよ! じゃあ、隣にお酒への好奇心旺盛で素敵な男性がいるとして、彼に説明してみましょう。 解説しますね。クラシックっていうのは ブランデーをベースにマラスキーノチェリーから作ったリキュールが入る。マスターはそれが無いという。 で、マスターはここにあるリキュールを使って、同じベースの組み合わせでチェリーブロッサムを提案した。 ブロッサムのリキュールはチェリーブランデー。 非常に無理のない選択です。ところが彼女は怪訝な顔をする。この完璧とも取れる提案をはね除けたこと に関して、マスターは寛容なまでにもそれはかまわないと言ってのける。そしてクラシックというカクテル が好きでチェリーブラッサムに怪訝な顔をする彼女が再度オーダーしたのはシンガポールスリング。 しかもマスターはラッフルズホテルのレシピは出来ないので日本で広まっているオーソドックスなもので かまわないか確認した。彼女はニッコリ笑って「ええ。」と答えた。ということなんですよ、ええっと、 マスター、今私の隣にいる人の名前を聞いてもいい?」 N:「あっ、じゃあABUさんにしておきましょう(爆)いやいや、して下さい。」 の:「とっ、いうことなんですよABUさん(誰もいない隣の席に顔をむけて)そうですよねマスター?」 N:「それちょっと凄すぎ(爆)。第一私は 彼女がニッコリ笑って「ええ」と答えたなんて一言もいってない ヨ(^^;。それにしても今日ABUさんがいてくれたらなぁ。絶対素敵な夜になってたのに。決まった。彼、今日は 来ない。多分。そんでタンカレー氏が来たら私はもっと笑う。その確率は非常に高い。」 の:「まあまあ。でも、その彼女 今も来るんですか?」 N:「んなわけ無いでしょう(笑)そういう自分に無理をする人はここは息苦しい店になってしまいますよ。」 の:「息苦しくしちゃうんでしょ?そいう人たちが勝手に。」 N:「なんか今日のNOZOMIさんは大変過激でございます。しっかりメモしておこう(笑)」 の:「メモしてどうするんですか(笑)? そうだ、私にチェリーブロッサムを下さい」 N:「かしこまりました。でもクラシックじゃなくていいの? メモしてね、ホームページのネタにするの。 確かもうシリーズ3回目かな?『シリーズNOZOMI』」 の:「シリーズ化してるの?人がこっちにいないのをいいことに・・・採点してやる〜!」 N:「よろしくお願いいたします。まぁ、嘘はこれっぽっちも書いてないけどね。お待たせいたしました クラシックです。」 の:「はい・・・・・・・・。って違うでしょ!」 N:「おっ!さすがにごまかせないか(笑)」 の:「他には?」 男:「僕、バーボンが好きなんですよ」 N:「いいですね。私も好きですよ。それでバーボンは何が好きですか?」 男「ジャックダニエル!」 N:「とかね。」 の:「ありますね。次は?」 N:「20代半ばのカップル。カウンターにて」 男:「あっ、シャリュトリューズのイエローがある」 女:「美味しいの?」 男:「うん、でも僕はグリーンの方が好きなんだ。マスターありますか?」 N:「すみません、今置いてないんです」 男:「そうですか・・・ジャーシーできますか?」 N:「なんて言うのは良くあることだね。 の:「結局どこかで飲んだ事のあるカクテルを覚えていて、それが美味しいって言って飲んでる、オーダー するっていう話ですよね。例えばジャーシーにはシャリュトリューズヴェールが入ってるのに知らない。」 N:「うん。きっかけは普通そんなもんだからいいんだけど、そういう人が多いよね。田舎だから尚更(笑) だから今なんかほんと楽しいよ。うちのファミリー、凄くお酒とのつき合い、レベル高いもん。 知識も経験も。それにそういったモノがない人でも自分にもお酒にもまっすぐ対峙してるし。 しかし いつもの事ではあるけど今日は特にバーマンとしては 点数低いなぁ。よし、テーマを変えましょう。私からのテーマ。こんなバーテンダーには気を付けろ!」
こんなバーテンダーには気をつけろ!
の:「気をつけなきゃいけないっていう時点で、そのひとバーマンじゃないんじゃなかったっけ?マスター?」
N:「そんなこと言うと終わっちゃうじゃないの。なんかない?思い当たること。」 の:「それはありますよ。だって昔、私が友達とあっちこっち飲みに行ってた頃、 なんだか違うレシピで 出てきたり、コンクールで入賞したとかってバーテンさんに作ってもらったら凄い水っぽいカクテル がでてきたり。あんなの作る人のことでしょ?いっぱい有りすぎてもう・もう・もう・・・お酒の解釈か゛ 自己中心的で柔軟性がもてない人。お酒の可能性を限りなくせばめてしまいますよネ」 N:「絶対こういう解釈以外にはあり得ない というのも沢山あるけどね。はっ!あのねノンちゃん、 別に他の人の悪口言うつもりでテーマ変えたわけじゃないんだから(笑)。それじゃ お客さんの部分がバーテンになっただけじゃない。それを言うならお客さんの前で倒れちゃうバーテンとか、 お客さんに説教するバーテンとか、本気で怒るバーテンとか・・・そういうバーテンに気をつけなきゃ」 の:「それは今目の前にいる人のことでしょ?(笑)だいたい今日はマスターの本音の部分を聞きたいの。 それをネタにして角が立たないように話をする術は身につけてますよ。私の、そして社会の役に立つ為に。 話術っていうのは大切で、周囲を良い雰囲気に変えられるじゃないですか。」 N:「はいはい、覚悟しました。タイミングが良ければすばらしい人を紹介するよ。うつむく青年さんって いうんだけどネ」 の:「誰ですか?どんな人?」 N:「忘れて良い。彼の話だけで夜があけちゃう(笑)きっといつか会えますよ。 じゃあまじめな話。バーマンはお客様を満足させるために存在する。しなけ ればならない。さりとてバーマンも人の子。バーテンのささやかな抵抗がカクテルから見てとれる。 オリジナルのカクテルを作るときに、自分で命名するのはバーマンの最大の自由にして楽しみですからね。 提供するドリンクで、このバーテンさん心に一物持ってるな と思われるモノをあげていきましょう」 の:「ああ、ビトウィーンザシーツでもう帰って寝ろ!みたいな?」 N:「そうそう。その辺りはノンちゃんに聞きたいこともあるんだよね。英語ペラペラだし。よし、 次のテーマはおまかせカクテルだ」
おまかせカクテルについて
の:「注文を聞かれてお任せします、っていうのはスマートでカッコイイですよね。」
N:「うん、それに我々の立場からすると全幅の信頼を寄せてくれているわけだから尚更嬉しいわけですね。 バーマンはきっと素敵なカクテルを提供してくれるはずです。その注文が 私のイメージにピッタリの カクテルお願いします というものでもね。」 の:「それはバーマンは嘘つきです、というお話ですか?(笑)」 N:「あのね・・・(絶句)」 の:「だだ、「私のイメージのカクテル」っていうおまかせは、頼んでいい女性と頼んではいけない女性がいる と思うんですよ。私は自分が女だからこういう発言が許されるでしょ?個人的には「私もそんなオーダーが できる飲み手になりたい」ということなんだけど・・・具体的にどうすればなれますか?表現に困るなら マスターがそういうオーダー頂いて、スッとカクテルがでてくるのは頼んでいい女。時間がかかったり バックバー眺めててフリーズしてたら「助けてくれ〜」って心の中で叫んでいる、と・・・(ニヤニヤ)」 N:「うわっ!もう・・・知ってるくせに(苦笑)そりゃあね、話したこともない女性なのに、なにか 魅力か゛伝わってくる女性というのはいますよ。そんな女性を前にすると、そういう普段は困ることが 多いオーダーを「してくれ〜!」と願ってたりして。イメージが湧くんですよ。本来イメージってつくりあげる ものじゃなくて浮かぶもんでしょ?でもバーマンは作ることを求められる。良いバーマンは嘘つき・・・ かもれない。」 の:「マスターはどっちでしょうね?」 N:「そんなの自分で決めることではありませんよ」 の:「個人的には正直者と思いますね。お酒に対して妥協しないわけだから。お客さんの意見に対して それは違うとハッキリいってのけるし」 N:「ありがとうございます。アレ?じゃあ良いバーマンじゃないって事?いや、でも?ま、酒に正直って 思ってくれるなら、嬉しいことですね」 の:「ああっ・・・いい気になってるな(クス・・)ここで質問です。1,あなたは正直者ですか?」 N:「はい」 の:「2,女性のイメージとしてのカクテルで、次のカクテルは作ったことが有りますか?SNAPPER・HANKY PANKY 」 N:「ありません」 の:「もう一度聞きます。あなたは正直者ですか?」 N:「・・・・・・・ごめんなさい。許して下さい」 の:「勝った!」 N:「いいんですっ!私は作り手であると同時に飲み手だから。酒飲みは酒に対して節操がないんです」 の:「でも私の勝ちだも〜ん」 N:「このまま終わるわけないでしょ。じゃあ反撃いくよ。カクテルの名前でね、CITY SLICKERっていうのが あるんだよね。あと、SAUCY SUEっていうのもあるの。これ、作ろうが作るまいが答えは難しくない? どうだ?」 の:「それは正に浜ちゃんのVOですね。じゃあ私にピッタリのSAUCY SUEください。どうだ!」 2人とも満足して、まだまだ夜はつづきます・・・・・・ あとがきNOZOMIさんが登場の第3弾!いかがでしたか?文中の注釈を
載せておきましょう。CITY SLICKERはレインコート。でもペテン師の意味もあります。
SAUCY SUEは小粋な、スマートな、という意味と同時に生意気な、厚かましいという意味が
あるのです。カウンターの前に座る女性に、「貴方のイメージで作りました」という私は
正直者?それとも?なおピンクエレファントは94年に作った私のオリジナルカクテルです。
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