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UP DATE .2002.7/17
第21回 君へ
どんなお酒でも 女の子だと思ってみなさい
このサイトを立ち上げた目的、その中心に位置したコンテンツが この『お酒について語らせて』でした。
酔っぱらいの如く繰り返してきたお題目は『お酒の魅力を伝えたい』と言うものですが、裏を返せば
『お酒の事を誤解している人が多いな』という思いがある事を 解って頂けると思います。
当時ネットにおける個人サイト、その中でもお酒に関して扱ってるところというのは思いの外少なく、 そういったサイトを見かけた知人達がNumberにわざわざ教えてくれるくらい稀でした。そう、自分の言葉で 綴っているサイトというのはね。 お酒というのは特定のモノにスポットをあてたとしても奥が深く、また国や地域の法律や慣習によって 規定もまちまち、複雑です。テキストなら ひとつ説明するだけで膨大な文字を必要とします。知らない人に 伝えるため、まして誤解の無いように綴っていけば尚更です。ですから拝見していて唸ってしまうような サイトというのは稀で、知識を沢山もっている人のソレはまるで参考書の丸写しであったり、 あまり知らない人のそれは「スクリュードライバーというカクテルはウオツカをオレンジジュースで 割ったもので〜」等という、カクテルレシピの本を買ってきた方がよっぽど役立つだろうと 思ってしまう そんなのばかりが目立ってました。 メーカーのサイトさえお粗末な頃です。ネットで、今のように有益な情報を直ぐ拾えるわけも無く、 Numberは兎に角お酒を良く知ってる、というよりお酒との良いつき合い方を日常にしているような 人、もしくはそういう人が作ったサイトに巡り会いたかったんだと思います 今思うと。 ですから当時はニュースグループにも出入りしてましたし、「それらしい」と思えるサイト、及びサイトの 管理者には大きく期待いたしました。具体的には、明らかに間違った記述、もしくは誤解を生むような 表現を見つけたサイトにはメールで事の真意を尋ねたり、訂正を促したりしました。 『お酒の魅力を伝えたい』その思いがありましたから、不特定多数が閲覧できるwebにおいて 間違った記述のあるサイトというのは 自分にとって正反対の、悪しき存在になってしまうんです。 その結果解った事というのは『解らないで書いてる人間があまりにも多い』というものでした。 「これだけの事を書いてるんだから当然これは知ってなければおかしい」というような内容も知らない。 ようするに、お酒を知ってる=カッコイイ まるく言えばお酒の魅力にマイッてはいるんだけど、 言葉を紡ぐような知識は持ち合わせていない人たちばっかりだったって事です。そしてもうひとつは、 言っても解らない、解って貰えないのが殆どってことですね。勿論お酒の知識、 そのスキルが高かろうが低かろうが、そんなことは問題にしませんでした。 勿論そんな中でも、しっかりとした感覚と知識を持ち合わせてる方達とは出会うことが出来ました。 未だにウチのリンク集に存在してもいます。 また、お酒の辞典みたいな内容だったら、それはそれで 重宝だけど、Numberが求めているサイトでは無いんですね。 『お酒の魅力を伝えたい』そのアクションには様々な方法があると思います。お酒の魅力なんて無限に 有りますしね。Numberが書いている『お酒について語らせて』は、魅力を知る事の出来る ひとつの方法でしかありません。しかしあくまでもNumberの中から生まれた感覚。そしてそれは 正しいのか否か? 自問自答を繰り返し、時には他の酒飲み達と語り合い、現時点において 導き出した答え、思いです。そしてその中でも 万人に共感していただけるであろうと思うものをピックアップしています。 「もしかして、お酒って良いかも?」そんな風に、チラッとでも思って頂ける様なテキスト。 それをNumberの言葉で。 だから僕にしか書けない。紆余曲折しながらも続けているコラムですが、今 Number自身は どんなスタンスでいるのか?
今、Webにおいて
今、web上で沢山のお酒に関する記述を目にする事が出来ます。Numberも面白かったら読むし、
面白くなかったら読みません。製法、成分、カテゴリー等の記述が中心のものも、
必要な時以外読みません。そんなのは今更というのもありますが・・・。
ですから、間違った記述が堂々と載ってる程度のサイトは見ないわけです。当然もうメールを出したり 書いてある事の真意を尋ねたりなんて事もしません。その人のお酒とのつき合い方は 明らかに悲しい現実なわけですが(間違ってるんだから)お節介だと疎まれたくないし、そこまで お人好しではありません。ただしお酒に関して素敵な感覚を持ち合わせているとNumberが感じた場合は この限りではありません。多分苦情を呈すると思います。っていうかします。
ロック
さて、いい加減マテリアルな話しにいきましょうか。取りあえずなんか飲みますか?
ウイスキーをロックで飲みましょう。いや、今日のところはロックでどうかひとつ!(^^;)
そのグラスの氷なんですが、最近はまん丸い球体のロックアイスが 売ってますよね。あれで出すところも多くなったと思います。でも元々は氷屋さんから買ってきて、 一貫目の氷を鋸で切り、その後アイスピックで削って作る、これもバーテンの仕事のひとつなんです。 それも基本中の基本。見習いの時分なんか、やっと触れる、教えて貰えるのが氷り削りってくらいでね。 実はNumberこの氷り作るのが苦手でね(^^;) いや、アイスピックの使い方は特にヘタでは無いつもりですよ。 うん、それなりに自信はあります。でも手がね、冷たいのに対してダメなんですよ。長く持ってられないの。 もうこればっかりは修行してどうこう出来るもんだとは思えないので、長く氷り持ってられる人はそれだけで Numberなんかより遙かに有利ですよ(笑)。 氷を削る時に注意すること、その目的っていうのは角をとることなんですね。お酒を冷やしたいんだけど、 ツノがあったら解けやすくてお酒が早く薄まってしまいますから。それで球体に近づけていくことになります。 Numberの修行した店っていうのは、実は高級なラウンジだったので、この氷りも製品の丸い氷りだったんです。 わざわざ削ったのはシェイク用やランプアイスと言ったカクテル用ばかりでした。そういう感覚になれていたから、 Number開店当初は丸い氷りを使いたかった。でも仕入れ先とストック場所の確保、お金が余分にかかる事で断念して 自分のところで作ってたんですね。氷り削りは初歩なんていいましたけど、バイトの女の子には流石に 任せられません。だからこればかりはNumberが作ってました手が冷たいけど(><;)。 少し前にね、とあるサイトで読んだんですよ。バーテンダーやってる人なんですけど、 「丸氷というのは、心あるバーなら必ずあるもので・・・」と言うような記述をね。丸い氷が良い事は確かだし、 それ自体間違ってなんかいない、寧ろ正しいんだけど、そこはお酒をメインにしているサイトではなくて、 見ている方も明らかにお酒とは縁のない人が多いようなところなんです。そんなサイトで言葉の足らない そういう記述があった事にちょっと反応しちゃった(^^;)。いや、これにはなんのアクションも起こさなかったんだけどね。 実は丸い氷が良いと言ったNumberだけど、開店当初1年位はロックグラスに削った氷を2個入れてました。 「角氷り」という言い方がありますけど、ウイスキーをロックで飲むとき、必ずしも氷が溶ける事はマイナスじゃない。 時をかけて育まれたウイスキー、ロックグラスの中でも時間の経過を楽しむ事が出来るわけです。 加えて氷と氷のぶつかり合う「カランカラン」という音がまた良いんだ(^^) 勿論2つって事はひとつより 溶けやすいんだけど、ほら、Numberではロックグラスも冷凍庫で氷らせているでしょ? で、 その心配は無いですからね。その後氷はこうやって1個にして 長くやってますが。 で、先日暑くなって来たこともあって、気分転換。手間は余計にかかるんだけど、氷をま〜るく削って リンスまでして球体にしたんですよ。それで提供したらお馴染みNumberファミリーABUさんに A:「気持ちは解りますが僕はNumberではマスターの作るいつもの氷の方が良いなぁ。ここはNumberだから」 という言葉を頂きました。手前勝手ながら、それはとても大切な拘り、お酒とのつき合い方だと思います。 だからさっき言ったそのサイトの記述に対して「言葉の足らない」と言ったんです。
日本のウイスキー
美味いよねぇ、ウイスキー。もう何年こんな事言ってるやら(^^;) ほんと、ウイスキーに携わる人たちに
感謝の気持ちが絶えませんね。
ウイスキーを作る技術者 ブレンダーの人たちって言うのは、努力によって神がかり的な嗅覚を持っています。 あらゆるウイスキーの出来映えを舌で味わうことなく、匂いだけで判別する能力を持つんです。これを ノージングと言うんですが、その際ウイスキーと同等の蒸留水で割ることによって一番香り立ち、 中に含まれるエステルの個性を明確にすると言われています。これは酒に関わる人間にとって 常識と捉えられている事なんです。『トワイスアップ』と言われます。 ところが先日も前述のサイトで、このトワイスアップにまつわる記述が目にとまった。やはりちょっと言葉が足りない記述であったが、 トワイスアップのメリットを謳っていた。ウイスキーの一番美味しい飲み方は、ストレートで飲むよりも同等の水で割って 20度前後のアルコール度数にした方が云々というものだ。そこまではまあ良いや。でも、こんな一文が・・・ 「ただし、まともなウィスキーを飲む時の話。サント○ーのウィスキーとかだと、水で薄めて飲む他無い」 余計な事を・・・・「そうだろうか?本当にそうだろうか?」 例えばスコッチウイスキーのすばらしさは確かです。Numberはスペイサイド系の繊細なブレンデッドスコッチを 楽しむことが出来るくらいだからそんな事は百も承知です。今更語るのも、またNumberを知る多くの酒飲み達も 今更Numberから聞くのも苦笑いでしょう?(^^;) しかし日本のウイスキーに対してそう言い切ってしまえるのか? その記述を不特定多数の、特に お酒について未だ良く知らない、その魅力をまだまだこれから堪能する機会ある人たちに 無造作に吐いていいのか? 少なくともバーテンダーという職にある者の行為としてそれはどうなんだろう? ハッキリ言って罪ですよ。バイトだから? 関係ないね。少なくとも自らバーテンダーと名乗ってるんならね。 ただ、web上で一個人が好きなことを書く。その自由は守られなければいけないものです。リスクは常に 自分が負うわけだし、Numberも長く個人でサイトをやってきたから、今やその事に対して言及する事は 出来ません。しかしお酒を提供する立場であることを考えれば、軽はずみな行為と言わざるをえないんですね。 どんな考え方を持つのも自由だけど、自説として述べる事の断り等も含めて、相手に誤解を与えない用に すべきなんです。それは彼がバーテンダーだから。ネットでテキストを書いて、真意を読みとれないのは 読み手の問題だとか、解釈を委ねると言った問題では無いと思うんです。
成長
勿論Numberの感覚が、今現在辿り着いてる答えが、正しい事だと保証するものは何もありません。
もしかしたらこれから先、自分は間違っていたと思うときが来るかもしれないですしね。
その事は常に肝に命じてるんです。
バーテンダーとして軽率な行動だと非難する事はしません。思ったとしてもですね。 思ってるんだけど(^^;) それよりも、一酒飲みとして彼がそういう感覚の上に お酒とのつき合いを積み上げて行くのだとすると その事の方が寂しい。Numberは『お酒の魅力を伝えたい』と思っている。少なくとも彼は 日本のウイスキーに対して 楽しみ、魅力を見いだせないでいるようです。そして今後、恐らく長きに渡ってその事に悲しみも 覚えないんじゃないかな? 誰か素晴らしい先輩とかとの接触がなければ。勿論、彼が聞く耳を持てたらだけどね(笑) Numberは世界中の色々なお酒を美味しく飲みたいと思いました。今でもそう。どうしても飲むことを 身体が受け付けなかったアニス系のリキュールさえ今では美味しく味わう事が出来ます。エッヘン! あっ、人様に対しては、飲めないものは仕方がないと思いますよ。でも自分に対してはそれじゃあ悲しいんです。 悔しいんです。つまらないじゃないですか? 楽しさを享受出来ないなんて。 世の中に生まれた酒は、多くの人の手によりますよね。様々な情熱により作られてるんです。勿論、 この世に間違った酒があるのも事実ですよ。しかし日本のウイスキーは素晴らしい文化を有しているし それにはスコッチにもバーボンにもマネの出来ない事があるんです。 その魅力を知らずにいる事を残念に思うんですよ。
君へ
君がバーテンダーになると聞いた時、嬉しかった。きっと素敵な世界と期待に胸躍らせてなった筈だ。
器用で、頭の良い君だから仕事はとても早く覚えたのだろう。知識も沢山吸収したのだろう。
上品でキレイな、お題目めいた言葉を聞きたいんじゃないんだ。一流のバーテンダーになって欲しいわけでもないんだ。 バーテンダーになるメリットなんて、一番手っ取り早くお酒を覚えられる事くらいだろう。 でもそれは言葉を変えると、お酒の魅力により多く接する機会を得るという事でもあるんだ。 僕はお酒の魅力を沢山感じて欲しかったんだ。君の勤めているところは一流店らしいけれども、 一流店では決して味わえないお酒というのも 在るはずです。君がそのまま、一流の店に籍を置く者が 陥りやすい愚かな感覚なんか持たない事を願います。 勿論、どんな感覚であったとしてもそれはひとつの経験。いつかその感覚が活きる経験をこれから 積んで欲しいと思います。ほら、「これはダメだな」なんて思えちゃうお酒でもさ、女の子に置き換えてみなよ。 いくらなんでも、ほったらかしになんか出来ないだろう?(笑) 取りあえず、つき合ってみないと分からないこともあると思うよ。 『君へ』なんてタイトルにしましたが、これはお酒を愛する全ての者達に向けたコラムです。勿論それはNumberも含まれるわけで 永遠に自問自答していかなければと思っています。テキストにおいては野暮な言い回しですが、このコラムだけは別です。 伝わらなければ意味がない。 Numberの感覚を手軽に把握して頂くためにこのログを あげさせて頂きます。 |