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[トップページ][教育再生] [平成10年下期一覧][Common Sense] [371.6 学級崩壊
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        _/  _/    _/  _/           Japan On the Globe (65)
       _/  _/    _/  _/  _/_/      国際派日本人養成講座
 _/   _/   _/   _/  _/    _/    平成10年12月5日 5,028部発行
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_/_/    Common Sense: 閉ざされたクラスルーム
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_/_/           ■ 目 次 ■
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_/_/        1.荒涼たるクラス風景
_/_/        2.学力低下と非行増大
_/_/        3.平等教育の結果は
_/_/        4.人権教育の果てに
_/_/        5.官僚的腐敗
_/_/        6.閉ざされたクラスルーム
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■1.荒涼たるクラス風景■

 本年4月1日、広島県福山市立加茂中学校教諭、佐藤泰典氏が参
議院予算委員会で学級崩壊の実態について衝撃的な証言を行った。 
たとえば、

     始業のチャイムが鳴って教員が教室に行った時、生徒はほと
    んど席についておりません。その生徒たちを教室に入れて席に
    つかせるのに五分から十分ぐらいかかります。やっとの思いで
    授業を始めても、教室の窓から抜け出したり、もっとひどい時
    は、廊下を自転車で二人乗りして、「イエーイ」と声をあげな
    がら手を振って他の先生や生徒をからかったりという状態です。 
    教室に残った生徒も後ろの方でボール遊びをしたり、机の上に
    足を上げてマンガを読んでいます。

     それでは先生はというと、生徒たちに背中を向け黒板に向か
    って黙々と字を書いているという状態です。何名かの生徒が黒
    板の近くに行って字を写しています。しかし、こうした真面目
    な生徒たちも言い掛かりをつけられて校舎の裏や屋上に呼び出
    されて殴られたり、お金をとられたり、いじめられたりします。 
    [1]

 バラバラに遊び回る生徒達、「生徒に背中を向け」黒板に字を書
き続ける先生、お互いの心のつながりを失った荒涼たるクラス風景
である。なぜこんなことになったのか。

■2.学力低下と非行増大■

 佐藤教諭が証言をした広島県の公教育は、学力面、素行面ともに、
まさに惨状としか言いようがない。

 大学入試センターは、毎年、国公立大学入試センターの試験デー
タを公表しているが、広島県の学力低下は著しい。平成2年に47
都道府県中21位だったのが、平成8年には45位まで急降下した。

 また平成9年の全国調査によると、同県の少年(14歳以上、2
0歳未満)人口千人あたり、犯罪少年は23.9人で全国1位の高
率である。[2]

 これらのデータから見ると、佐藤教諭の証言したクラス崩壊は、
一部の学校の特殊な状況ではなく、程度の差こそあれ、学力低下、
非行増大など、県全体で教育の荒廃が進んでいると言ってよいだろ
う。

■3.平等教育の結果は■

 さて問題は、このような教育の荒廃がなぜ起きたかである。学力
低下の原因の一つとして言われているのは、偏向教師による行きす
ぎた平等教育である。

 ある中学校で、高校受験を控えた3年生を対象に「進路」を題材
にした授業が行われた。教師が作成した学習計画には、「差別と選
別の受験体制にクラスとして具体的にどう戦っていくか、明らかに
する」という授業目標を設定し、「差別」と戦う生き方として、
「1、底辺校に進学すること。2、塾の受験競争と戦うこと」等々
が例示されていた。受験を控えた生徒を、反受験体制の闘士とすべ
く洗脳しているのでは、学力は落ちるのは当然である。

 こうした教師は、受験体制に象徴される成績評価を「平等」に反
する事と考えているようだ。運動会では順位をつけるような徒競走
やリレーは行わない、クラスでは勉強の出来る生徒が手を挙げても
指名しない。

 さらに生徒の学習意欲や行動を評価する指導要領も、記入を拒否
する。福山市の公立中学校27校のうち、20校で各教科所見欄が
未記入となっていた。この背後には未記入を指示した「教員向けマ
ニュアル」があって、「各教科の関心・意欲・態度は教職員の指導
性の問題。子供にのみ責任を負わせ『C』(努力を要する)と評価
する差別に加担することはできません...空欄とする」と書かれて
いる。

 これでは真面目な生徒は、成績をあげようという意欲を失い、不
真面目な生徒も、安穏として怠けていられるわけである。過度の平
等主義が、やる気を失わせるというのは、すでに共産圏でさんざん
見られた失敗である。たとえば、中国の国営企業の大半が赤字で、
国家財政全体を危機に陥れているが、その縮図が日本の学校の中で
起きてるのである。

■4.人権教育の果てに■

 もう一つの青少年犯罪の方はどうか。今年の7月に広島県立沼南
高校の一年生が、非行少年グループに暴行や恐喝を受け自殺すると
いう事件が起きた。事件後の高校側の調査では、生徒の7割が「集
金」「カンパ」と称する恐喝を受け、2割の生徒は暴行を受けてい
た事が分かった。こういう状態に教師達はどう対応していたのか。

 一年生の自殺のあと、学校側が実態調査や関係生徒の処分に乗り
出した所、日教組所属の教師の一人が「加害者とされた生徒の人権
をどう考えるのか」と校長に詰め寄ったという。[2]

 ある小学校で起きたいじめ事件について、保護者懇談会の席上
で、教師が「なぜいじめている子供に注意しなかったのか」との質
問が相次いだ。答弁にたった教頭は「先生は警察官ではありません。 
ルールを押しつけることは教育ではありません。子供同士が注意し
合うのを待っているのです。」と答えたという。

 すべてのルールの押しつけは、人権尊重、自主性尊重に反すると
考えているようだ。「生徒人権手帳−生徒手帳はもういらない」 
(三一書房)という本は「子どもの権利条約の順守」を掲げる全国
の中高生の間でバイブル的存在になっている。この本には「生徒の
人権」として、次のような項目が並ぶ。

    「遅刻をしても授業を受ける権利」「飲酒・喫煙を理由に処分
    を受けない権利」「セックスするかしないかを自分で決める権
    利」「子供を産むか産まないかを決めるのは女性自身の権利」 
    …。[3]

 伝統的な道徳や規範の否定が、犯罪を激増させ、社会の基盤を崩
壊させるのも、共産主義国で良く見られる現象である。中国で1996
年の一年間で死刑にされたと確認されたのは、4,367人、実体はそ
の数倍と推定されている。確認された数値だけでも、他のすべての
国の合計の3倍である。中国と同様の無法社会が、日本の教育現場
に発生していると言えよう。[4]

■5.官僚的腐敗■

 平等教育による成績の低下、人権教育のよる犯罪の激増、と、広
島県の公立校の荒廃は、まさに共産主義国家で起こった経済・社会
崩壊のミニチュア版と言える。共産圏では、これに共産党や政府の
官僚の腐敗が加わるが、この点はどうだろうか?

 国が定めた一年間の標準授業時間は1050時間だが、文部省の調査
では、福山市の中学校27校を平均すると、3年生は857時間し
かない。しかも、この中には教師不在の「自習時間」がかなり含ま
れている可能性が高い、と指摘されている。これはまさに組織的怠
業である。[5]

 また広島県内では、公立高校で授業中に有料の進路指導試験「中
国ブロックテスト」を実施しているが、問題の作成や、採点に県内
11校の現職教員が携わり、平成10年度は5百万円が支払われた。 

 許可を受けないアルバイトは、地方公務員法の『兼職禁止』の規
定に抵触する。それだけではない。教師の立場を利用して、生徒に
強制的に有料のテストを受けさせ、自分はその収益の一部をとると
いうのは、まさに権力を悪用した搾取である。

 組織的怠業といい、立場を悪用した搾取といい、やはり共産圏の
党幹部、政府官僚の腐敗と同じ事が起こっているのである。

■6.閉ざされたクラスルーム■

 以上のように、広島の公教育で起こっている事は、まさに共産主
義国で起こった経済・社会・政府組織の崩壊の縮図である。そして
その原因は、いったん公立校に入ってしまえば、生徒には先生を選
ぶ権利もなく、また保護者も、内申書を握られては、表だった抗議
はできない、という教師側の独占的な権力があるからである。いわ
ば共産党が国家権力を独占して、国家を私物化するのと、同じメカ
ニズムが働いている。

 6月16日に、広島市内で開かれた新社会党県本部の決起集会で
は、矢田部理・新社会党中央本部委員長は「政治、行政は教育の中
身に口をはさんではいけない。平和、人権を教えるのは教師の義務
であり、権利だ」と述べた。税金で運営されている公立校を私物化
する権利が教師にあるという主張は理解しがたい。さらに無気力と
恐喝・いじめの中に放置されている子供達の平和と人権は眼中にな
いのか。[6]

 このように教師の独占権力で閉ざされたクラスルームでは、北朝
鮮と同様、外の情報がなかなか入らないので、一般社会の常識はま
ったく通用しなくなる。たとえば、国旗国歌に関して、平成4年2
月に、当時の菅川健二・県教育長名で、入学・卒業式の国旗(日の
丸)掲揚、国歌(君が代)斉唱にブレーキをかけるような文書が同
県高等学校教職員組合に提示された。

 その文書は「菅川確認書」「二・二八文書」と呼ばれ、君が代が
国民の十分なコンセンサスを得られていないこと、日の丸が天皇制
の補強や侵略、植民地支配に援用されたことなどが教育内容として
補完されなければ、君が代斉唱や日の丸掲揚はできない、という趣
旨である。


 福山市のある会社役員は、商社マンとして海外で十年以上暮らし
た経験から、「海外では国旗掲揚は当然という感覚。国旗・国歌に
“アレルギー反応”を示す教員たちは、感覚がずれているとしか思
えない」と話している。[7]

 グローバル化の流れから最も取り残されているのは、こうした閉
ざされたクラスルームなのである。

[参考]
1. 「学校があぶない」、参議院議員・小山孝夫
2. 「広島の平等教育・人権教育」、
3. 産経新聞、H10.04.09 東京朝刊 1頁、「教育再興」
4. The Economist、97.8.30
5. 産経新聞、H10.06.07 東京朝刊 1頁 「教育再興」
6. 産経新聞、H10.06.16 東京朝刊 27頁 「ニュースクリック」
7. 産経新聞、H9.09.27 東京朝刊 27頁 「プリズム」

■ おたより: 本号には、たくさんのお便りをいただきました。67号に、一括して掲載してありますので、ご覧下さい。

JOG(67) Common Sense:閉ざされたクラスルーム−証言編


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