「尺八一本による即興曲集」 -熊本山鹿市の八千代座にて- 今回のレコーディングは熊本の古い芝居小屋『八千代座』を借り切って、二日間に渡って行われました。一日目はライブレコーディングを行い、二日目は舞台上だけでなく客席・楽屋・舞台下(『奈落』)など大きく場所を移動しながら録音していきました。 それぞれの曲は古典(♯9)を除きすべて即興で演奏され、後にその時見えた景色をタイトルとして一つ一つゆっくりと付けていきました。「八千代座」という『場所』の持つ力の大きさに驚き、そこに渦巻いている時間を越えた何かを感じずにはいられませんでした。 Recorded November 2003 Cover Photo & Design;小坂淳 |
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収録曲名 | ||
1. 堕耽 | ||
2. 海-Dream | ||
3. Steps in the dawn | ||
4. 奈落よりT | ||
5. 泡と輪 | ||
6. 階上の虚 | ||
7. 君が | ||
8. トッテッ | ||
9. 心月-古典本曲- | ||
10.Line and… | ||
11.奈落よりU | ||
12.The Last song | ||
all the tunes were improvised except #9 | ||
[CD Review] 果敢なソロ演奏だ。音色は多彩だが、尺八の伝統的特性はきちんと押さえられている。どの曲にも呼吸のグルーブ感があるので飽きさせないし、演奏のイメージもはっきりしているから映像を喚起させる部分も多い。いろんな和楽器のアルバムを聴く機会が個人的に多いが、尺八のソロ作としては画期的な内容だ。録音にも立ち会ったが、伝統がリニューアルされる瞬間という貴重な体験をしたことになる。(琵琶演奏家 後藤幸浩/ライナーノーツより) アートな尺八だ。自然の中にぽつりと置かれたモニュメント。何を表現したものかわからないけれど、人の手で創られた温たかみがあり、見た人がいろいろなことを感じる作品。それと似ている。古典本曲1曲をのぞいた全てが彼のオリジナルだ。柔らかな音から、胸に迫り来る激しい音、水のように湧きあがる音、様々な音が絡み合って動いている。走り回りながら録音しているのだろうか、音の空間を利用した実験的な作品もある。日本の楽器と言うと自然の風景を描くというのが当たり前だと思っていた。だが、こういったアーティスティックな表現方法もあるのだ。人間の内面に深く降り立つかような静かな世界。彼の世代ならではのセンスも感じさせる意欲作だ。(邦楽ジャーナル「CDガイド」より) | ||
In Line Records IL-01 定価:2500円 | ||
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