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_________ ■ June 〜 August 2017■_

 

   今年もまもなくやってくる暑い季節。昨今TV番組での「猛暑」の話題の最後にはアナウンサーが判で押したように「こまめに水分を、そして塩分も一緒にと りましょう」と話しかけます。普段は「高血圧を防ぐため減塩を」なんて言っているのに…とちょっとした矛盾も感じますね。今回は水分とミネラルの摂り方に ついてお話しします。

 通常ならば私たちは自分の「渇感」すなわちのどが渇いたという感覚で水分を摂っていればなにも問題はないのですが、ある異常な状況、たとえば高温下で大 量の汗をかき水分とミネラルを同時に失ってしまった場合などには渇感を感じにくくなり結果的に脱水状態に陥ることが起こりえます。「水分とともに塩分補給 も忘れずに」と言われるのはこのためなのですが、あまりこれが過剰に喧伝されるのはやや問題です。まずは基本にもどって自身のその日の活動で水分不足・塩 分などミネラル不足が起こるようなことはなかったかと想い浮かべてみることから始めましょう。「こまめに」摂るのはそれからでも遅くありません。もし脱水 傾向であれば尿量は減りますので、自身の尿量も大いに参考になりましょうし、また普段から体重をはかられている方々であれば一度体重計に乗ってみるのも良 いでしょう。不足もなさそうなのに闇雲に水や塩分を多く摂るというのはやはりいただけません。

 それならミネラルと水分のバランスがとれたスポーツドリンクならば身体に良いのでは?と思われる方がいらっしゃるかもしれません。しかしここでまた少し 落とし穴があるのです。いわゆるスポーツドリンクは「イオン飲料」と総称され内容物には現代科学の結晶とも言える事細かな工夫が施されており、ミネラル補 給には確かに便利な飲み物です。しかしそこには併せて糖分とくに果糖がかなり多く含まれていることがある種の問題を引き起こします。すなわちイオン飲料の 摂取が過剰になると大量の糖分を体内で処理する際にビタミンB1が消費されビタミン欠乏に陥るリスクがあります。実際にイオン飲料の日常接種から脚気(ビ タミン欠乏症)を発症した若者の例や乳幼児の例が報告されています。お子さんに「良い」と信じてイオン飲料を日常的に過剰に与えてしまうことが原因です。 もうひとつ意外な盲点、それが高尿酸血症へのリスクです。果糖の取り過ぎが高尿酸血症につながることは医学界でも最近になって注目されてきた知見であり、 尿酸値が高めの方では特にイオン飲料の飲み過ぎに注意が必要です。いずれにしても過ぎたるはなんとやらでありますから過信は禁物。物事はほどほどに考えね ばなりませんね。

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大西内科クリニック