「定住外国人」ラズロさんのまとめその2

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Subject: juminzei/juminhyo

野水さんの返事、たいへん参考になりました。
特に、住民の二つの義務・権利の話です。

> >1967年の通達に従っている
> >地方自治がたいへん少ないのです。
>
>  この通達は今手許に資料がなく(自宅にいますので)確認していませんが、
> おそらく、各市町村の判断によってそういう取り扱いができるという趣旨だと
> 思います。実際にそういう取り扱いをしている市町村は少ないかもしれません。
>  御本人が申し出ても記載してくれませんでしたか?

この通達については、また別の機会に。


>  私見ではありますが、私も自治体に関する伝統的な国民主権論にはやはり疑
> 問を持っています。
>  たとえ、国の主権を日本国民固有の権利とするとしても、それは国政におい
> てのものであり、地域的団体であり、その地域に住む住民を構成員とする自治
> 体についても、同じレベルで考えるべきかどうかという疑問です。


この点で、疑問を持つ人、又は「外国人と住民」問題に関心のある
人は少数派でしょうか?少しはいると思いますか?


> >2)住民票は住民の票なのか?(日本国民票?)
>
>  現行住民基本台帳法では実質的に「日本国民票」になっています。そのため
> に、市区町村の行政現場でも混乱が見られます。
>  これは実は、外国籍の人にも、行政側にも大きな問題です。本来、住民基本

名前を「住民票」から「○○票(日本国民票など)」に変えるには、何が必要で
すか?

> >3)住民票の記載以外に、住民登録ができない、
>
>  外国籍の人については、外国人登録法による外国人登録が行われます。(ラ
> ズロさんも外国人登録証をお持ちだと思います。)そして、居住地の市町村か
> ら「外国人登録済み証明書」の発行を受けることができます。この「外国人登
> 録済み証明書」は、社会的には日本人の住民票と同じように通用しています。

外国人登録=住民登録ということですね。
実はこの点について、ある裁判で反論が出ています。
実は、実質的な差がいくつかあるようです。
名古屋高裁のある裁判ではこれに関するやりとりが
あったと思います。
外登法行政訴訟一審(津地裁,1993年1月〜95年3月)
外登法行政訴訟控訴審(名古屋高裁,1995年3月〜96年9月)
外登法行政訴訟上告審(最高裁,1996年9月〜)

「外登法の改正にむけて」という「在日本大韓国民国居留民団(民団)」の出版
物は参考になりそうです(まだ読んでいませんが)。


> >「事実上、外国人は住民ではないので、住民税を
> >返してほしい、請求しないでほしい」という要望が
> >外国人の一部から出ています。その要望は
> >不合理なものなのだろうか?
>
>  現行法でも、外国人は地方公共団体の構成員(つまり住民)としての地位に
> よってサービスを受ける権利があり、現に何らかのサービスを受けておられる
> はずですから、自治体の存立・運営の費用を分担する義務を負わないというこ
> とは論理的にはとおらないと思います。
>  そうしたことはもちろん承知で、世論に訴える意味でそのような要望を出さ
> れるのはしょうがないと思います。
>  ただ、法律は尊重して義務は負うが、地方自治法の参政権に関する規定や、
> 住民基本台帳法を改正するべきだと、正道でいった方が「日本国民」の無用な
> 誤解・反発もなく、主張を堂々と展開できるのではないでしょうか。

個人の考えですが、この問題を問題として考えてくれ、改めようとする人はとて
も少ないように思います。

本来、
「外国人を住民にするよう」と要望してもいいでしょうが、
かなえられると思いません、特にすぐには。


対応として、次のことを次の順番で行うのが最も建設的なアプローチ
ではないかと思います、

1)『外国人は「住民」という存在から離れている』ということを提起する。
「あるはずの姿」(住民と定義されていること)と「実際の姿」(事実上、住民として
扱われていない、いってみれば、ちゃんとした住民になっていない)とのギャップ
を問題としてあげる。

2)外国人は「中途半端な住民」になっているので、その立場に見合った義務を
果たせばいいということをアピールし、外国人が払わされているいわゆる住民税
の削減を要望する。


3)この問題上、矛盾している書類、制度があれば、それらを改めるよう要望す
る。
住民税(名称、金額)
住民票
住民投票

4)外国人を住民にするよう、要望する。

これでは、第4の要望がかなえられることを待ちながら、
義務を外国人の「実際の姿」に合わせてもらうよう、
働きかけることになります。


>From: "Ayako Minematsu"<AYAKOM@jp.ibm.com>
Date: Mon, 13 Oct 1997 21:50:03 +0900
Subject: zatsudann (A.Yada)

回覧板の健康診断のお知らせには参加資格として住民票または
外国人登録のある方となっていました。
私はたった1年しかアメリカに住んでいなかったのでもちろん
選挙資格はなかったし、税金はしっかり日本にかえってきてからも
1年以上も面倒な手続きで払っていたので、権利より義務の方が
多いなと思っていましたが、日本はより一層不公平なのでしょうか?
たとえば、アメリカでも所得税と住民税という別れた概念の税金を
別々に徴集されていて、住民税に相当する税を払っている人は
選挙権もあるのですか? 私はとっても多く税金をとられた気がして
いたのですが、選挙権のある本来の住人はさらに多くの税をとられて
いたのでしょうか??? 州税(日本の消費税)が高くて、これは選挙権に
関係なく払っていたし・・・・・


Subject: RE:juminzei/juminhyo (野水)


>この点で、疑問を持つ人、又は「外国人と住民」問題に関心のある
>人は少数派でしょうか?少しはいると思いますか?

 疑問や関心を持っている人は意外に多いのではないでしょうか。ただし、多
数派か少数派かというと、ちょっとわかりません。

 自治体における外国人の地位の問題をめぐっては、古くから在日韓国人・朝
鮮人の方々が活動され、政治的懸案事項となっていますし、国も検討している
ようです。
 この問題については、ここ数年、在日韓国人団体から各自治体の議会に、「定
住外国人に参政権を与えるべき」とする意見書を国の関係機関に提出するよう、
陳情などが出され、多くの自治体議会が議決の上、意見書を自治省、法務省な
どに提出しています。
 当市の議会でも、平成7年に上記の趣旨の意見書を国の関係機関に提出して
います。

 このような意見書を自治体議会が提出しても、国にとっては一つの世論動向
を表すものでしかありませんが、自治体の外国人職員採用と合わせて、「内な
る国際化」への動き、関心は高まっていると思います。
 ただし、「定住」という条件をどのように設定するかという問題はあります。

 また、意見書提出の陳情・請願を取り上げない(否決している)自治体議会
もあるようです。

>名前を「住民票」から「○○票(日本国民票など)」に変えるには、何が必要で
>すか?

 これはどういうメリットがあるのかちょっとわかりません。むしろ、外国籍の
人についても住民票を作成するように求めるなら賛成です。住民基本台帳法の大
改正と、全国の市町村の住民記録システム(住民票を処理しているコンピュータ
上のシステム)の大幅な変更などは必要と思います。

>> ら「外国人登録済み証明書」の発行を受けることができます。この「外国人登
>> 録済み証明書」は、社会的には日本人の住民票と同じように通用しています。
>外国人登録=住民登録ということですね。
>実はこの点について、ある裁判で反論が出ています。
>実は、実質的な差がいくつかあるようです。

 現行の外国人登録がイコール住民登録だということではありません。もとも
と両制度は全然別の目的、しくみになっています。ただ、自治体の住民という
と「外国人登録者+住民基本台帳に記載された者」になるということと、外国
人にとっての「外国人登録済み証明書」が日本人にとっての住民票のように、
氏名や居住関係の証明として社会的に利用されているということです。
 判例については、調べてみます。

>3)この問題上、矛盾している書類、制度があれば、それらを改めるよう要望す
>る。
>住民税(名称、金額)
>住民票
>住民投票

 日本に定住している外国籍の人について、住民票が作成されるようになった
り、他の制度上の矛盾が改善されるようにする早道は、選挙権・被選挙権、直
接請求権、住民投票など、自治体における参政権を求めていくことだと思いま
す。
 参政権の有無が日本人の住民と外国人の住民の最も大きな差異で、その差異
が住民基本台帳制度やその他の制度にも反映されています。参政権を得ること
ができれば、他の制度も変わっていくと思います。
 ただ、参政権の問題を理論的に考えるとき、さきのメールに書きましたが、
国民主権と自治体参政権をどう考えるかというところに突き当たると思います。

>実は、延びて、10月16日号になりました。
>よろしければ、ちょっと覗いて下さい。

 はい、読んでみたいと思います。


矢田
Date: Wed, 15 Oct 1997 11:57:17 +0900

>日本における「住民」問題はかなり特殊なので、
>国際比較をせずに研究する価値が十分ある
>と思います。
私の場合日本における住民問題のどこが特殊なのかの理解さえ
ないので(戸籍制度がユニークなのはおぼろげながらに
認識していたのですが・・・・)まずその特殊性を理解するために
(もちろん他の戸籍のある国との比較でもいいのですが)、国籍を
もたない在住外国人の選挙権のあるなし、税金の払い方など
他の国の例を教えていただけると助かります。
(在住の定義も難しいと思いますが、たとえば長く住めば国籍に
関係なく選挙権を与えられる国が普通で日本のように、いくら
長く住んでも国籍がないと選挙権があたえられないのは特殊なの
か・・・このあたりの情報をいただけると、日本のどこが特殊なのか
もっとはっきりしてくると思うのですが。)
よろしくお願いします。


>From: Tony Laszlo
Date: Fri, 17 Oct 1997 00:15:38 +0900
Subject: jumin (Japanese text)

野水さんはこの問題を私より
楽観しているようです。


> >名前を「住民票」から「○○票(日本国民票など)」に変えるには、何が必要

> >すか?
>
>  これはどういうメリットがあるのかちょっとわかりません。むしろ、外国籍の
> 人についても住民票を作成するように求めるなら賛成です。住民基本台帳法の大

外国人の住民票作成は、期待できないと思います(一方、家庭内の日本国民の住
民票の備考欄での記載は実現できる可能性はあると思います)。普通に作成、記
載するかしないか、議論するのもいいと思いますが、その議論、交渉は少なくと
も50年かかると思いますよ。議論している間、外国人が住民票上、透明人間に
なっており(週刊新潮、23日号参照)いろんな問題が生じています。その問題を
防ぐには、事実上、国民たる住民票に、それらしい名前をつけるのは
賢明だと思います。



>  日本に定住している外国籍の人について、住民票が作成されるようになった
> り、他の制度上の矛盾が改善されるようにする早道は、選挙権・被選挙権、直
> 接請求権、住民投票など、自治体における参政権を求めていくことだと思いま
> す。
>  参政権の有無が日本人の住民と外国人の住民の最も大きな差異で、その差異
> が住民基本台帳制度やその他の制度にも反映されています。参政権を得ること
> ができれば、他の制度も変わっていくと思います。
>  ただ、参政権の問題を理論的に考えるとき、さきのメールに書きましたが、
> 国民主権と自治体参政権をどう考えるかというところに突き当たると思います。

このことも、私は悲観しています。憲法では、外国人は参政権があるとは書いて
あっても、中々与えられると思いません。それについて、議論している間、外国
人はフルに義務を果たしてしまっているのです。その状況を変えるのは論理的だ
と思います。

簡単に言うと、『外国人に国民と同じ権利を与える』という考えは
十分支持されると思えません。

『国民と同じ権利を与えられていない外国人に、国民並みの義務を
果たさせるのを止める』の考えは前記より理解され、支持されるので、
推進すればいいのではないのでしょうか?


矢田さん、

> >日本における「住民」問題はかなり特殊なので、
> >国際比較をせずに研究する価値が十分ある
> >と思います。
> 私の場合日本における住民問題のどこが特殊なのかの理解さえ
> ないので(戸籍制度がユニークなのはおぼろげながらに
> 認識していたのですが・・・・)まずその特殊性を理解するために

日本の法律では、
外国人も「住民」と
定義されています。
住民税は国民と
同じように払っています。

しかし、住民としての
次の権利を与えられていません、

住民投票への参加
住民票への記載
地方での選挙権


特殊なのは、外国人を住民と定義しながら、
住民として与えられている権利を与えないことです。

世界中の国が外国人にどういう権利を与えているかとは、
これと別問題だと思います。


Date: Fri, 17 Oct 1997 18:14:35 +0900
Subject: jyuumin (A.Yada)

>特殊なのは、外国人を住民と定義しながら、
>住民として与えられている権利を与えないことです。

どうか頭が固いって笑わないでくださいね。
特殊っていうことばを使うとやっぱり何かにくらべてはじめて特殊
なんだとわかるような気がします。
まず"国民"という言葉と別に"住民"という定義があることが
日本での特殊性なのでしょうか????

国民投票ではなく住民投票(限られた範囲での自治体における投票)が
住民であるはずの外国籍の方に権利がないことが特殊なわけで
国民投票(たとえば参議院、衆議院選挙もここにいれるのか、憲法
改正などのための本来の国民投票だけをいうのかよくわかりませんが)
にたいして国民ではなく住民である外国籍の方が権利がないことは
特殊ではないと思ってよいのでしょうか?

住民投票を国民地方自治投票、と名前をかえればいいという問題では
ないはずです。(住民税という名で税金をとられて住民
の権利がないことが問題であれば"住民ならびに外国人登録者税"という
名前ならいいわけではないということです。)
住民票とか住民税とか言葉が違っていたらどうでしょうか???"

ラズロさんは
>世界中の国が外国人にどういう権利を与えているかとは、
>これと別問題だと思います。
とおっしゃっていますが、私は逆に日本が他の国に比べて外国人に
あたえる権利が少ないのであればそれは問題だと思うのです。
(外国が外国籍の人にたいしては税金面で名称は別にして優遇して
いるのが普通であればそれをしないのも問題だと思います)
もちろん権利と義務は一対なのですがそれを"住民"という言葉でとらえると
日本はおかしいかもしれませんが
義務:日本でおさめている様々な種類の税金の総額
権利:日本であたえられている権利の全て
ととらえても日本は特殊で不公平なのでしょうか???

1. (税金を払う、払わないにかかわらず)長くある地域に住んでいれば
その地域の住民投票には参加できるのが国際的には標準なのに
日本は特殊だ!! ==> 納得
2. (国民とトータルで同じ額の税金をはらっている外国籍の人が)
長くある地域に住んでいればその地域の住民投票には参加できるのが
国際的には標準なのに日本は特殊だ ==> 納得

以上のどちらかだと日本が特殊であるというのがとてもよく
納得できるのですが。
もちろん私は日本における外国籍の方の権利が広がる事には賛成です!!!
(ただ日本だけが不公平なのかどうかを知りたいのです)

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