ザ・ディープ・コリア
僕の韓国旅行の原点とも言える本。いわゆる旅行記本に分類されると思います。
80年代からの旅の様子が根本画伯のマンガともにおさめられていて、しかも田舎をくまなく網羅している。気負うことなく真正面 から書いているし、この本は本当にすごいと思います。特に「鬱陵島(ウルルンド)」のパートは秀逸。超おすすめ本です。僕が韓国の田舎に興味を持ったのも、そもそもこの本がきっかけだったんじゃないかなぁと、今振り返って思います。しかし、今の韓国はこの本が書かれたころとはずいぶん変わってしまったようにも思います。でも、田舎に行けばまだまだ、この本にあるような超ディープなことがおこるのも事実。やはり韓国は田舎に行くに限ります! ソウルにいってる場合じゃないよ、ホント!!(^^;

主画:根本敬 主文:湯浅学 主撮:船橋英雄





朝鮮民族を読み解く

古田先生の本ですが、この先生、本当にすごい!! エンタメにはまっているだけじゃなくて、朝鮮・韓国に興味のある人は、ぜひ読んでみていただきたいなあと思うおすすめ本です。僕は、新書で出た1995年の初版本を購入して一気読みしてしまいました。「次の本が出ないかなぁ・・・・」と古田先生の本を待っていたところで、書店で見つけたときは「やったー」と小躍りしたのを覚えています。 今は文庫本化されているようで、このアフィリエイトも文庫本の方につけさせていただきました。
内容としては、朝鮮民族の根底にある思考行動様式を著者自身の体験を元に読み解いていくもので、韓国・朝鮮初心者はもちろん、留学経験のある人でもこの本を読めばもやもやしていたものが少し晴れるんじゃないかなぁと思います。

著者:古田 博司 1953年生まれ。慶応大学大学院東洋史専攻修士課程修了後、ソウル大学大学院で韓国語教育法を学んだのち、延世大学、漢陽大学などで日本語講師を務める。滞韓6年の後、帰国。下関市立大学を経て、筑波大学大学院人文社会科学研究科教授。東アジア政治思想専攻





韓国は一個の哲学である

著者の「小倉紀蔵」は、今や説明するまでもない存在だと思うんですけど、この本が出たときは「ずいぶん勢いのいい若手の研究者が出てきたなぁ」という感じでした。この本も1998年の初版本が出たときに買いました。読み進めていくと、古田博司先生の論に通 じるところがあるなあと思っていたのですが、最後の謝辞を読んで納得。古田先生の弟子スジにあたるようでした。
内容は「要するに韓国・朝鮮人ってどういう人たちなの?」「どうして日本人と考え方があそこまで違うの?」という疑問に著者なりにズバッと回答を出しております。この本もすごいです。「朝鮮民族を読み解く」とセットで読むことをおすすめします。

著者:小倉紀蔵 1959年東京生まれ。1983年、東京大学ドイツ文学科卒業。電通 に勤務の後、1988年退社、韓国留学。1995年、ソウル大学哲学科博士課程修了。現在、東海大学外国語教育センター講師。専攻は韓国哲学。 著書に『昭和最後のソウル』──草風館──など。





コリアン世界の旅
これは本当に名著です。大宅壮一ノンフィクション賞・講談社ノンフィクション賞ダブル受賞作品で、コリアンとは何かということに関して、真正面 から切り込んでいて、すごい作品です。受賞するのも分かりますね。韓国エンタメにはまっている人にしてみたら「なんて重い話題なんだ」と読み進めるのが大変かも知れないですが、個人的にも多くの人に読んでもらいたい作品だと思います。読後感はすごいですよ。なお「コリアン世界」ですから、在日韓国・朝鮮人だけではなく、在米コリアン、在ベトナムコリアンなども取り上げられています。
ネタばれ承知で一つエピソードをあげるとすれば、「我々のイメージするいわゆる焼肉は在日韓国・朝鮮人が始めたもの」というのが克明に書かれてます。ようするに日本発だったんですよね。知ってる人には当たり前のこの事実が、一般 には以外と知られていない。「本場の韓国で焼肉・・・」というのを聞くたびに、なんだかなぁ。と思ってしまう今日この頃です。なお、これは文庫本。ハードカバーもあります。

著者:野村進





ソウルの練習問題

これは古い本だ! 初版が1984年だから80年代初頭の韓国(と日本人)の様子が克明に分かる名著です。少し前までは韓国に興味のある人のバイブル的存在でした。私は1988年発刊の第13刷を持っているのですが、この当時はここまで韓国について詳しく書かれた本はなかったように思います。「朝鮮民族を読み解く」にしても「コリアン世界の旅」にしても90年代の作品ですから、まさにこれが原点といえるのではないでしょうか。この本が初めて出てから20年以上たちますが、この本を超える韓国関連の作品は、そうたくさんはないように思います。
内容は、80年代に韓国に飛び込んでいった著者の体験が克明に書かれています。韓国人とやりとりしながら、悩みながら理解を深めていくという。韓国は1988年のソウルオリンピックで劇的にかわったといわれているけど、この本はその前の韓国、オリンピックに向かって走り出した熱気というものが伝わってくる貴重な本ですから、ぜひ手に取ってみてください。
なお、紹介の本は新装本のようです。

著者:関川夏央 「海峡を超えたホームラン」「東京から来たナグネ」などの著作あり






朝鮮 -民族・歴史・文化- (岩波新書)
古い本ついでに、これも行っておこう。 もしかしたら古本でしか手に入らない(ってことは、アマゾンでは買えないの?)かも知れないが、朝鮮関係を研究した人なら一度は手にしたことがあるはずのこの本を紹介しないわけには行かない。金達寿(キム・ダルス)先生による名著で初版は昭和33年。古〜〜〜っ! でも、この本、不思議な魅力がありますので、ぜひ読んでほしいです。著者のキム・ダルス先生は、1919年に慶尚南道で生まれて、1930年に来日されました。 ということは在日の一世なわけです。この 一世の書く朝鮮の歴史、そして日本との関係が興味深いところなんですが、重くなりがちなこの問題をユーモアを交えながら書かれてまして頭が下がります。なお、著者はすでに亡くなられておられます。ご冥福をお祈りいたします。

著者: 金達寿