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 06.07.01 


W杯で思った
- 音楽での「場」作り -


 日本も出場した世界最大のスポーツの祭典であるサッカーW杯。残念ながら、日本代表は力の差を見せつけられて予選リーグ敗退となりました。日本中がベスト16以上を期待していましたが、やはりそこまでの力はなかったということでしょうか。しかしかえって足りないものが見えたとプラス思考で考え、次の大会で予選敗退だけは回避できるようなチーム作りを目指して欲しいと思います。

 さて、このような大きな大会には準備も含め多くの関係者の努力があります。あくまで主役は選手でありますが、その試合の前後の演出は見るものを楽しませ、また選手がその技術を発揮するためのさまざまな工夫がされています。

 今大会で気づいたこと。それは試合後のBGMが流れていたということです。選手が入場する際のBGMはおなじみになりましたが、この試合終了の際のBGMは会場全体の雰囲気をすがすがしいものにしていたと思います。

 これまでは選手がお互いの健闘を讃え、あるいはユニフォーム交換など、あくまでピッチと観客との距離ができてしまう時間帯であったのが、このBGM,によって、なんとなく会場全体が選手を讃え、この試合を観戦できた喜びを味わい、また選手も試合の余韻にひたれるような雰囲気がブラウン管を通して感じました。こういった音響的な効果は非常にうまい演出だと思います。

 さて、この音響についてですが、実は私の寺でも使っています。それまではお経をお勤めした後、ご法話をして、年回忌法要を終えていたのですが、2年ほど前から法話の後、仏教讃歌をBGMに流すようにしています(浄土真宗本願寺派には「本願寺仏教音楽・儀礼研究所」もあるほど、音楽のレパートリーは多くあります)。それまではご法話を終えると、さっさと本堂を後にしていた参拝の方々も、BGMを流すようにしてからは、お内陣をまじまじと見たり、こちらに話しかけてくれるようになったと思います。そもそも法話がすんで、「それでは」といっていたところ、何となく収まりが悪く感じていたので、最初は何か音楽でもかけてみるか・・・という軽い気持ちでした。CDを流すという安直なことにたよっていますが、結構「場」の雰囲気はよくなりました。

 今回のW杯もそのような演出が「場」を作っていたことと合わせて考えてみました。


 竹柴 俊徳